激突?

前回の記事のラストでほのめかした、リチャード・コシミズ氏と「主権回復を目指す会」&「そよ風」の対立についてかかせていただく。

■背景やら経緯っぽいものについて

もともと親中派として知られているリチャード氏にとって、反中的な活動も多い右翼系の団体はそれだけで不快な存在だったのだろう。以前から「右翼は北朝鮮の手先」とか「統一協会と手を組んでいる」とか、そんな主張はしていた。

また昨今では自称「集団ストーカー被害者」を右翼系団体が囲い込んでいるというような主張をはじめており(自称集団ストーカー被害者が在特会に共感したり、集会に参加したりしているブログ記事が見つかるのが根拠らしい)、その主張の行き過ぎた悪乗りの結果、「そよ風」のメンバーがうつ病患者や帰化朝鮮人であるとかいったことをほのめかす内容のコラージュ画像を製作したのである。

このことを知った「そよ風」メンバーは激怒(当たり前だが)。「そよ風」と一緒に統一教会の手先扱いされた「主権回復を目指す会」も立ち上がる。リチャード氏は同時に「主権回復を目指す会」の代表 西村修平氏に対して「朝鮮人疑惑」(どうやら根拠なし)をかけており、ちょっとこの辺、前後がよくわからない。おそらく「そよ風メンバー 欝、帰化朝鮮人」説→西村氏抗議→「西村氏朝鮮人」説 だと思うんだが。

そして10月1日。リチャード氏の事務所に「主権回復を目指す会」と「そよ風」がやってきて抗議活動を起こしたのである。両陣営がそのときの様子を動画としてアップロードしているので、興味があればどうぞ自己責任でご覧ください。

 

現時点でわしが見たのは独立党がYOUTUBEにアップロードしたもの。2時間半もの長さ、自分でもよくまあ見たものだと思っている。

見た感想として抱いた第一印象は、「大差ないな」ということ。

 

■西村氏VSリチャード・コシミズ

今回西村氏側がとりあげたリチャード氏の主張は「そよ風メンバーは鬱病患者」と「西村氏は在日朝鮮人」という二つのトピックだったのだけど、いずれの主張においても言い出したほう(つまりリチャード氏)がそれを証明する責任がある。だから、その点から追及していけばいいだけなのだが、そういう議論のルールが双方わかっていない。しかもよりによって「リチャードコシミズ在日中国人説」(リチャード氏のあまりに親中的な発言から、彼が中国人ではないかという説)から派生させた「リチャードコシミズ在日朝鮮人説」(こっちは根拠不明)を振りかざして、同レベルの非建設的な罵り合いにもつれ込ませてしまったのだ。

いい歳こいたおっさんが二人で「お前朝鮮人だろ!」と言い合っているのである。かなり見苦しい

で、お互いに「お前が朝鮮人でないというなら証拠を出せ」である。そこは言いだしっぺが負わなきゃいけないコストなんだが、二人して仲良くわかってないので西村氏は持参した戸籍謄本(遠めで内容は動画では見えませんでした)を、リチャード氏はとりあえず免許証を提示。しかしリチャード氏の免許のほうには本籍が記載されていないため(この辺、免許を発行する県によって差があると思われる)、「不十分だ」と西村氏側は一気に沸き立つ。そして「リチャードコシミズ=朝鮮人」という積極的な確証もないまま「朝鮮人は白鳥ハイツ(ここが事務所のある建物名らしい)から出て行けー!」のシュプレヒコールである。白鳥ハイツの他の入居者からすればまったくの道化であったろう(もしかしたらリチャード以外の在日朝鮮人の住人がいたかもしれないが)。

以前の記事で書いたが、リチャード氏は「日本人=善人」(すなわち善人でないと思った「日本人」は「日本人のフリをした在日朝鮮人」である)的なエスノセントリズム染みた思想を持っているようだが、それはどうやら西村氏も同様のようで、「自分の気に食わない(あるいは不利益な)人間は日本人なんかじゃない!」と考えているのだろう。しかし、たぶんどっちも日本人だと思う。情けないことに。

