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なぜ「ガルパンはいいぞ」なのか

2016年の夏はアニメ「ガールズ&パンツァー」(略称ガルパン)の聖地巡礼として、茨城県東茨城郡大洗町へ行ってきました。

今回の記事はリチャード・コシミズや独立党のネタとは何の関係もなく、ただただガルパンの話。
それも私個人ではこうなのだという話なので、あしからず。

DSC01234 (1) 大洗マリンタワーとアウトレットモール

 

◆ガールズ&パンツァーとは

ガールズ&パンツァーとは、2012年10月より放送されたテレビアニメで、タイトルどおり「美少女」と「戦車」をコンセプトに制作されたアニメである。

「戦車道」という架空の武道がある世界で、強豪校から転校してきた主人公 西住みほが素人ばかりのチームを率いて全国大会優勝を目指すというお話。

アニメはテレビ放映当時から話題を呼び、人気を受けてOVAと劇場版が製作された。
劇場版は2015年11月に公開されて以降、2016年8月現在まで公開している館が存在するほどのロングセラーとなっている(Blu-Rayディスクもすでに発売されているが、それでも劇場まで足を運ぶ人がいる)。

で、私もこのアニメには大いにハマり、テレビシリーズも劇場版も何度見てしまい、今年の夏は大洗に行こう、ということになったのである。

DSC01198 (1) 大洗アクアワールド

◆やっぱりエンターテイメント

今でこそ、Blu-rayディスクにとどまらず、スピンオフ作品やアンソロジーコミック、ムック、ドラマCDと買い集めてほくほくしている私だが、改めてなぜこのアニメを好きになったのかを考えてみると、最大の理由はテレビシリーズのエンターテインメント性の高さに尽きると思う。

敵味方が追って追われてのサンドイッチ状態や、敵に包囲されてしまってからの突破、鉄壁を誇る超重戦車との対決、大将同士の一騎打ちなど、毎試合でエキサイティングな展開が出てくる。
私の場合、3話目までこのアニメをかなり惰性で見ていたところがあったのだが、試合をやるようになる第4話以降、その面白さにハマってしまった。
劇場版は120分あるうちのおよそ90分が戦車戦に注がれており、決戦の地となった遊園地では様々なギミックを駆使した戦法が飛び出し、長さを感じさせないものとなっている。

元々作品のコンセプトとして「戦車」という要素はあるが、私はミリタリーに関してほとんど知識がない。
陰謀論には時々兵器の話が出てくるので、必要に応じて記事を読んだりはしてきているが、陰謀論の世界では出てくるのが大量破壊兵器や超兵器の話が多く、戦車はまず出てこないので、戦車に関して詳しくなることはなく、 「戦車が出てくるからこのアニメを見よう」というような動機はなかった。
ガルパンがここまでのヒット作になるには、たくさんの人間からの支持が必要だが、その中には私の様なミリタリーに疎い人間も大勢いることだろう。

DSC01238 (1) 大洗町役場前、劇場版で「OY防衛線」と呼ばれる地点

◆「戦車道」のエンターテイメント、カタルシス

この、ガルパンの試合におけるエンターテインメント性やカタルシスには、「戦車道」が架空の武道であることが大きく貢献したと思う。

まず「戦車道」が武道、スポーツの一種とくくられており、「特殊なカーボンが戦車の内部を覆っていて、実弾を打ち合っているけど死者が出るようなことはない」という設定が、美少女キャラ達による戦車戦を純粋なエンターテイメントとして守ってくれている。

現実の戦史でドイツ軍がイギリス軍を圧倒した「ヴィレル・ボカージュの戦い」の話や、日本のエースパイロット「岩本徹三」の逸話などは、すごいなとは思うものの、その結果戦死者が出てしまっていることを考えると手放しに賞賛するのは難しい。
「戦車道」はスポーツなので、そういう心配をしなくてよく、素直に歓声を上げられるのだ。

