新医学宣言

今回はリチャード氏が参加した「新医学宣言」の記者会見について書かせていただく。

 

◆今度は船瀬俊介

リチャード氏が商業路線に舵を切り、ムーやベンジャミン・フルフォード氏らのイベントにちょくちょく参加してきたリチャード氏が、今度は船瀬俊介氏のイベントに参加した。

船瀬俊介氏といえば、「買ってはいけない」などの数々の著作を書き、2009年には「新・知ってはいけない!?」がトンデモ本大賞を受賞した、筋金入りのトンデモ本作家である。
陰謀論関係ではベンジャミン氏、健康・医療関係では船瀬氏と、リチャード氏が着々と業界人とのコネクションを築いているのがよくわかる。

あとリチャード氏がよく手を出しているジャンルというと歴史なので、この分野ではだれとつながりを持つのか、少し注目しておきたい。

 

◆新医学宣言記者会見メンバー

新医学宣言の記者会見が行われたのは3月10日。
記者会見に登場したのは以下の4名であり、記者会見で紹介された肩書も併せて記しておく。

  • 白鳥一彦 「新医学宣言」事務局
  • ベンジャミン・フルフォード ジャーナリスト、ホワイトドラゴンソサエティ広報
  • 船瀬俊介 医療・環境ジャーナリスト
  • リチャード・コシミズ 日本独立党代表

これを見てまず思うのはもちろん、「ホワイトドラゴンソサエティってなんだよ(笑)」だが、まあそこは置いておこう。
リチャード氏に関していうと、かなり適当な扱いをされている感じがして、「ひょっとしなくても立場弱そうだな」ということを感じた。
記者会見のメンバーのうち、白鳥氏に関してはあくまで記者会見の司会進行を務めるのがメインで、主力は残りの3人であるが、リチャード氏だけ「ジャーナリスト」の肩書を名乗らせてもらえてないうえに、団体の名前が間違っているという有様である。
おそらく肩書において、リチャード氏の希望は何一つ汲まれていない。

可哀想といえば可哀想なのだが、リチャード氏のジャーナリストの経歴は「自称」の領域を出ておらず、米経済誌「フォーブス」のアジア太平洋支局長を務めた経歴のあるベンジャミン氏や、トンデモ本とはいえジャーナリズムを称する著作を多数書いてきた船瀬氏と並べるには明らかにランクが低いことを考えると、この扱いも仕方のない話ではある(忘れてはいけないが、リチャード氏の著作の多くは「(自称)小説」)。

ジャーナリストを名乗るべきではないとなった時、リチャード氏に残される肩書というと「自営業者」くらいだが、「新医学宣言の記者会見」に臨む人間としては場違いなイメージになってしまう。
それゆえに政治政党の代表っぽい肩書を名乗らせて、残り二人と張り合えるような形にしたのだろう。
だが、「日本独立党」は正式名称とはいいがたい(正式名称は「リチャード・コシミズ独立党」)し、政治団体でもない。

リチャード氏がジャーナリストと名乗らせてもらえなかったばかりか、団体の名前も正しく伝えられなかったのに、それでも文句も言わずに追従し、自分のスピーチする場面において「(独立党は今はただのファンクラブだが)来年ぐらいから政治政党になるかなと思ってます」と、ベンジャミン氏と船瀬氏の希望に沿えるような言葉を口にしたリチャード氏は何とも痛ましかった。

 

◆新医学宣言骨子

新医学宣言骨子はというと、ざっくりいうと「西洋医学によって排除されてしまった、ナチュロパシー、オステオパシー、サイコパシー、ホメオパシーを復活させて、治す医療から予防する医療にしよう」というようなものである。
かつて主流だったけど、今は非主流となった医療を復古しようという宣言が何で「新医学宣言」という名称になっているのかが謎だったり、古い・伝統的な医療に効果があるなら、西洋医学が主流になった現代の方が寿命も長く、人口も多いのはなんでなんだとか、いかにも隙だらけでツッコミどころが多い。

この記者会見の肩書においてはないがしろにされていたリチャード氏であったが、スピーチに設けられた尺は長く、記者会見全体のほぼ半分の時間を利用して彼の現代医学に関するスピーチを行っていた。

リチャード氏のスピーチの前半は現代の医療システムについて。
この先拡大する日本の医療マーケット(特にがん医療分野)で利益を上げるため、ユダヤ金融資本が安倍総理を操って日本の皆保険制度を破壊し、外資系民間保険会社に加入させようとしているという話である。
この話はかなり昔から語られていた話であり、「まだそれらの陰謀が成就していないんだけど、本当にあってるの?」というツッコミは否めない。

そしてこの医療を利用した「錬金術」から脱するための提案が、リチャード氏のスピーチの後半にあたる。
曰く、お金をかけないで健康になる、体の外部から薬を投与するのではなく、体の内側から薬になる成分を作り出して健康になるということである。

リチャード氏がこの場において提案したのは鍼治療とオキシトシンである。
リチャード氏によると、鍼灸治療は、「アイスマン」と呼ばれる古代のミイラからもその痕跡が見つかっている治療法であり、鍼には元手がほとんどかからないので治療費が抑えられるという。
起源の古い治療法で、現在も利用が続けられている治療法というものは、「きっと効果あるから今まで続けられているのだろう」と期待をさせてはくれるが、実際のところ現代医学において鍼治療の効果が認められた症状は、腰痛や吐き気など非常に限定的であり、また肯定の度合いもあまり強くない。
また鍼自体が安価で、1回の治療にかかる費用が抑えられたとしても、長期間継続的に治療を重ねなければ効果が得られない場合、医療費の総額は必ずしも安くはならない。

