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ゾンビのいる風景

■Dead Rising2プレイ中

最近、Dead Rising2(PS3 カプコン 以下「デッドラ2」と略)をプレイしています。

一周するのに対して時間のかからないゲーム(12時間ちょっとくらい?)なのでもう数回クリア。

このゲームはなんといっても「いろんな凶器でたくさんのゾンビをぶっ飛ばす」爽快感が魅力ですな。

はっきり言ってこのコンセプトだけで作られてるんじゃないかと思うくらい。
というのも、ゲームを一回もクリアしないうちから「ステータスを引き継いでゲームを最初からプレイする」ことが可能になっており、クリアするためのハードルは非常に低くなっていて、ゲームのシナリオはあくまでおまけという感じがすごく伝わってくるためである。

こういうゲームだから、一通りのエンディング(4種類かな?)を見てしまったらもう、他の生存者や娘の病状なんて関係ねえ!
ゲーム内で許された72時間、レベル50のチャックさんで好き放題するだけよ!って感じであそんでおります。

そういう一種の無双ゲームとして楽しむのがデッドラ2の正しい遊び方だと思うんだけど、マップが狭く感じられてしまうのが欠点。

乗り物を豪快に飛ばすにはどうしてもマップが狭いのだ。
ゲームの舞台がフォーチュンシティという名前のモールとなっているのだが、車やバイクでぶっ飛ばすにはどうにも狭い。モ-ルだしね。

モールのメインストリートをバイクですっ飛ばすんだけど、階段や段差、ベンチなどの障害物が多く、遠慮なく飛ばせるストレートは長くない。モールの地下道はその点で障害物は少ないが、あまり地下道を利用しないという問題がある。
また、ゲーム中、ほかの乗り物(SUVやスポーツカー、ハーレー)のキーを買うことができるんだけれども、メインストリートより広いところはない。屋内でスポーツカーやハーレーを乗っていても心理的にも物理的にもせまっ苦しい。

理想としてはやはり名前の通りの町を舞台に暴れまわりたい。
ちょっとGTAあたりと混ざってしまうかもしれないが、街にあるいろいろな種類の働く車を乗り回したり、消火栓や電柱、燃料満載のタンクローリーやガソリンスタンドなどオブジェクトを利用したゾンビとの戦いを満喫したいものである。
そういう広い街を16人くらいの同時アクセスで無目的にオンラインプレイするというのが理想だろうか。

■ゾンビと人権

さてここからゲームとはちょっと離れたゾンビの話。

前期のアニメで「学園黙示録 High School Of The Dead」(以下「H.O.T.D.」と略)ってアニメがあったんですけど、すっごいおっぱい揺れてました。
まあおっぱいの話はそれくらいにして、このアニメもやはりゾンビが大量発生する、という話である。

で、デッドラ2もH.O.T.D.のどっちにも、「ゾンビの人権を訴える団体」ってのが出てくる。

デッドラ2に出てくるのは「CURE」という団体で、主人公チャックが参加する「TiR」(Terror is Realityの略)という番組を批判する活動を行っている。H.O.T.D.では団体というほど組織化されたものではなくて(ゾンビの発生という事件の最中なので)、その場で集まった人権派という感じであって、大した規模ではない。

考えてみりゃ、ゾンビが日常になった世界では、そういう人権団体が出てくるのは決してありえない話じゃないんだよね。
ゾンビになった人ってもともとは普通の人間で、どういう原因でゾンビ化したかは作品によって違うものの、ざっくりといって「脳に何らかの障害を負った人」くらいでくくることができるだろう。認知症にかかった人や、脳に腫瘍や傷をもった人の人格が大きく豹変してしまうということがあるくらいなので、たぶんそのくらいの理解で無理はないんじゃないかな……と思ってます。

「ゾンビ」という呼称になると一気に非人間的な存在という認識になってしまうが、間違いなくちょっと前まで、きちんとした人間だったはず。その人権を守ろうという考え自体はおかしくない。

だけど、特にH.O.T.D.においてなんだけど、「自分が襲われる危険性が非常に高い環境下でゾンビの人権を訴える人があらわれる」というのには違和感を覚える。
当然、H.O.T.D.やデッドラ2のような、襲われる危険性が非常に高い、あるいは実際に襲われてる場合において、個人が自分の身を守る権利に基づいてゾンビを攻撃するのは問題がない。正当防衛が成立するだろう。
身を守るために戦った人を非難するのは筋が通らない。

