都知事選挙が1月23日公示され、2月9日に投票となる。
立候補者は以下の16名。
- ひめじけんじ
- 宇都宮健児
- ドクター・中松
- 田母神俊雄
- 鈴木達夫
- 中川智晴
- 舛添要一
- 細川護熙
- マック赤坂
- 家入一真
- 内藤久遠
- 金子博
- 五十嵐政一
- 酒向英一
- 松山親憲
- 根上隆
(届け出順)
リチャード・コシミズウォッチャーとしても一応見てはいるものの、昨年2013年の衆議院選挙ほどリチャード氏が熱心にかかわろうとする姿勢も見せていないので、こちらも同じようにあまりそういう方向からは熱心に見られていない。
しかしそれはそれとして、インディーズ候補を見るのも好きなため、都知事選には独立党外の楽しみも期待したいと思う。
◆現時点での独立党と都知事選
今回の記事でメインにはならないものの、独立党と都知事選についても書いておこうと思う。
今回のリチャード・コシミズ独立党が最も押しているのが宇都宮健児氏。
一人しか当選できない都知事選で「最も」というのもおかしいのだが、リチャード氏は宇都宮氏のほか、立候補を辞退した吉田重信氏の辞退を『こんな主張の都知事候補者もいました。』の記事で惜しみ、『東京都知事選について』の記事ではインディーズ候補の一人にカウントされる鈴木達夫氏に対しても好意を見せている。
同じような政見を持つ候補者が多数立候補すると票が分散し、望ましいと思った候補者が両方倒れて、結果的に望ましくない候補者が漁夫の利を得る可能性があるため、歓迎するところではないと思うのだが、リチャード氏はあまりそのあたりを気にしていないようである。
宇都宮氏をどう応援していくのかは少し興味深いが、昨年の小沢氏に匹敵するレベルで宇都宮氏に惚れこんでいるとは思えないので、あまり派手な応援(街頭演説など)は期待できそうにない。
独立党員やリチャード氏の影響下にある人間が個々に宇都宮氏の選挙運動を応援するために馳せ参じることくらいはありそうだが、リチャード氏自身が動くような予兆は見られない。
そしてリチャード氏が最も敵視しているのが田母神俊雄氏である。
田母神氏の歴史認識は、中韓の反発感情をあおるものであり、反米にして極東アジア経済圏(ロシア含む)の連携を理想とするリチャード氏にとって分かりやすく敵である。
そのうえ、リチャード氏が嫌っている石原慎太郎やデヴィ夫人が田母神氏の応援に駆け付けていることも、リチャード氏の敵愾心に火をつける要因になっている。
『ユダヤ朝鮮裏社会がマジに田母神を不正選挙で当選させようとしているようです。』ではインターネットホームページで取られたアンケートの結果で田母神氏の支持者が8割もいるという、夕刊フジの記事を真に受けて過剰反応。
調査結果をねつ造だと主張している。
「ネットアンケートはサンプルが偏るので、結果は世論を正確に反映しているとは言えない」という指摘は、もう2012年末の選挙のころからさんざんされてきているのだが、いまだにリチャード氏の耳には入っていないようである。
都合のいい結果は「真実」とし、都合の悪い結果は「陰謀」として処理するという、程度の低い駄々をこねるしかないところが実に痛々しい。
◆都知事選のインディーズ候補たち
まだ政見放送なども流れていない状態だが、IWJやニコニコ動画での公開討論など、インディーズ候補に関する情報はいろいろと増えた。いい時代である。
そんな中、私が見た範囲でよりマイナーなインディーズ候補たちを紹介。
五十嵐 政一(セリ―マレーシア協会副理事長)
マレーシアでの生活長いのか、少々日本語のイントネーションに訛りがあったり、発言する際の単語の選び方につたなさを感じさせる候補である。
この喋り方もかなり印象深いが、なによりの五十嵐氏の特徴は「カジノ推し」であること。
五十嵐氏の主張をまとめると、カジノで日本の人口に匹敵する外国人観光客を呼び込み、その経済効果によって国を豊かにしたいということのようである。
ニコニコ動画で公開されていた『畠山理仁チャンネル主催 東京都知事選挙2014 公開討論会2.0』(以下「公開討論会2.0」と表記)では、「知事になったら継承していきたいもの、変えていきたいもの」「2020東京オリンピックについて」「少子高齢化が進んでいるがどう考えるか」「経済・雇用・福祉について」「2020東京オリンピック後に望まれる東京の姿」といった多種の質問に対して「カジノ!カジノ!カジノ!」と、やたらめったらに強いカジノに対する意気込みを見せ、その強引な論理展開とワンパターンさに他の出席者から失笑が漏れてしまうほどであった。