オキシトシンはホルモンの一種で、現在では陣痛促進剤として投与されることがあるが、これは愛撫や抱擁、性交渉などに体内で分泌されるという。
リチャード氏の話では、授乳時には母親からオキシトシンが分泌され、授乳を通じて子供にもオキシトシンが与えられるという。
で、このオキシトシンが子供の人格形成に良い影響を与えるというのだ。
この話は一見していい話に聞こえるかもしれないが、この話を逆に言うと「授乳をしない(できない)、粉ミルクで子育てをするのは悪いこと」という母乳神話を呼び起こす恐れがある。
オキシトシンを投与した実験で自閉症やアスペルガー症候群が改善したという報告は一部あるようだが、まだ検証が必要な段階であるし、自閉症やアスペルガー症候群の改善が「子供の人格形成に良い」という話の元であるなら、効果を拡大解釈しているように思う。
また、出産をしている間はオキシトシンが分泌され続けるから難産をした方がいいという、出産時に母親がこうむる苦痛やリスクを軽んじた、あまりに無神経な発言までリチャード氏の口から飛び出している。
一度経産婦に引っ叩いてもらった方がよい。

リチャード氏によれば、この他にもオキシトシンには信頼感や自信、幸福感の増大などの効果や、血圧降下効果や心臓の機能改善、長寿やアンチエイジングにまで効用があるという。
あまりの万能薬ぶりにかえって胡散臭さを感じるし、実際にそういう効果があるとして、人間が自然に分泌できる量で事足りるのかも疑問である。

この話のあと、リチャード氏は3月13日の選挙無効裁判とそれに続く講演会、ベンジャミン氏とのトークイベントの告知をしてスピーチを終了とした。

スピーチ途中で口を挟み、リチャード氏がこの先言いたかったであろうことを先に言ってしまうベンジャミン氏はもっと空気と流れを読む力を身につけるべきだが、こちらとしてはその展開はちょっと面白かったので良しとする。
2人のトークイベントもこんな感じなのだろうか?

 

◆救急救命医療だけは認めるの?

ここから先に書くことは記者会見イベントの本筋とははずれるが、少し気が付いたことである。

記者会見では白鳥氏が最初に「新医学宣言」の骨子を読み上げていたのだが、この中で「おや?」と思ったフレーズがあった。

それは以下のようなものである。

「現代医学で評価できるのは、1割を占める緊急救命医療のみ」
「残りの9割は慢性病で無力であり、治すどころか悪化させ、患者を死なせている」

白鳥氏によれば、これはロバート・メンデルソンという小児科の博士が書いた「医者が患者をだますとき」という本に書かれているという。
私がこの言葉に引っかかったのは、同じようなことをリチャード氏が口にしたのを知っていたからである。

リチャード氏は過去に「外科的な救命医療措置だけはその有効性を認める」という旨の発言をしているのだ。

このリチャード氏の発言が完全な彼のオリジナルなのか、それともメンデルソン氏の本からの受け売りだったのかはわからないが、この発言をしたリチャード氏の『事情』というものは理解している。

かつて当ブログの記事でも話題に挙げたことがあるが、リチャード氏は心臓を悪くして死にかけたことがある(参照『健康』)。
その原因は他でもないリチャード氏自身である。
リチャード氏は倒れるひと月前の講演会で、5年前に医者から受けた忠告と処方された薬を無視したが今もピンピンしていると放言していた。

医者の言うことを信用せず、自分の勝手な判断で好き勝手やった挙句に死にかけ、西洋医学の救急救命医療で一命をとりとめたのである。
この体験があるからこそリチャード氏は救命医療措置に一目置かざるを得ないのだ。

このことを踏まえると、メンデルソン氏が救急救命医療だけは認めているのも、代替医療の実践をした結果 重篤化し、救急救命医療によって命を救われたというケースが(一度か複数回かはわからないが)あったのではないかと推測できる。

軽んじていた現代医学の救急救命医療によって命を拾ったという事実はどうにもごまかしようがないので、救急救命医療だけは認めると、上から目線で一歩譲ったのではないだろうか?

 

代替医療にうつつを抜かして病気を重篤化させた挙句、現代医学の救命医療に命を救われたというのは、ブラックジョークめいた笑えない笑い話である。
しかし救命医療によって命が救われたなら幸運な方で、代替医療実践者が手遅れになって死亡したケースも少なからず存在している(日本国内でもホメオパシーを利用していた女性が悪性リンパ腫を肝臓に転移させてしまい、死亡したケースが報告されている)。

もし代替医療に人間の健康を維持したり、病気を治す効果があるのなら、救急救命医療に譲歩する必要がある事態などおきないはずなのだ。

 


《参考記事》

新医学宣言 プレスリリース記者会見 | NPO法人 日本予防医学連絡協議会 | プレスリリース配信代行サービス『ドリームニュース』』(ドリームニュース)

【新医学宣言 海外プレス リリース記者会見 】
ガンの正体 ~ ガンは「浄血装置」 船 瀬 俊 介
【新医学宣言】プレスリリース記者会見
【新医学宣言】プレス リリース記者会見、無事終わりました。
【新医学宣言】プレス リリース記者会見がYoutubeにアップされています。

 

《参考図書》

様々な代替医療を、現代の医学界ではどのように評価しているのかがよくわかる本。
特に第一章ではどのようにして治療法がきくのか聞かないのかを判断しているかが丁寧に解説されているので、とても参考になります。

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「新医学宣言」への2件のフィードバック

    1. それだけの病気を患ってまだ治っていないなら、「健康に不安」どころではありません。
      医者にかかるべきです。
      治っているとしても相談するべきは私ではなく、専門家でしょう。
      この記事の内容から察することができるとおり、私は相談するべきは船瀬氏のような「医療ジャーナリスト」や気功師や鍼灸師ではなく医者だと思います。

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