もちろん世の中にはそういう部分を無視して「攻撃した」ことだけに注目して批判するような、勝手な人はいる。
そういう人は当事者の危機がリアリティをもって理解できてないんだろう。

だけど、そういう人が当の現場にたくさん現れるってのはちょっと不自然。

そういう呑気なことを言う人は自分は危機を感じない、感じる必要のない安全な場所にいる人間じゃないだろうか?
911陰謀論の実例を引き合いにすれば、政府による陰謀の可能性を疑っていた遺族者団体は、政府からの報告書の結論を受け入れているという事実がある。
現在、陰謀論に与する遺族者団体は存在しない。それに対して、日本ではいまだに真相究明会議なんてものをやってる。
被害者遺族のように、事態を真剣に受け止めざるを得ない人であれば、無責任なことは言わないものだと思うのだ。

逆にデッドラ2の「CURE」は、むしろあって当たり前だろう。
何しろゲームに出てくる「TiR」という番組は、無意味にゾンビを殺しまくるという番組なのだから。

デッドラ2とH.O.T.D.の違いはここが大きい。
H.O.T.D.は世界的なゾンビの発生という危機的状況の最中だが、デッドラ2はゾンビの発生事件がある程度落ち着いて、ゾンビ化した人間とそうでない人とが安全な距離をはかれている世界なのだ。

ゾンビからの危機をある程度コントロールできているなかで、あえてゾンビを殺しまくるというのは、完全な虐殺だろう。脳障害者をかき集めて殺しまくる番組はあり得ない。
ゲーム序盤のムービーに出てくる、ゾンビに人権なんかないと言う人のほうが、ああいう世界観においてはむしろ非常識な気がする。

うん、デッドラ2のような世界であればゾンビの人権を守ろう!
しかしそうなると、「TiR」を楽しむオンラインプレイは、気持ち的にやりにくくなるな……。

 

おまけ――

Dead Rising2発売直後くらいにインターネットで「画面のバグがひどい」という情報がすっごい流れてたんですけど、個人的にはほとんど気になりませんでした。
テレビなどによって影響は違うのでしょう。
それよりもマップ切り替わり事のローディングのほうが厄介ですね。
救出者をうっかり前のマップに残してきてしまうとマップを引き返すことになるんですけど、そのたびに長めの読み込みを繰り返すは正直イラつきます。

《参考》

学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 公式サイト

もう一つの世界

最近、ごく一部の巷で話題の(じゃあ巷じゃないよ)ScondLife(通称:SL)に手を出してみた。
これはリンデン・ラボというアメリカの会社が作ったオンラインゲームで、様々な企業がこのゲームでの広告活動に手を出していることが話題となり、2007年4月に日本語版がリリース予定されているゲームだ(英語版であればとっくにリリースされている。英語版の言語選択で日本語を選ぶことが可能で、不完全ながら日本語でプレイすることも可能)。
 
で、このSL。世間一般の、マスコミの注目は世界中の企業が広告活動していることとゲーム内の通貨リンデン$(通称L$)がアメリカ$への両替が可能であることに集まっており、ゲーム内で稼いで現実の生活の足しにしている人や、巨万の富を得た人など、「ゲーム内の取引で現実の金を稼ぐ」ことが強く知られるようになった。
わしはプレイ開始当初、WEB製作関連の小ぶりながらも実業家の人や、(広告の?)コンサルタント関係で働いている人たちと偶然会い、SLを広告媒体としての可能性があると考えていることや、実際に仕事としてSLでの広告活動を請け負おうとしているとの話を聞いた。この新しく開けてきたビジネスチャンスに、心を躍らせている様子が見て取れ、門外漢ながらがんばって欲しいと思ったものである。
 
で、わしはこのSecondLifeについてどう考えているかというと・・・
広告媒体としての期待を持つことは悪いことじゃないけど、過信しすぎないほうがいいし、日本ではそれほど効果が出ない可能性が強い
ということ。まあ、あくまで平々凡々、広告業界人でもない一個人の意見なので、反論とか言われても困るけど。
 
