リチャード小説を読んで その2 内容編

今回の記事ではリチャード・コシミズ著「小説911」「2012年アセンションはやってこない」(以下「2012~」と略)に見られる共通点を紹介していく。

■共通する陰謀論

これについて語る必要があるのか少々疑問に思われるかもしれないが、両方の小説ともその内容の多くを過去の陰謀の説明にあてているためざっと箇条書きにしていく。

  • 911陰謀論純粋水爆説(「小説911」においてはこの話がメイン)
  • 共産主義を作ったのはユダヤ人説
  • 真珠湾攻撃陰謀論
  • ヒトラー=ユダヤ人説
  • アポロ月着陸ねつ造論
  • 郵政民営化=郵政ユダヤ化説
  • 地下鉄サリン事件陰謀論
  • 労働者派遣法陰謀論
  • 時価会計制度陰謀論

これらの説明文が両方とも非常に長く、新奇な情報に関してはあまり書かれていない。
「小説911」では911陰謀論にかなりの量が割かれているとはいえ、そのほとんどは他の陰謀論者も唱えているものがほとんどであり2012年~」においてはもっと情報は少ない。具体的な点については各書を個別に論じる回に書くことにする。

とにかく本の大半はリチャード氏がこれまで主張してきたことの説明を書いた分が大半である。

小説であれば主人公がいつ、どこで、なにをしたかが時系列に書かれそうなものだが、そういった描写はほとんどなく(「2012~」においては皆無といってよい)、とにかく説明文が延々と続く。

■セリフが変

いちおう小説ではあるので、どちらの本も登場人物が出てきてしゃべったりする。というか登場人物は基本しゃべるだけである。

これもまた非常に説明的である。しかもバカっぽい。

「万に一つもないとは思うが、純粋水爆を使ったことが発覚しないように、陽動作戦を考えておけ。」と老人が側近に命令する。
「ロッケンフェルター様、抜かりはございません。もとより、放射能が発生いたしませんので、ガイガーカウンターは爆発直後を除いては、作動しないはずです。放射能が検出されない限り、既存の常識では〔核爆発〕とは思われませんので。」
(『小説911』55~56p)

以下、この問答が続いて劣化ウランをカバーストーリーとして広めるために、ローレン・モレ(作中では「ローレン・レモ」)にウソを言わせるとか、そんな話が続く。

「おい、ピーター、この鉄骨、なんだか溶けてね~か?曲がり方も、ヘンだぜ。」
「その類の鉄骨、見たことがあるぜ。海兵隊時代、ヒロシマに、岩国の飲み屋のアケミと遊びに行ってさ。原爆ドームとか言うところで見たのにそっくりだぜ。」
「へ~、そのアケミっての、どうだった?」
「ケツのでかい女でさ。いい味してたぜ、ガハハハ。」
(『小説911』49~50p)

後半のアケミ情報は完全に無用な代物。最後の「ガハハハ」が何とも言えない味を出している。
このように、リチャード氏の小説ではセリフの最後に頭に悪い笑い声が時々入る。
以下のやり取りは今年のトンデモ本大賞で紹介され、会場を爆笑の渦に陥れた名セリフである。

「うむ。あのビルは、老朽化していて立て替えたかったんだが、アスベストスをたくさん使っているんで、費用が嵩む。今回、制御倒壊で安く取り壊しできたし、保険金も日本の馬鹿どもから詐取できる。なかなかいい出来だぞ、この謀略は。」
「あくまでアラブ・テロだったと言い張るためにも、突入した航空機の会社にも、損害賠償を請求しますので。まあジェスチャーにすぎませんが。」
「ラリー、お前も根っからの金融ユダヤ人だな。あはは。」
「お褒めの言葉有難うございます。日本の損保の役員にも、10億円単位の鼻薬は嗅がせてありますからね。」
「この悪党が!わっはっは。」

(『小説911』39p)

まるで時代劇の悪役である。「なかなかいい出来だぞ、この謀略は。」などなかなか言えるものではない。
以下に示すのは金正日(作中で変名になっていませんでした……)のセリフ。

「おいおい、第二次オヲム事件の首謀者は私ではない。NYのユダヤ老人がシナリオを描き、私に実行しろと迫っているんだ。私は、条件がきっちり揃わなければ、実行するつもりはない。周囲は早くやれと煩いが、私は自分の身が一番大事なので、王朝を危険にさらしてまで軍事行動を強行する勇気はない。わたしは外見のとおり臆病ものなんだよ、あはは。」
(『2012~』282p)

バカっぽさと、著者の金正日に対する憎しみがにじみ出ているセリフである。
「2012~」では笑い声でセリフを締めくくるパターンはこれっきりだが、「ふっふっふ」でセリフをしゃべりだすパターンが登場しており、読者の期待を裏切らない。

■猛烈な敵意

リチャード・コシミズ氏のブログをなどを読んだことがある人であれば同意いただけるかと思うが、リチャード氏は自分と対立する意見、立場の人間には非常に強く敵意を見せる。
気に入らない政治家や運動家などは大体「隠れ在日朝鮮人」の「ユダヤ人の手先」になってしまう(以前の記事に書いたように、小沢さんもかつては手先扱いでした)。
2009年10月に右翼系団体である「主権回復を目指す会」や「そよ風」のメンバーとトラブルになった原因は、リチャード氏がブログ上で「そよ風」のメンバーの女性たちをひどく揶揄(あるいは中傷)するような記事を書き、コラージュをアップロードしたためである。