そして「戦車道」のおよそスポーツらしからぬルールの寛容さが、カタルシスを与えてくれている。

弱小チームが強豪校をギリギリのところで倒すという番狂わせによって生じるカタルシスは、スポ根ものの定番と言っていいと思う。
では、主人公らが弱小チームであることを分かりやすくするにはどうしたらよいか。
「敵より味方の数が少ない」が一番わかりやすいだろう。
作中、主人公たち大洗女子学園は公式戦で4度戦うが、第1回戦・第2回戦では5輌対10輌、準決勝では6輌対15輌、決勝戦では8輌対20輌と、数的な不利を常に抱えて試合をしている。
戦車の性能の差で不利さを演出するということも可能だろうが、その場合は見ている人間が戦車に詳しくないと不利さが伝わらない。「数が少ない」という説明に勝る説得力は持たせられないだろう。

もし野球やサッカーなど、一般に存在するスポーツであったら、ルール上こういう展開はなかなかやれない。 
控え選手の層の厚さの違いは仕方ないとしても、フィールドに立つ選手の数が最初から不足していることを現実のスポーツではそうそう容認しないだろうが、「戦車道」ではありなのである。

「戦車道」のルールで視聴者が知っておけばいいのは、相手チームの戦車を全車撃破する「殲滅戦」と、各チームが決めたフラッグ車を撃破すれば残存車両数とは無関係に勝敗が決する「フラッグ戦」の2種の試合形式くらいである。
書き割りを使った欺瞞作戦や、通信傍受などをやっても反則負けにならないという「戦車道」の緩いルールは、観ている人間をあれこれ悩まずに楽しませてくれるのだ。

 

私にとっての「ガルパンはいいぞ」は、詳しく書けばこういうこと。

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「やりすぎ」ない都市伝説

今回は久しぶりに独立党から離れてテレビのお話。

2012年11月2日放送の「やりすぎ都市伝説スペシャル」をネタに書かせていただく。

例によって例のごとく、関暁夫が海外の一都市にいき、そこの土地にまつわる都市伝説やまつわらない都市伝説の話をするというもの。

内容的には都市伝説というより陰謀論である。

主にフリーメーソンやイルミナティなど、既にいろいろ言われてたり、200年以上前に解散しているために訴えられる心配をしなくて良くなってたりする組織を黒幕とした陰謀論を展開している。

だが、関の語る陰謀論には実在する企業名が登場する陰謀論も存在し、そのまま関に好きに語らせていたら間違いなくテレビ東京に苦情なり訴訟なりが押し寄せてくるだろう。

テレビ東京が様々なテクニックを駆使して責任を回避しようとしている様子を紹介する。

 

◆スターバックスの繁栄の陰に秘密結社?

シアトルに着いた関が語るところによると、スターバックスが世界進出した影に秘密結社の存在があるという。

・・・・・・という雰囲気の話をしている。

ここはあくまで雰囲気である。

なぜなら関は一度も「スターバックス」という社名を出していないからである。

画面には緑と白で描かれた微笑む女性(人魚?)のロゴマークが大写しになっているが、社名の部分はモザイクで隠されているため、どこの会社かわからない(という建前)。

その企業のシアトルの本社ビルが映し出され、ビルの頂上にある『目』のモニュメントが置かれている、と関は主張し、「目はフリーメーソンのシンボルである」という話をする。

シアトルにあるスターバックス本社のビルには、ロゴマークの絵柄の上部一部分だけをきりとったオブジェクトが設置されている。

(Wikipedia ”Starbucks Center” の記事より)

関は「強い意志がないとあんな切り取り方しない。露骨に目のマーク」と言っているが、どこが露骨なんだろう。
上の写真やテレビの画面ではちゃんとうつされていないが、人魚のかぶっている冠までオブジェに再現されている。
こちらのブログの記事には同ビルの頂上を別の時間帯に写した画像があるが、冠までかぶっているのがわかる。
あれを目と誤認する方こそ、よっぽど強い意志が必要である。

有名なロゴマークは大きく映し出されており、ビルもまんまスターバックスなのだが、一度も名前は出していないから名誉棄損や誹謗中傷には当たらない、ということなのだろうか。

「スターバックスの世界進出の陰に秘密結社」「一等地に次々と出店するのはおかしい」などと関はいっているが、そこはスターバックスの努力の賜物だろう。

 

◆ビル・ゲイツの陰謀?

