Itokawa Hoax

「はやぶさがイトカワに行っていなかった」という話を初めて聞いたのは昨年の6月だった。
ジョークとしてである。

2011年6月11日に開催された「日本トンデモ本大賞2011」。
過去のトンデモ本大賞受賞作で最高のトンデモ本を選ぼうという「ベスト・オブ・ベスト」に副島隆彦氏の『人類の月面着陸は無かったろう論』が選ばれたのだが、それに付随して観客から「副島先生の次の著作『はやぶさのイトカワ着陸はなかったろう論』はいつ出ますか?」というようなジョークが飛び出した。
会場中が爆笑に包まれたのを覚えている。

この、ジョーク以外では聞いたことがない話を(もしかしたら外国ではそんなこと言ってるやつがいるのかもしれないが)リチャード氏のブログに書き込んだ人物がいたようである。

リチャード氏はその「イトカワ着陸懐疑論」に対する反論を『改訂版 「はやぶさはいとかわに行っていない」』に書いている。

ここで書いているリチャード氏の文章は専門的な領域に踏み込むことはないものの、至極まっとうな反論をしている。

なんだか長文が書いてあって要するに「はやぶさはいとかわに行っていない」という主張らしい。なにやら専門的なことを言っているようだけれど、もし、そうなら、ほかの専門家が騒いでいるはず。試しに聞いてみよう、騒いでいるのは、君だけ?それとも、多くの学者が糾弾している?御用学者の口は封じられてもネットでは祭りになるはずですよ。

終盤の部分はともかく、イトカワ着陸がウソであるなら専門家が騒いでいるはず、という意見はもっともである。

われわれ素人が専門的な知識を要する問題で判断を下す時、専門家の意見や動向を参考にするのは、当然のことである。
専門家の判断を仰いだ方が、素人考えで判断を下すよりもずっとリスクは低いし、正しい結論を導ける可能性が高い。

なので、この記事におけるリチャード氏の反論は問題があるものではない。

しかし、普段いっていることが非常識なものであるがゆえに、たまにまともなことを言うとそれが跳ね返ってダメージを受けるのがリチャード・コシミズという人物である。
だからこそ面白いんだが。

先ほど引用した箇所のあと、リチャード氏は以下のようにも書いている。

壮大な嘘をつくのは、ハザール人の専売特許だけれど、日本人科学者集団のJAXAあたりが集団で卑劣な行為に加担し、真っ赤な嘘をつくと思うか?そこまで日本人は落ちぶれているか?ユダ公並みのクズか?実際の担当者の顔を見て判断できるくらいの人生経験を積んでからお口を開いたほうが良いかと思うが。

「ハザール人」はウソをつくけど、JAXAはウソつかないということである。
ここまで読んで、過去のリチャード氏の発言や主張を知っている人であればすぐに気づくことがある。
JAXAはアポロが月に着陸しているという立場である。
しかしリチャード氏はアポロ月着陸は捏造だという立場なのである。

宇宙開発の分野の専門家たるJAXAの見解を信頼するというスタンスを一貫してとるならば、アポロは月に、はやぶさはイトカワに着陸したと考えるのは当然である。

リチャード氏ははやぶさについてはJAXAの見解を支持しておきながら、アポロについてはJAXAの見解を無視するという、あからさまな二重基準で物を言っているのである。

 

また「専門家の見解を信頼する」という立場をとり、それをもって専門家から支持されていない意見への反論とするので良ければ、昨年リチャード氏が唱え続けてきた東日本大震災人工地震説も一蹴されてしまうのである。

ASIOS著『検証 大震災の予言・陰謀論』にて収録されている寺薗淳也氏の記事「東日本大震災は「地震兵器」により引き起こされた!?」にて次のような記述がある。

この地震が起きて2か月後、千葉・幕張にて、地震学者なども集まる、日本惑星科学連合の年次総会が開催された。私も(地震とは別件で)行ってきたのだが、会場でもこの地震が「人工地震だ」という発表には最後まで巡り会えなかった。(14ページ)

東日本大震災発生以来、それを人工地震などと考えている専門家はいないのだ。
地震学者は自然の地震であることを前提に研究をつづけ、そのメカニズムも判明してきている(4月1日にNHKで放送されたNHKスペシャル『MEGAQUAKEⅡ』の第1回では、専門家たちの最新の研究成果を基に、東日本大震災が発生したメカニズムを伝えている)。

リチャード氏は日ごろ、東日本大震災に関して「自然地震だというならその根拠を提示しろ」とのたまっているが、専門家たちが自然地震としての研究を進め、解明を続けている現状を踏まえれば、東日本大震災が自然地震であるのは自明で、人工地震であると考える理由はないのだ(人工地震説を主張しているのはそろいもそろって素人ばかりである)。

 

もちろんこれまのリチャード氏主要な説において、専門家の見解が尊重されたことはない。
911のビル倒壊もアポロ月着陸も東日本大震災も、専門家の意見を無視して邁進してきた。
自らの健康に関する医師からのアドバイスを無視した結果、心臓の発作を起こして倒れたこともあった(『健康』参照)。

リチャード氏はこれからも専門家の意見に頼らず、自ら得た知識と経験だけで突き進むべきだろう。
これまで築き上げてきた自説とスタンスの一貫性を守るためには、そうするよりほかにはないくらいなのだ。

 


《参考記事》
改訂版 「はやぶさはいとかわに行っていない」
なんで?
richardkoshimizu’s blogより)

アポロ計画
アポロ11号
宇宙航空研究開発機構/宇宙情報センターより)

《参考図書》

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