では、わしのそう思う根拠を適当に、徒然なるままにかくとしよう。読みにくいかもしれないが勘弁してけろ。
 
1.ネットを越えない?
先に書いたSLでの広告活動を請け負う予定の事業主さんとの話で「様々な広告宣伝方法」の話になった時のこと。その場で話しているのはプロ3人と素人であるわし1人。わしは素人ならではの浅はかなアイデアを出し、プロの方のボツをことごとく食らったわけだが、その中でもごもっともな意見として、「WEBでやったらいいことでしょ?」という意見である。
わしが言ったのは「映画の予告編とかをゲーム内の街角で流して宣伝する」といったものなのだが、「見たいと思う人はHPにアクセスして予告編見るでしょ」とのこと。確かにそうだ。見る気や興味がなきゃあっけなくスルーされる。別のプロの方は「いろんな映画会社の予告編を一挙に纏め上げて扱えばそれなりのものになるよ」とアドバイス。まあわしは関係ない世界の人間なんだけど。それに対して他のプロの方は「それが出来るんだったらもっと他にいい宣伝が(現実社会で)出来るんじゃない?」とのこと。つまりはボツ。なかなかうまい宣伝方法は見つからない。
 
その(わしの発言だけは素人ならではの不毛なものである)会話の中でプロが言った言葉「SLならではの宣伝活動がありそうなんだけどな」が印象に残った。
実際にこれからSL内での広告請負としてのサービスでリアルにお金を稼ごうとしている人も、SLならではの広告、宣伝活動は模索中なのである。
現在、多くの企業(まだ海外が多いね)のやっているSIM(空間だと思ってね)にいってみると(正直そんなに多くは回ってないけど)、ゲーム内での車の試乗や、企業オリジナルTシャツやアイテムの配布などが行われている。が、これは全然WEB上の企業公式HPで行われているダウンロードサービスと大して差がないのだ
こう考えてみればわかりやすいかもしれない。
車の試乗→公式HPのミニゲーム
Tシャツやオリジナルアイテムの配布→壁紙ダウンロードサービス
・・・これにどれほどひきつけられるか。別に新しいわけでもない。どの企業も同じようなことしかやっていないし、正直相当魅力的で手の込んだものでない限り、みんなそこにいってみようとは思わないだろう。TVゲームのキャラクターのコスチューム配布とかならうけるかも。でもいい加減なつくりでは見向きもされないかな。
 
また、プロの人が聞かせてくれた「考えられる仕事」として、「SL内で現実の品物を買えるようなサービス」等といっていたが、これもどうなのだろうか。SL内で商品を再現すると言うことは、商品を3Dで見せることが出来るという点で、写真で見せるしかないWEBに勝っているともいえるが、「現実に手に取っているわけではない」というハードルは存在するし、現時点でSL内で現実の品物を買うための仕組みは十分に用意されているわけではないだろう。
SLは海外のゲーム。もし、ゲーム通貨L$を通して日本国内で商品の取引をするとしたら、L$→$→¥と、2回も為替を通すことになり、手間だろう。値段も不安定だ。しかも両替はタダではなく、手数料がかかる。
もしクレジットカードを通して直接¥で買うのであれば――まあ実際そういう仕組みを作ろうとする動きもあるそうだが、アバターという枷(アバターを仮想空間内で歩き回らせる手間)のあるSLがWEBに勝るか、疑問ではある。技術としてはすごいのだろうけど。
 
2.普及するの?
SLは日本で普及するか?普及するとしたらどれほどの人数がゲームに関わるのか? これが問題だ。
再びプロの人の言葉に焦点を当てるが、「これの広告に関する評価はどうやって測るの?」という意見があった。インターネットのHPならアクセス数でどのくらいの人が見ているかなど、広告主が広告代理店に報酬を払うための基準が測りやすいが、SLではSLという空間に世界中の人間が一挙にアクセスする反面、どれほどの人に見られているかがわからないのだ。
しかも、世界中の人間がやっているのはいいが、日本人がほとんどいなかったりしたら、いくら国内企業が宣伝しようにも効果は上がらないわけだ。SLが日本国内で普及しなければ、広告媒体としてのSLには意味がないだろう。
で、日本でのSLの普及ということだが・・・
 