こっちはスターバックスのケースに比べるとはるかに巧みである。
より悪質ともいえる。

番組全体の流れでいうと、さもビル・ゲイツがワクチンを利用して人を死に至らしめることで、人口をコントロールしようとしているかのような印象を与えている。

だが相手は世界一の超金持ち。
迂闊なことを言って訴えられてはかなわないわけである。

で、テレビ東京がどういう手を使っているかというと、「ビル・ゲイツに関してウソをつかない」という方法を取っている。

ビル・ゲイツの活動や発言に関しては正確に、ゲイツ自身の意図したとおりの情報を発信する一方、他の情報をさしはさんで誤解させることで、視聴者にゲイツが陰謀を企んでいるかのように勘違いをさせかねないような内容にしているのだ。

実際の番組の流れで見てみるとこうである

  1. 関「そんなゲイツが悪魔のタネとは別に、我々人類に仕掛けている恐ろしい計画があるのです。それが、人間の種」
  2. 関「2010年、彼の口から驚くべき発言がされました」
  3. ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%に抑えることができるのです」
    ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。もし私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%抑えることが出来ます」
    (2010年2月TEDビル・ゲイツ公式発言)
  4. 関「アメリカではこういわれています。ビル・ゲイツの真の目的、それはワクチンによる世界人口調整
  5. ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人減らすことが出来ます」
    ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人以上は減らすことが出来ます」
    (2011年2月「CNN]単独インタビューでのビル・ゲイツの発言)
  6. 関がワクチン反対運動家マイケル・ベルキン(Michael Belkin)氏に面会。ベルキン氏は「生後5週間の娘がワクチン接種後に死亡した」という話をする。
    ベルキン氏は娘の死後、ワクチンの必要性に疑問を投げかけ続けている。
  7. 関「ビル・ゲイツっていう人物が、ワクチンを使って世界の人口調整をしようとしているっていう噂があるんですけど」
  8. ベルキン「あるワクチンの開発者から直接聞きました。アフリカの象を増やさないため妊娠を抑制する、いわゆる不妊のワクチンを研究して成功したそうです。ですからMr.関 あなたが言ったことは現実的には可能ということです」
  9. ベルキン「アメリカ全土の病気を管理するCDC(病気管理センター)のトップが、今度は世界的な製薬会社のトップになり、その人物がビル・ゲイツのコンサルタントになりました。これが何を意味するか、あなたならわかるはずです」
  10. 製薬会社と手を組んだビル・ゲイツ。人間の種もコントロールされ、子孫を残せなくなってしまうのか。
  11. 今後ビル・ゲイツおこなう展開の鍵は、ビル&メリンダゲイツ財団という、医療病気様々な分野を支援する善意基金財団が握っている。
  12. この財団のビルを上空から見ると二つの「V」の字形の建物がみえるが、それはメーソンのシンボルであるコンパスと角定規を意味している。
    これはビルゲイツが自ら神になることを意図しているのか?「男」「女」を意味する二つの三角を交差させないことで「子孫を断たせる」という意味なのか?
  13. それとも地球規模の良心で人類に光をもたらすのか?
  14. 関「信じるか信じないかはあなた次第です」

わかるだろうか?
ゲイツに関してはウソをついていないのだ。

3のゲイツの発言など、陰謀論者であれば「ゲイツは人口を10から15%まで減らそうとしている!」とか英文を誤訳しそうなものだが、テレ東は「人口増加を抑制する」というゲイツの発言の趣旨を正確に紹介している。
また5の発言なども「死亡する子供たちを900万人減らす」という、善意の人の発言である。

また「ワクチンによる世界人口調整」という単語も巧みである。
ワクチンで世界の人口を減らすと言っているのではない、調整である
「調整」という言葉であれば、3のゲイツの発言の意図するところから外れず、かつ陰謀論者が「人口を減らそうとしている」と勝手に解釈することが出来るような仕向けることが出来る。
みごとな玉虫色の表現だ。

6から8までの関とベルキン氏のやりとりは、ワクチンというキーワードこそそれまでのゲイツの話と共通しているものの、実は全く関係のない話である。
ゲイツは人間の妊娠を抑制するワクチンをばらまいているわけではないだろう。
「現実的には可能」ということと、「現実にやっている」ということは別である。