たしかにカジノは経済効果が期待できるのだが、その一方でギャンブル依存などの社会問題を引き起こすリスクが明白であり、出席者同士の討論では集中砲火を浴びる羽目になっていた。
鈴木達夫(弁護士)
リチャード氏も注目していた鈴木達夫氏。
「公開討論会2.0」の他のメンツの濃さから考えるとおとなしく、普通すぎてかえって浮いている感が否めなかった候補である。
「人権派弁護士」という雰囲気の強い候補者で、主張で最も目立ったのは労働者の権利を守るために、労働組合による団結を求めているところである。
一応原発反対、五輪返上というスタンスなので、リチャード氏にとって悪くない候補ではあるのだが、あくまで労働者の権利に重点を置いた候補であり、それほどあまりマッチしていない気がする。
根上隆(革命家)
革命家である。
もう、これだけでなんだか「合格!」という感じなのだが、「公開討論会2.0」の開始直前まで会場で内職をしているというつつましさと、討論会さなか動き回る大胆さを併せ持った自由人。
かつて殺人未遂で逮捕されたこともあり、その様子がYouTubeにて全世界に公開されているという、なかなかレアな人物である。
「公開討論会2.0」では、「五輪に関わるハコモノや除染作業などの大型事業が利権の温床になっている」、「選挙が利権集団にとってのセレモニーになっている」、「自給自足が人の生活の基本である」といった主張をしており、現在の経済を優先する社会に対する強い不満を見せている。
そのためか、五十嵐氏の経済効果を重視したカジノ政策に対して強く反発していた。
内藤久遠(元派遣社員)
「公開討論会2.0」はおそらく最も積極的に発言した候補者。
浮いた発言がすくないことや保守寄りの発言が多かったことからか、視聴者から一番受けが良かった候補者だったと思う。
他の候補予定者たちが、独自のこだわり(五十嵐氏のカジノが特に顕著だった)に絞っているためか、うまく回答できないような分野の質問があるのに比べて、かなりいろんな分野で回答できていたようにも思える。
自分の学歴や肩書をひけらかすのに具体的な政策についてろくに語れていないドクター中松や山口節生の姿と、「元派遣社員」という華やかさのない肩書だが堅実に政見を述べる内藤氏の姿は、視聴者にとって「人間、学歴がすべてではない」という好例に映ったのではないだろうか。
中川智晴(一級建築士)
「公開討論会2.0」に出席していない候補者だが、この人物の記者会見とマニフェストのホームページには目を通した。
おそらく今回のインディーズ候補の中で最大のカオスさに満ちた候補者である。
肩書は一級建築士となっているのだが、記者会見での「現在収入を得ている仕事は?」という質問に対して歯切れが悪く、「財テク」という珍解答で乗り切ろうとしていた。
一級建築士の資格は持っているものの、一級建築士としての仕事はなく、別途ソフトウェアなど開発をして収入を得ているのではないのか、というのが私の推測である。
記者会見では「要するに…」という言葉で発言をつなげる傾向があるものの、聞いていてもさっぱり言ってることが頭に入ってこない、という状態で、彼の政見について知りたければホームページのマニフェストを読んだ方がよいように思える。
しかしながらこのマニフェストもかなりの曲者。
彼のマニフェストのサイトでその全文を読むことができるが、長い。
長いうえにかなり支離滅裂な内容なので読んでいてつらい。
彼の政策を超ざっくりとまとめると、こんな感じである。
自分が都知事になったら、9つのミッションを都に課す。
都庁職員の年棒は2000万、議員の年棒は5000万でスタートするが、一回失敗するたびに年棒はそれぞれ2000万円、5000万円ずつ引かれる。
つまり一回の失敗で年棒は0になり、2回以上失敗すると都に負債(それぞれ2000万、5000万ずつ)が増えていくという仕組み。全部成功すれば年棒が倍になる。
逆に都知事の年棒は5000万からスタートし、ミッションが失敗するたびに100億円をもらえる。