ちなみに証明の話でもうひとつ、西村氏の登場(という表現がふさわしいくらい、場が暖まるのを待ってからでてきた)の前にリチャード氏と対面した瀬戸弘幸氏は主に「そよ風メンバーは鬱病患者」について抗議。その際リチャード氏の右腕と評判の小吹氏が「それなら精神鑑定でも何でもやって証明したらいいじゃないですか」と放言していた。これについては特にリチャード氏のほうに立証責任があるのだが、まったくわかっていない。瀬戸氏はその発言にあきれかえっていた(特に「精神鑑定」という単語が飛び出したことにだと思うんだが)。ただ、拡声器などを使わず普通に話しかけていた効果か、リチャード氏から「あのコラージュはやりすぎだったと思う」という発言を引き出すことができていた。その後の西村氏の登場で台無しになったが。

 

■「そよ風」VSリチャード・コシミズ

そして「そよ風」とリチャード氏。といっても「主権回復を目指す会」と一緒になって行動しているのであまり分ける意味もないんだが、「そよ風メンバーうつ病患者&帰化朝鮮人説」についての顛末にも触れておく。

前述の瀬戸弘幸氏との会話の流れにおいて「やりすぎた」との弁をリチャード氏は口にしたが、その後の西村氏側はそういった経緯をまったく無視して「そよ風メンバーうつ病患者&帰化朝鮮人説」に対する謝罪(ただし土下座に限る)を要求。もちろんリチャード氏は応じるはずもない。コラージュの中に実際に写っていた女性個人の抗議に関しては謝るような姿勢を見せるものの、「そよ風」メンバー全体に対する誹謗といってもいいコラージュの内容については撤回を断固拒否。「そよ風」メンバーはコラージュの内容についての根拠を提示するよう求めたが「ジャーナリストとしていろいろ勉強した結果」という言い訳。「いろいろ勉強」の部分にさまざまな妄想やこじ付けが入り込んだ可能性大である。この話はこれ以上進展はなく、現在もなおリチャード氏のブログ上で件のコラージュは閲覧可能のままである。もっとも「そよ風」も足並みがそろってるとはいえない状態で、「コラージュに使われた自分自身に対する誹謗についての謝罪を要求する人」、「そよ風全体に対する誹謗としての謝罪を要求する人」、「とにかく土下座してほしい人」の三者がおり、特に最後の人が絶叫し続けている様はリチャード氏に「そよ風メンバーは精神的に病んでいる」という考えは正しいと確信を与えたことに一役買ったのは間違いないだろう。

 

■そして(みっともない)伝説へ

そして一通りの抗議活動(事務所の前で大騒ぎしただけ、という印象もあるが)のあと、事務所にリチャード氏が引っ込んでしまったこともあってか、西村氏側はターゲットをリチャード氏の家族に移す。常識的にかんがえれば無関係なのだが、テンションMAXな彼らの怒り(なのか、単なる攻撃性のはけ口なのか)の矛先は家族へ。

まずはリチャード氏の父親の元へ。西村氏側は猛然と「親としての監督責任」を追及。30年以上前に成人を迎えた息子の監督責任なぞ求められてもねえ。そして次にリチャード氏の自宅へ。奥さんや子供に向かって(平日の昼下がりに自宅に居たのか不明だが)抗議活動。「夫の不手際を詫びて土下座しろ」とか「娘(いるの?リチャード氏のブログ記事によれば息子はいるらしいが)はでて来い」だのとわめき散らしていた。同様のことを自分の家族にされたらどうなのか、それを客観的に見て正当性のある抗議といえるのか、結局のところ単なる鬱憤晴らしにしかなっておらず、明確な結果も残せていない。

