児童図書

 (ほぼいないと思われる)当ブログの読者の皆さんは、小学生の頃、どんな児童図書を読んだだろうか?
わしが読みふけった児童図書は「怪人二十面相」シリーズ。江戸川乱歩の書いたかのシリーズが、当時通っていた小学校の図書室には網羅されており、読みふけったものである。
ただ、肝心の内容をほとんど覚えていないし、理解していなかったような気がする。何で読んでいたのかは、なぞだ。ただ、あの児童図書のおかげで、当時4年生だったわしは、「キの人(あるいはキ印)」、「洋館」などの言葉を自らの語彙のライブラリに収納したものである。どっちも全く使わないが。っていうか、「キの人」なんて香ばしいスラングを含んだ図書を小学校の図書室に置いておいて良いのだろうか・・・?
その後、「ガンバとかわうそ」、「果てしない物語」、小学6年生くらいに「ぬんじゃ ひなた丸」なるシリーズをちょい何冊か読み、赤川次郎の本を読み漁って、今では京極夏彦などを読んでいる。案外、人の読んだ本の履歴をたどってみると面白いかもしれない(あかほりさとるのちょいエロめのライトノベルを読んでいたりね。わしのことだけど)。
 
今の子供達に受けている児童文学は「ハリー・ポッター」や「かいけつゾロリ」シリーズで、地元の図書館で貸し出し冊数の多いベストランキングを見てみると、「かいけつゾロリ」シリーズが児童図書部門全ランクを占めていたりすることもある(全体のランキングを見てみると江原啓之の本が多く入っていて驚くと同時に、「この本にわざわざ金をかける気はしない」という、みんなの気持ちがちょっと見えてたりする)。
我が家にも、いまさら誰も読まなくなった児童図書が結構あり、それ以上の異常な数の経済関連の図書(父親の蔵書。別に普通のサラリーマンなのだが、熱心なことだ)がある。あれだけの本、かわずに図書館で済ませれば、結構浮いた金があるんじゃないの?とか意地悪なことを考えていたりもする(買った全てが分かりやすくていい本とは限らないし)。
で、児童図書。「鍵ばあさん」やら「カメラちゃん」、「ノンタン」などいくつかある中、わしの目を引いたのが「幽霊ママ 超能力ゲーム」である。
もちろんタイトルについた「超能力」がわしの目を引いたのである。わしにとっての「超能力」という単語は、「Fカップ」という単語と同等の引力を備えているのだ。仕方ない。
これはいかなる超能力が出て、どのような主人公のランディかフーディニか山田奈緒子がトリックを暴くのか・・・。ちょっとわくわくしながら読んでしまった。いい年して。
 
以下が「幽霊ママ 超能力ゲーム」のあらすじである(もし削除依頼があれば消します。読者もろくすっぽいないのに)。
主人公の小学生ナナコの周りで、「太陽の王国」なる新興宗教が活発な勧誘をはじめ、周囲の人たちの様子がおかしくなってきた。近所のおばさんは入信して以来、息子の成績がよくなったと周りを半ば強引に勧誘して回る始末。唯一の家族であるお父さん(タイトルから想像がつくように、お母さんは既に逝去している)も道すがら引き止められて勧誘され、ナナコは少し不満顔。
そんなある日、同級生のエリちゃんから「太陽の王国」に入信したお母さんのことを相談され、ナナコは親しい中学生のちあきと共に「太陽の王国」に潜入、教祖の光玄条と超能力対決をするのであった
……とまあ、これが佳境の部分を伏せたあらすじである。これ以降はネタバレを含むので、もしも自分でかの本を読みたいと思っている人がいたら、読まないほうがよい。
で、この児童図書のどこがわしのハートをロックしたかというと、題材と描写である。簡単に紹介したあらすじにも書いたとおり、今回の話(シリーズ化してます)の敵役は新興宗教団体である。「太陽の王国」という、エル・カンターレな感じの名前のついた胡散臭い宗教団体と対決するのである、が。
正直、宗教団体って、小学生向けの図書にしてはかなり重めの題材である。一応、「インチキ超能力者と対決」みたいな構図が頭の中で思い描ければそれで子供達にも十分伝わるとは思うのだが。描写が決して軽くない。
主人公の級友のエリちゃんのお母さんが、「太陽の王国」に入信して困っているくだりである。この本ではエリちゃんがナナコに窮状を訴えるのだが、かなりリアルだ。
要約すると、「太陽の王国に入信したお母さんが、エリの成績の向上を祈っているのにもかかわらず、エリの成績は今までどおりのまま。祈りが足りないせいだと思ったお母さんは、ますます活動にのめりこみ、サラ金に手を出してまで教団につぎ込む始末で非常に困っている」とのこと。
これは重い。小学生でも苦労人の子じゃないとわからんような気がする。多くの日本人の平均的小学生にとって、新興宗教についてはよく分からんことのほうが多いだろうし。
ラストには、超能力対決で敗北した光玄条らは姿をくらまし(ナナコがかわりに拝まれるという、かなりきつい皮肉も描かれている)、被害者の近所のおばさんたちはこれまでつぎ込んだ分を回収すべく、被害者団体を立ち上げ、告訴しようと活動している……というところまで描かれている。「告訴」って言葉もちゃんと使っていた。児童図書にもかかわらず、ここまで書いてくる辺り、作者の真摯な姿勢もうかがえるが、同時になんでこんなにしっかり描くのか、この話を書いた背景も知りたくなってきてしまう。わしが「キの人」を覚えたように、この本を読んだ小学生は「告訴」って言葉を覚えるのだろうか、使いどころが不明のまま。
なんだか、「幽霊ママ 超能力ゲーム」を揶揄したような文章になってしまったが、この本の話自体は、一部の描写のリアルさに圧倒されたものの、特に問題はないだろう。テーマと題材の重さが児童図書というジャンルと、挿絵を描く漫画家さんのかわいらしい絵とミスマッチなところが、わしのハートを掴んだということである。
ちなみにこのシリーズの第一弾は、「パパの再婚相手の悪巧みを阻止する」話のようである。いまさらだからこそ読みたい気もするが、買うのも図書館に請求するのも恥ずかしく、迷ってしまうところである。
 
おまけ――
で、話に出てくる教祖かつ超能力者の光玄条なんだが、結局彼の持つ超能力は本物ということになっていた(それまでのナナコとちあきの会話では偽者なんじゃない?とか言ってるのに)。インチキ超能力のトリックとその解説に当てる分量が多くなることや、話がやたら理屈っぽくなるのを避けた結果だと思うのだが、彼が本物の超能力者なら「太陽の王国」はインチキ団体ではない、ということにはならないのだろうか?
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