出版された本に関してもこのスタイルは維持されており、ターゲットとなった政治家、宗教団体の代表などは徹底的にこき下ろされている。

鯉墨の背後のユダヤ老人は、「郵政民営化」を以って、日本国民の資産である郵貯の資金を根こそぎ略奪しようと企んだ。鯉墨は、忠実に「犬」としての役割を果たした。いや「犬」どころか「犬ころ」と形容できるほどの業績である。
(『小説911』183p)

組織内でもっとも粗暴で、武闘派と目されている男は、動くたびに墓穴を掘り、組織の作戦の足を引っ張るのだった。だが、この男の失態こそが、最大の社会貢献をしたのである。「莫迦と鋏は使いよう」という言葉がある。
まさに、この男のためにある格言である。
(『小説911』235p)

卑しいカルトの金に目がくらんだ学者。この類の輩には、かならず最悪の未来が待っている。
(『小説911』325~326p)

過去には選挙に負けても「勝った勝った」と騒ぎ立てたゾンビ集団だが、精強新聞サイトをいくら読んでも「衆院選」に関する記事がない。<中略>ソンテジャクの血圧は極限まで上がり、下半身を覆うパンバースからは小水がじゃじゃ漏れし、聖教新聞の編集者を含めた幹部は、ソンテチャク大王の前にひれ伏してひたすら叱責を受けていたのであろう。ソンテジャク独裁者が済州なまりの漂う言葉で、理不尽に幹部を罵倒している様が目に浮かぶようである。
(『2012~』169p 変名の使われ方が一貫してないのは原文ママ)

いったん、馬鹿右翼にリクルートしたのはよかったが、組織に入ってみたらあまりに下品で粗暴で卑劣で、とても日本的でない、ただのチンピラ集団と分かった人たちが、逆に、覚醒者としてユダヤの邪魔をする側に回ってしまったのだ。
今では、組織に残っているのは、もともとの統率教会会員か、左翼過激派からの偽装転向者、暴力行為に性的満足を求めるホ●同性愛者集団、北朝鮮関係者のみとなってしまった。
(『2012~』291p)

徹底した罵倒であることはお分かりいただけると思う。

特に「小説911」においては、2008年に脱会した元幹部らを執拗に個人攻撃している。
在籍している間は幹部という立場もあって、リチャード氏と個人的な話をする機会も多かったであろう。
リチャード氏がそういったプライベートな話を足掛かりに、妄想の翼を広げていったであろうことは容易に想像できる。

元幹部らは金銭欲、情欲、薬物などによって独立党やリチャード・コシミズを裏切ったとされ、各元メンバーの仕事や経歴をこき下ろしている。
どのような文章が書かれていたかについては割愛させていただくが、相当手ひどく書いている、ということだけは言っておこう。

これら内容がわずかな事実を基にした、巨大で完全な妄想であることは、元幹部の一人がブログに書いているので、具体的な内容とその反論についてはそちらを読むことをお勧めする。

■共通する感想

「小説911」「2012~」のいずれを読んでいて思うのは、結局リチャード氏はこの本をどういうものと位置づけたいのかという疑問である。

普段「事実を述べているから相手は自分を訴えるようなことはできない」と強気な発言をしているので、これらの本についても自分の書いている内容が事実であるという自負があるなら、実名で書けばいいように思う。
だが、手違いであろう箇所を含めなければ、基本的に変名で書いている。

本の内容を読者に事実だと信じてほしいという願望はありありとわかる一方で、フィクションを標榜することで名誉棄損で訴えられることがないように前もって逃げ道を作っている腰が引けた様子も明白である。
実際に訴える人間などいやしないだろうが、リチャード氏自身にしてみれば、自分は世界的な組織に狙われるほどの人間で注目もされていると考えているだろうから無理もないのかもしれない。
度胸云々の問題は抜きにしても、読みにくいからやはり実名で書いてほしかった。

そして何より抱く感想は、

「これ小説じゃない!」

ってことである。

 

おまけ――

1950年代のアメリカに存在していた(ものによっては現存している)疑似科学とその提唱者を紹介した名著、「奇妙な論理」において、筆者のマーティン・ガードナーは「擬似科学者の偏執狂的傾向」の一つとして次のようなものを挙げている。

(2)彼は自分の仲間たちを、例外なしに無学な愚か者とみなす。彼以外の人はすべてピント外れである。自分の敵をまぬけ、不正直、あるいはほかのいやしい動機をもっていると非難し、侮辱する。もしも敵が彼を無視するなら、それは彼の議論に反論できないからだと思う。もしも敵が同じように悪口で仕返しするなら、自分がならず者たちと戦っているのだという妄想を強める。
(『奇妙な論理Ⅰ だまされやすさの研究』31~32p)

リチャード氏の本における脱会者や敵対者に対する態度はまさにこれに当てはまり、50年以上前のガードナーの指摘がいかに正鵠を射ていたのかを思い知らされるのである。

《参考文献》
リチャード・コシミズ 2009 「小説911」 自費出版
リチャード・コシミズ 2010 「2012年 アセンションはやってこない」 自費出版
マーティン・ガードナー 2003 「奇妙な論理Ⅰ だまされやすさの研究」 早川書房

情報統合思念体 ブログ(脱会した元幹部らにより運営されているブログ。カテゴリ「妄想撲滅」の記事がリチャード・コシミズ氏による誹謗中傷を告発する内容になっている)

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