SLは実はゲームではない。多くのメディアはこれを「オンラインゲーム」、「オンラインRPG」として紹介している。が、これはゲームと呼ぶべきではない。
SLとは「オンライン上に作られた仮想空間」である。リンデン・ラボも「バーチャルワールド」と呼んでいる。
いわゆるオンラインゲームは、ゲーム世界のほかに「目的」や「ゲーム性」といったものが、何らかの形で用意されている。
わしがかつて楽しんだ「ウルティマ・オンライン」(通称UO)も、自由度の高いゲームとして知られていたが、それでも「レアアイテム」や「イベント」、「クエスト」など、目標をプレイヤー自身が設定して楽しめるよう、存在していた。何を目標とするかはプレイヤーが自由に選んでいいわけだが。
が、SLにはそういったものはない。キャラクター育成なんてものは存在しないし、敵もいない。タチの悪いプレイヤーはいるだろうが。
「ゲーム」は他のプレイヤーが作ったゲームや乗り物が存在するわけだが、他のプレイヤー皆が知っているわけではない。
いわゆる「オンラインゲーム」を期待してきた人にはやることがない。ゲームとして遊べるものがすぐさまあるわけではないのだ。それを主催している場所に行かなくてはいけない。そこまでしてやる気がするかは怪しいもの。もし「ゲーム」に参加しっぱなし、ということになったら、広告は見てもらえないだろうしね。
また、「ゲーム」に金がかかるのなら、無料に近い感覚で扱われるWEBほどの普及には当然ならないだろう。ネットは無料に近い感覚だが(実際にはプロバイダ料金とかかかっているけどね)、それに加えて金を払わなくてはならない課金コンテンツは、当然抵抗感は生まれるだろう。
 
わしが思うに、日本語版のリリース直後からちょっとの間は、「ゲームで億万長者」やら「企業のSIMで様々なオリジナルアイテムが」の文言の元に、相当な人数の人間が爆発的に加入するだろう。しかし、その後は仮想世界の現実(「ゲーム」として遊べるものではない。圧倒的な自由度の前に、目的が見つけられない。何か買ったりやったりするにはいちいち金がかかるが、スタート時は無一文にぶち当たり、あっという間にプレイ人口は激減するだろう。津波のようなもんだ。
このSLを長く楽しめるプレイヤーは、SLへの参加動機が「ゲームで遊ぶこと」ではなく、「何か創造したい」である人だ。
SLの本当の面白さは、この「プレイヤーが自由に物を創造できること」にあると思う。3Dで自由に物を作成し、それをアバターに装備させる。人に見せる。
ゲーム内でのクリエイティブな活動こそがこのSLの面白さだ。わし自身、ゲーム内で拙いながらも物を作って楽しんでいる。
だが、その面白さをわかった上でこのゲームに参加しようという人は、そんなに多くないだろう。皆が皆、何かを作ってみたいと思っているわけじゃないだろうし。
実際、Yahooの記事によれば、SLは世界規模で展開していながら、mixiよりも加入人数が少ないという。
SLの存在自体は斬新だが、本当に魅力的と感じる人はそう多くないのだろう。
普及人数が少なければ(あるいは少なくなってしまえば)、広告媒体としての未来はそれほど明るくない。閑散とした仮想空間が広告で埋め尽くされているのは見るに耐えないだろう。わしはそうなってしまうのを危惧している。
 
以上の2点から、わしはSLがそれほど広告媒体としては期待できないという意見に達した。あくまで広告媒体としての話だよ。他のビジネスはどうかはちとわからん。もし広告媒体としての効果を保たせたいのなら、「ゲームとしてのSL」を期待して入ってくるであろう、「ちょっと誤解したユーザー」層をつなぎとめておくべく、L$のかからないイベントやらゲームコンテンツやらを頻繁に起こさなければならない。彼らが去れば、広告効果は期待できないのだ。そうやって「客」をひきつけておかなければ、商売にならなくなってしまうだろう。
 
おまけ――
広告としてではなく、アイテム製作による「個人的な金儲け」をもくろんでいる人に注意。きっとそれほど儲からない。
ゲーム内で取引されている通貨L$は¥に換算すると1L$あたり約0.5円。ゲーム内での品物は10L$から500L$程度が主流。一つ売れても最大250円にしかならない。大体自分がゲーム内のコンテンツを買うのにそんなに大金を支払う気は起きないことを考えて欲しい。それなりの額、手数料を支払ってもお金に換えてよかったと思えるほど稼ぐには、相当な努力とアイデアと技術が要求されることだろう。時給換算すれば、間違いなく労働基準法違反レベルの低賃金労働の(細々とした)稼ぎになるのではないか。生活するほど稼げない。ほぼ間違いなく。
だからこそわしは個人的に物を作って楽しむ程度にとどめている。