ミッションは「どんぶり勘定政策」「東京リゾート計画」「都市再生法案」「東京都学童再生顧問」「東京都ファンタジープラン」「酔拳議会」「僕らは、かわいそうじゃない、普通なんだ」「清水の次郎長政策」「スマッシュ政策」など。
各政策すべてを紹介するのはさけるが、たとえば「どんぶり勘定政策」では、都民に年収800万を与えることで生活水準を底上げる。
しかし都民には継続的な勉強や「伸びること」が義務付けられ、それができなければ年棒はなし。
「壊す人」に至っては財産をマイナス100億円にされてしまう(「壊す人」というのが何を指すのかわかりませんでした)。
都民、職員、議員がそれぞれ800万、2000万、5000万でスタートして、失敗していくと巨額の負債を抱える羽目になるという、全然乗りたい気にさせてくれない非常にリスキーな政策である。
それに対して知事は随分といい待遇である。
何しろ基本報酬が5000万からスタートして、全ミッションが失敗した場合には、中川氏は900億という巨万の富を得るというのである。
しかも知事の収入がマイナスになるということはないらしい。
明らかに不公平なのだが、「私は、全世界の人が愛してくれた、世界を統一した国の本物の国王です」ということだから、もうなんだか納得するしかないなという感じである。
ちなみにマニフェストのページは全部で5つのページで構成されているが、残りのページは1ページ目ほど難解な印象はないので、そちらを見たほうがいいかもしれない。
◆番外編–山口節生
伝説的インディーズ候補、山口節生については都知事選とは別に書かなくてはならない。
なぜなら、彼は「公開討論会2.0」に出席してかなり好き放題喋っていたものの、都知事選には出ないからである。
そんな山口節生だが、触れないわけにはいかないと思う。
それほど面白かったのである。
都知事選にまつわる彼の行動を書くと以下のとおりである。
1月8日 東京都知事選挙に出る決意を表明し、記者会見を行う。
1月9日 資金不足を理由に都知事選を辞退する。
1月18日 なぜか「公開討論会2.0」に出席
1月19日 深谷市長選挙公示日。山口節生が出馬することが判明する。
1月20日 山口節生に実刑判決(懲役8ヶ月)がくだる。
怒涛の展開である。
これだけで、まるで海外の連続ドラマシリーズの最終話だけを立て続けに見ているようではないか。
たった1日で立候補を辞退というのも何なんだという感じだが、ラストは実刑判決というどんでん返しが待っていた。
個人的には「超展開の男」とさえ呼びたいくらいである。
実刑判決になった罪状は公文書毀棄で、駐車違反の際の供述調書を破り捨てたとのことである。
立候補を表明した記者会見の場、あるいは「公開討論会2.0」にて、彼は度々「演説をしていたら警察に逮捕された。表現の自由の侵害だ」という旨の発言をしていたが、演説の内容と罪状は無関係そうである。
ちなみに、現在上告中で刑が確定していないため、市長選を戦うことは法的に可能だという。
もちろん、法的に戦えるということと、勝てるということは別である。
「公開討論会2.0」のあとも立候補の意思を示す人は現れ続け、最終的にすべての立候補者は16名という大所帯になった。
都政の行く末を占ううえで注目するべき候補者はそのうちのごく一部に限られているかもしれないが、やはり少しでも多くの候補者を見ていくことも大切である。楽しいから。
【2014/01/27 一部記入が漏れていた箇所を直しました】
《参考記事》
『本来当選するべき候補が名乗りを上げたようです。』
『キチガイユダヤ朝鮮裏社会は、本気でダボハゼを不正都知事にするつもりですか?』
『統一CIA・北朝鮮協会の合同演説会ですか?』
『RK独立党員による宇都宮事務所探訪記・参考記事です。』
『こんな主張の都知事候補者もいました。』
『東京都知事選について』
『ユダヤ朝鮮裏社会がマジに田母神を不正選挙で当選させようとしているようです。』
(richardkoshimizu’s blogより)
『畠山理仁チャンネル主催 東京都知事選挙2014 公開討論会2.0』
『山口節生、2014年東京都知事選に立候補表明!』
『山口節生、やっぱり2014年東京都知事選立候補取りやめ!』
『山口節生、深谷市長選に立候補!』
『山口節生、実刑判決を受け上告!』
(Experiments of Actinより)