9の発言は、「わかるはずです」と言われてもね……。
製薬関係者が、医療の慈善活動をしているゲイツのコンサルタントにつけば、彼の慈善活動に適切なアドバイスを送れるというだけの話だろう。

10、12ではきな臭いナレーションを流しているが、11と13でフォローを入れている。

この番組を見て「ビル・ゲイツはワクチンで世界の人口を減らそうと企む悪漢だ」と結論づける視聴者がいたら、それは番組の情報を正確に把握せずに勘違いしたためであり、局に責任はないとテレビ東京は言い逃れできるだろう。

信じるか信じないかはあなた次第です。
そして信じて憎悪を募らせるのは自己責任です。
関もテレ東も責任を持ってはくれない。

 

【2012/12/15 一部訂正】
ビルゲイツの発言の文字起こしで、不正確な箇所があったため、訂正します。

【誤】 ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%に抑えることができるのです」
【正】 ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。もし私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%抑えることが出来ます」

【誤】 ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人減らすことが出来ます」
【正】 ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人以上は減らすことが出来ます」

あんびりばぼ

2012年地球が滅亡する。

そんなウソのような予言を科学的なデータを下に発表した組織がある。

それは・・・・・・

NASAである!!

 

・・・とまあ、もちろんかなりの部分が出鱈目でしたね「アンビリバボー」。事実を元にしてはいるが、総じて見ればウソと言う、あの手のバラエティではお約束な内容である。

話の中心はマヤ暦と、NASAの出した太陽の極大期に関するもの。なんでも優れた天文の知識を持つマヤ人はその知識によって製作したマヤカレンダーを用いて未来を予測していたとか。このことを紹介してくれたのはモーリス・マコットレル(日本では「モーリス・コットレル」の方が正確かもしれない。いろいろヒットするので)という天文学者&マヤ文明の研究者。どうやらマヤ文明に関しては素人らしい(研究家、研究者は自己申告で名乗れるので)。

「天文学に詳しい→未来がわかる」というのはかなりぶっ飛んだ理屈だがそこはスルー。マヤ人は、自らの文明の破滅、コロンブスの新大陸発見、アメリカ独立、ナポレオンの登場、第一次世界大戦、ナチスドイツなどを予言していたらしい。そしてマヤ暦の5125年には終局が来る!

ここまではトンデモ話なわけだが(いや実際にはここからもなんだが)、この話はNASAがいってんだから本当なんだぞ、というのが番組の流れ。

ではNASAがマヤ暦の予言を正しいといったのか、と言うとそうではなく、あくまで「2012年に関するNASAの発表がマヤ暦の『予言』に合致してる!」という話である。

NASAの発表した極大期は約11年周期に起きているもので、2001年にもあったとのこと(そのときは日本でもちょっとしたオーロラが見えたらしい)。過去一体何度おきてるか知らないが、少なくとも当然人類は滅亡していない。極大期によって太陽嵐が発生し、地上の様々な物に影響(電波障害や大規模な停電)を及ぼすと言うことらしい。

もちろん電波障害や停電では人類が滅亡しないので、滅亡説を売り込みたい人たちはもっと派手なものとも結び付ける。なんでも太陽嵐によって磁場やエネルギーの乱れが発生し、それによって地殻にストレスが与えられるため極大期や極小期の起きる周辺の年には巨大地震が多いから今度も起きるとか。この説明のメカニズムでは、むしろ太陽の活動が控えめになる極小期には起きないはと思うのだが、そこについては説明ない(しかし極小期に起きた大地震として「阪神大震災」と「関東大震災」あげられていた)。TVでは大きな地震の名前が羅列されていたが、11年周期というかなりの頻度起こる現象なので、それが地震の起きた年とが同じになる可能性はもともと高いだろう。くわえて「極大期や極小期の起こった周辺では」と範囲を若干広めに取ればなおのこと、あたかも関連性があるように見えてきてしまう。また「X線やガンマ線、未知の粒子や宇宙線」が降り注いで、人々がつぎつぎと「原因不明の病」に倒れていくという、あまりにもアバウトすぎる怖い話が。何だ未知の粒子や宇宙線って。

このあたりまでくると明らかにNASAの発表ではない。番組の中ではNASAの発表から考えうる被害とどっかの馬鹿が考えた与太話をごちゃ混ぜに紹介していたので、混乱した人も多そうだ。