今回の「活動」は「そよ風女性を十分な根拠もなく鬱病患者、帰化朝鮮人扱いしたこと」「西村氏を朝鮮人呼ばわりしたこと」(ちょっとだけ「主権回復を目指す会」側の動画を見たが、そこではリチャード氏が電話口(留守電)で西村氏を「電話にでろ!朝鮮人!」などとなじった音声が出ている)の二つを特に取り上げていた。この二つの事案に関して拡声器で謝罪(というか土下座)を要求するという活動の結果、何か得られたかというと、何も得られていない

リチャード氏のブログを見ればわかるが、件の「抗議」によって興奮状態に入ったのか、リチャード氏はいつもよりもハイペースでブログを更新。「主権回復を目指す会」&「そよ風」の抗議集団を「テロ要員」とか「オウムの残党」「統一邪教のお嬢様方」「北朝鮮工作員」など好き放題連発。「そよ風」の副会長は朝鮮人というような記述も追加され、悪い方向に加速している。抗議以前に書かれた文章や画像等についても撤回や削除などといったものはない。西村氏側の「活動」の成果は、火に油を注いだということだけである。しかもそれ以降の動向について「主権回復を目指す会」、「そよ風」ともに特に言及していない。自分たちの抗議が実を結んだかどうかはどうでもいいようである。「そよ風」についてはHPにて訴訟の準備をしているとかかれているが、進捗状況について追加の記述もなく実現するかは不明。「訴えてやるからな!」という捨て台詞で相手をびびらそうとする人はちょくちょくいるので、話半分に聞いておこう。

 

■被害者

今回の騒動での被害者はもちろん近所の住民もそうなのだが、この騒動のために動員されることとなった警察官の皆さんである。どんなに自分ではくだらないと思っていても、暴力沙汰に発展しかねない(しかもかなりの大人数)の睨み合いが起きればそれを防ぐために出動させられるのが仕事なのだろう。民事不介入の原則もあるのだろうがどちらに味方することもなく黙々と勤めを果たしていたおまわりさんに「お疲れ様でした」といいたい。警察がいかに徹底して中立的な立場をとっていたかについては、両陣営からなじられていたという事実がそれを証明しているといえるだろう。西村氏側からは拡声器で「税金泥棒」などとなじられ(今回の警備活動で税金を使わせているのは彼らの「抗議」なんだが)。インターネット上のリチャード氏のブログでは「北朝鮮右翼と警察の癒着」などと書かれる始末である。どっちにも味方しなかった(そして両陣営とも警察が自分に味方してくれると思っていた)のは明らかである。

 

■感想

対立した両者にはとっている立場の方向性が違うというだけで、根本的なレベルにおいて差が認められるものではなかった。

今回の動画を見る前に、「抗議」がまっとうな路線で行われるのだろうとか、それに対するリチャード氏の反応を見てみたいなどと勝手に「抗議側」のレベルを高いものと踏んでしまっていた己の愚かさを反省するばかりである。

 

おまけ――

騒動後、10月19日付のリチャード氏のブログによれば、今回の騒動は荒田吉昭阪大名誉教授の常温核融合技術(「固体内常温核融合」というらしい)が世界で実用されようとしている趨勢(そんな趨勢、毛ほども感じたことがないのだが)をとめたかった「世界権力」の陰謀だったそうである。

リチャード氏のご近所で右翼団体が拡声器で騒ぐと常温核融合がどうなるというのだろうか、まったく支離滅裂な話だが、コメント欄には独立党党員(あるいはその一歩手前の人)たちの賛辞のコメントが。

信じるということはすごいもんである。

【2010.7.09】一部修正しました。
(修正前)……特に最後の人が絶叫し続けている様はリチャード氏に自説が正しいという確信を与えたことに一役買ったのは間違いないだろう。
(修正後)……特に最後の人が絶叫し続けている様はリチャード氏に「そよ風メンバーは精神的に病んでいる」という考えは正しいと確信を与えたことに一役買ったのは間違いないだろう。

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