最終的には日本の研究者のコメントなどで「2012年の極大期で出現する黒点は予想(2006年時点)よりもずっと小さいのではないか」といったフォローが入れられ、2012年に滅ばないといってる人もいますよという「両論併記(ただし非常にバランスは悪い)」の形で幕を閉じる。

番組は2012年の滅亡説に科学的根拠があるとNASAが発表したかのような内容だったが、実際にはそんなことはない。映画「2012」の宣伝活動(おそらく「アンビリバボー」もそのひとつ)などにより急速に2012年滅亡説が広まり、それに対してNASAは公式HPで反論しているのが実情である。

最近はさまざまなメディアでこの滅亡説が急速に広まっている感じがあるが、以前はニューエイジャーによるフォトンベルトのほうがメジャーだったように思う。フォトンベルトによって人類が進化するとか滅亡するとか、どっちなのか、あるいは両方なのか。こっちに関しては(フォトンベルトの存在が)国立天文台などではっきりと否定されてしまった話なので、NASAの公式発表が絡んでいる極大期滅亡説のほうがもっともらしさに富んでいたいうところか。

神秘的な力によってなされた予言(予知)が、科学の力によって確かめられる。そんな「夢やロマン」への憧れが、地球滅亡の話を流布することに一役買っているだろうことはなんとも皮肉に感じてしまうのである。

おまけ――

今年の年末はビートたけしの超常現象番組をやるのだろうか?去年はひどい出来で大変がっかりしたものだったが、期待していいものだろうか?やるならぜひマヤ暦のねた晴らしをしてほしい。

年末番組

2008年ももう終わり。
年末になるとテレビ番組は通常のプログラムから、年末・年始の特番へと移行するわけだが、これが長時間の番組連発なのはどうも好きになれない。
"あたり"の番組があれば長時間もありがたいのだが、"はずれ"を引いたとなると長時間の忍耐を要求されるのがなんとも……。
そんななか、毎年見ている番組がビートたけしがやっている超常現象ネタの番組「超常現象(秘)Xファイル」
最初は大晦日だったと思ったけど、今年は12月30日。タイトルも変化してる気がするな。
人気とともに時間帯が如実に変化してる気が・・・・・・。
もともとTVタックルの「嵐の大ゲンカ!超常現象バトル」という企画が特番形式になったものだと記憶しているが、今は一応否定派として大槻教授ががんばっているものの、基本的には肯定派よりになってしまっているように思える。
松尾貴史とか出てくれないかなあ……。
番組のスタイルとしては、世間の耳目を集めた話題を紹介し、インチキやトリックが明らかになってるものに関しては「ダマサレタ!」というでかいテロップを入れた後に種明かしをするという内容だった。
しかし今ではそれもほとんど出て来ない。今年は一つだけ。
それもエイプリルフールに作られたという、あきらかなジョーク映像
これを「ダマサレタ!」とセンセーショナルに流してみたところでありがたみはゼロ。
あとは肯定的というか、大槻教授のスタジオでの反論程度のもので、検証すらまともにやらない。
 
心霊写真
番組の最初は心霊写真。
「本当にあった呪いのビデオ」とかその辺から引用してきたような映像が目白押し。
スタジオで誰も言わなかったけど、単純に合成と考えればいいような映像が多かった。
樹海に子供が写っていた映像などは、本物の子供をたたせて置きゃいいだけというヤラセっぽい映像。
順位をつけて紹介されていたが、何の順位だったのやら。
あと、心霊写真研究家の人が行ったのは解析とは言わない、解釈。
 
UMA
江口ともみをわざわざメキシコに送り込んで、なぞの動物(話の流れ的に宇宙人ということになってしまった)を捕まえたという連中のいってることを垂れ流しているだけ。
あの後スタジオに出てきた「レプリカ」の出来のよさを考えれば、江口ともみの「継ぎ目とか無いし本物のようだった」という発言は金をかけたギャグにしか聞こえない
日本のUMA話のほうは、なんというかゲストで来ていた山口敏太郎という人の影響か、いい加減な目撃談をもっともらしく紹介するとか言うものではなく、ツチノコの正体についてなど慎重でまじめなスタンスが保たれていたように思える。
山口敏太郎さんはこの手のバラエティ番組には似つかわしくないほど、まじめな研究家なんじゃないかなあと思った。
もしかしたらこの人のことを知ったということが、今回この番組を見ていての一番の意義のある収穫だったかもしれない。
 
宇宙人と接触した男
 クラリオン星人という宇宙人と接触し、地球人は宇宙人によって作られたといっているおじさん。
そのおじさんの話によると、クラリオン星人とトカゲのDNAを混ぜて作られたのが地球人だとか。
何が楽しくて自分たちのDNAとトカゲを混ぜようと思ったんだ?クラリオン星人よ。
このあたりで須藤元気がやたらと元気に
クラリオン星人の写真と声のテープが公開されていたが、その外見(顔だけだけど)はどう見ても地球人。肉声テープは単なる唸り声で、これに一体何の意味があったのかわからん。
 
クラリオン星人だけでなく、今回は韮澤編集長の友人という、ハリー・古山という人にクローズアップ。
この特番で長いこと話題になっていた、金星人の写真を韮沢編集長にもたらしたのはこの人らしい。
だが出てきただけ、という感じだった。
大竹まことの指摘というかツッコミにも満足に答えられない。
宇宙人だという証拠を出せと長年言われてきているのに、出せたのは「金星人」が住んでいたという住居の写真だけ。
当然何の証拠にもならない。
この人たちは自分たちが求められている証拠というものに、どういうものを示せば妥当であるかということがわかってないんじゃないかと心配になる。
古山さんによると、その金星人はテレパシーが優れていて、「ランチを取ろうというタイミングによく顔を出した」というエピソードが紹介される。
それだけでテレパシーが優れていたということになっているらしい。テレパシーが実在するのはどうやら自明。彼らの脳内では。
この話を聞いてて思ったのは、古山さんが相手の人(アメリカ人)を一方的に(勝手に)金星人だと思ってたんじゃないだろうかということ。
迷惑な話である。
 
月を歩いた男が宇宙人との接触を主張
アポロ14号飛行士エドガー・ミッチェル。
この人がNASAやペンタゴンは宇宙人を隠しているとか何とか騒いでいるという話は聞いたことがある。
ただ、具体的な部分は特に調べておらず、どういう主張をしていたのかは気になっていたので興味しんしん。
番組のVTRによると、どうもエドガー・ミッチェルはロズウェル事件が本当だったというのが持論で、自分の宇宙飛行で宇宙人を見たとかそういうわけではないようだ。
こうなると、アポロ14号の飛行士だったというステータスは特に補強材料になったりはしない。
アポロ計画にかかわるような人でも、そういう話を信じるひとはいるのだなあ、というだけである。
 
この話の流れでミッチェルが月面着陸捏造説を否定(捏造映像を作ったとしても、ソ連の目はごまかせないだろうと反論)したことから、捏造説肯定者である大槻教授に飛び火
大槻教授は「立場上、捏造であったとはいえない」などと弁明。正直苦しい。
月から持ち帰った石が月面着陸の決定的な証拠だとは言えないと「消極的」に捏造説を主張する形に。
しかし、いまだに月にはレーザー反射板があるし、機能もしている(ニコニコ動画で見たので、推奨は出来ないが、「あやしい伝説(原題:Myth Busters)」ではレーザー反射板にレーザーを飛ばしていた)。
何より大槻教授は「月の石は地球の石と組成に差が無い」といっていたが、Wikipediaの記事あたりを読めばわかるように、当時未発見だった物質「アーマルコライト」を含有していたり、放射年代測定によれば地球の石よりもはるかに古いなど、地球の石とは異なる特徴はあったようだ。
同様の主張は「新説!?日本ミステリー」でもしていたが、その後誰からも指摘を受けなかったのだろうか?
後に引けなくなったから、いまだに主張を撤回もせずに同じことを言ってる可能性もあるが、そこはきっちり撤回して欲しいところである。
 
宇宙気功
何でも21世紀の気功だとか。
しかしこれまでの気功との違いはよくわからん。
これも特に検証はなく、ただ気功師が出演者に気功を施すだけの内容。
被験者に気功師の動きや発する声が見えない・聞こえない状態で行っても同じ現象は起こせるのか、気功師などではない人が同様のことをやって同じ事は起こせるのかを試してほしかった。
 
番組の公式サイトを見ると、ジュセリーノの予言も扱う予定だったらしいが、番組本編には一切出てこなかった。
何か不都合でもあったのだろうか?
 
最近はこの手の番組に頻繁に顔を出す須藤元気。今回も元気だった。
バシャールとの対談話を本の紹介も交えてはなしたりしていた。
バシャールとゲーデルの不完全性定理という数学基礎理論について話したりしたそうな。
素人二人が高度な数学の問題について生兵法で話し合ってみたところで、何も得るところは無いと思うのだが、「バシャールはすべての質問に答えてくれる」とご満悦。
一方スタジオで「話していることが重要で、宇宙人がいる・いないは大切ではない」などと発言。
しかしバシャールがいなかったら?
二人の不完全性定理に関する話は、それこそ数学を専攻したことない、須藤元気とダリル・アンカという虚言癖の人物という素人二人の会話になってしまう。
それはあたかも、教室の一角で不細工な女子が互いに「可愛い」と褒めあってるさまに似ている。
 
また、量子力学を勝手に拡大解釈し、「この世界は思考・言葉・意識によって出来ていることが証明されつつある」など人間原理な発言。大槻教授に怒られる。
心霊写真は撮る人のネガティブな心の影響が霊を写させるのだとか、LSI(集積回路)や光ファイバーが宇宙人によってもたらされた技術だとか、韮澤さんをはるかに超越する積極性で発言を繰り返す。本当に元気いっぱい
 
この先の超常現象特番にこの人は欠かせないな!!
 
おまけ――
超常現象種明かし番組が目に見えて先細りなのは、検証に手間がかかることや、新しく紹介できるどんどん減ってしまうことが原因の一つにあるんだろうけど、肯定的な番組だって毎回似たり寄ったりな内容なんだから、かまわないと思うんだけどなあ。

予言者と元格闘家

 

皆さんご覧になっただろうか。9月18日のモクスペを。

なんでも、注目されている(誰に?)予言を科学的に検証するとか。まあ、実際に見てみたらまったく検証なぞしてなかったわけだが。

今回は7つの予言がテーマ。日本で人気のジュセリーノ(ブラジルじゃそんなに相手にされてないらしい)はあくまでねたのひとつに過ぎない。
人類の終末にかんする予言が7つも出てくるのだ。
何の節操もなしに。7つのうち人類破滅の時期が一致してるのひとつもないんだよね。

番組は司会コメンテーター(大槻教授、韮澤編集長、千葉正毅)、ひな壇芸人(伊集院光、須藤元気、次長課長、大沢あかね、柳原可奈子、木下優樹菜)、ですすめられ、大槻教授と韮澤編集長のコントとひな壇芸人の驚きフェイスやリアクションでスタジオをにぎわしていた。

ジュセリーノの予言
ジュセリーノの予言は相変わらず(地球破壊度において)景気がよかった。
アフリカの南半分が切り離されて沈むことで、海面が300m上昇とは豪快な。
海面300mの上昇の理由としてアフリカは沈められちゃったわけだが、アフリカはなんで沈むのかの理由を聞きたかった。
いつもだったら自然破壊・環境破壊で人類が自滅していくさまを予言することで、環境保護を訴えるのがこの人のネタなわけだが、何をどう環境破壊をしたらアフリカの南半分が沈んでしまうのか謎である(海面上昇が原因でアフリカが沈むのではなく、アフリカが沈んだために海面上昇なのだそうだ)。

ヒトラーの予言
今になって五島勉(ノストラダムスの大予言を書いた人)の本を出典にするあたりがすごい。しかもほかの本はない。
VTRにおいてヒトラーが行ったという予言に出典が示されてない辺り、なんか怪しい。
あと、自分の身の破滅を予測できなかった人の予言ってあてになるの?

聖徳太子の予言
なんというか、聖徳太子には先見の明があったというエピソードを無理やり予言者にしてしまうあたり、かなり苦しい内容だった。
予言の内容が書かれているという「未然本紀」の内容、予言については正体不明の「解読法」なるきわめて怪しい文言が飛び出す始末。

……それにしても秋山眞人っていろいろやってんなあ。
ドラマ「ガリレオ」放送直前に深夜特番でスプーン曲げてたぞ、この人。
番組内で書かれていたもっともらしい(?)肩書きの「心理哲学博士」なるジョブパシフィック・ウエスタン大学で取得したようである。お金で。

マヤ人の予言
2012年12月23日で暦が途切れてたからこの日に世界が滅びると予言してたんだという内容。
これに対する大槻教授の反論はもっともだと思う。
正直、2012年分まで暦を岩石に彫ったマヤ人にびっくりだろ。
須藤元気は名前のとおり元気だった。

ダ・ヴィンチの予言
モナリザ眺めてただけじゃない?
水の動きに対するスケッチはすごかったと思うが、予言とは関係ないと思う。
須藤元気は元気がありあまってた様子。

ニュートンの予言
これは予言というより予測に近かったと思う。
ニュートンの計算ではハレー彗星が2060年に太陽に衝突すると算出したらしい。
まあそれだけの話で、計算が間違っていたのだろう(詳しく知っている人がいたら教えてほしいです)。

なぜか地球に極小の小惑星が降ってくる話が出てきて、それならばハレー彗星が太陽に衝突しても……という展開に。
ユースケは何しに行ったの?

ジョン・タイター
ネット上に現れたという未来人。
未来から現代にやってきて数々の予言を残したとのことだが、北京五輪が行われないなど、豪快にはずした予言がある
未来人の予言という以上、的中率は100%で当然なのだがなあ。
もちろんテレビじゃ言ってないが。

しかしこの番組で一番面白かったのは、7つの予言でも大槻教授VS韮澤編集長の漫談でもない。

元格闘家(現……何?)須藤元気である。
このひと、格闘界引退後からスピリチュアルやらニューエイジやらの世界観に関する発言や活動・著作がめまぐるしく増えていってたことは知っていたが、この番組でアレさ加減が爆発。
「マヤ人こそ地球外生命体。望遠鏡なしで天体観測なんてできない」
とか
「水にはスピリチュアルな力が・・・」
とか
「宇宙人はいます。バシャールという宇宙人と3日間対談しました」
とか
「2012年は破滅じゃなくて転換期、物質文明から……(フォトンベルトの話だな、これ)」
※上の「」内の須藤発言は正確ではありませんが、誇張などはないです。
とにかく積極的に発言。
なにか視聴者にメッセージを伝えよう、という使命感に燃えていたんじゃないかと思うくらいがんばっていた。
往年の格闘ファンはがっかりかもしれないが、わしは爆笑だった。
きっとひな壇で背景と同化していた伊集院光もひそかに面白がってたに違いない。

須藤元気がメインで好き放題発言する番組はないものか。

おまけ――
別番組のジュセリーノの予言によると、9月13日にアジアのある国(特定しなよ……)でマグニチュード9.1の巨大地震がおきるといってた。
そんな地震が本当におきてれば、モクスペどころではなかったろうなあ。

一般に使われているマグニチュードでは8より大きいものは計算の性質上、まず出ないらしい。モーメントマグニチュードという尺度を用いた場合、マグニチュード9以上も算出されるらしいが、チリ地震クラスで9.5というから、9.1はやはりとんでもない地震である。

ちなみに須藤元気。
相対性理論の式 E=MC^2 の式を見て、
「エネルギーを物質に変換することができる。言葉にはエネルギーがある(意味不明)ので、ありがとうと唱え続けていれば物質化される」と考え、21万回ほど「ありがとう」と唱えたとか。
もちろんそんなことはありえないんだが、彼が21万回目でやめたのはどういう理由だったのだろう
ちなみにE=MC^2の式によれば、1gの物質は約90兆ジュールのエネルギーと等価ということなので、「ありがとう」にどのくらいエネルギーがあるのか知らんが21万回くらいじゃ到底足りないだろう。

このエピソードを寓話として、「情けは人のためならず」の一種として理解してる人もいるようだが、それなら相対性理論の式なぞだすこたぁない。
そういう科学的事実としての数式と寓話を混ぜるとニセ科学といわれてしまうのだ。