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なぜ「ガルパンはいいぞ」なのか

2016年の夏はアニメ「ガールズ&パンツァー」(略称ガルパン)の聖地巡礼として、茨城県東茨城郡大洗町へ行ってきました。

今回の記事はリチャード・コシミズや独立党のネタとは何の関係もなく、ただただガルパンの話。
それも私個人ではこうなのだという話なので、あしからず。

DSC01234 (1) 大洗マリンタワーとアウトレットモール

 

◆ガールズ&パンツァーとは

ガールズ&パンツァーとは、2012年10月より放送されたテレビアニメで、タイトルどおり「美少女」と「戦車」をコンセプトに制作されたアニメである。

「戦車道」という架空の武道がある世界で、強豪校から転校してきた主人公 西住みほが素人ばかりのチームを率いて全国大会優勝を目指すというお話。

アニメはテレビ放映当時から話題を呼び、人気を受けてOVAと劇場版が製作された。
劇場版は2015年11月に公開されて以降、2016年8月現在まで公開している館が存在するほどのロングセラーとなっている(Blu-Rayディスクもすでに発売されているが、それでも劇場まで足を運ぶ人がいる)。

で、私もこのアニメには大いにハマり、テレビシリーズも劇場版も何度見てしまい、今年の夏は大洗に行こう、ということになったのである。

DSC01198 (1) 大洗アクアワールド

◆やっぱりエンターテイメント

今でこそ、Blu-rayディスクにとどまらず、スピンオフ作品やアンソロジーコミック、ムック、ドラマCDと買い集めてほくほくしている私だが、改めてなぜこのアニメを好きになったのかを考えてみると、最大の理由はテレビシリーズのエンターテインメント性の高さに尽きると思う。

敵味方が追って追われてのサンドイッチ状態や、敵に包囲されてしまってからの突破、鉄壁を誇る超重戦車との対決、大将同士の一騎打ちなど、毎試合でエキサイティングな展開が出てくる。
私の場合、3話目までこのアニメをかなり惰性で見ていたところがあったのだが、試合をやるようになる第4話以降、その面白さにハマってしまった。
劇場版は120分あるうちのおよそ90分が戦車戦に注がれており、決戦の地となった遊園地では様々なギミックを駆使した戦法が飛び出し、長さを感じさせないものとなっている。

元々作品のコンセプトとして「戦車」という要素はあるが、私はミリタリーに関してほとんど知識がない。
陰謀論には時々兵器の話が出てくるので、必要に応じて記事を読んだりはしてきているが、陰謀論の世界では出てくるのが大量破壊兵器や超兵器の話が多く、戦車はまず出てこないので、戦車に関して詳しくなることはなく、 「戦車が出てくるからこのアニメを見よう」というような動機はなかった。
ガルパンがここまでのヒット作になるには、たくさんの人間からの支持が必要だが、その中には私の様なミリタリーに疎い人間も大勢いることだろう。

DSC01238 (1) 大洗町役場前、劇場版で「OY防衛線」と呼ばれる地点

◆「戦車道」のエンターテイメント、カタルシス

この、ガルパンの試合におけるエンターテインメント性やカタルシスには、「戦車道」が架空の武道であることが大きく貢献したと思う。

まず「戦車道」が武道、スポーツの一種とくくられており、「特殊なカーボンが戦車の内部を覆っていて、実弾を打ち合っているけど死者が出るようなことはない」という設定が、美少女キャラ達による戦車戦を純粋なエンターテイメントとして守ってくれている。

現実の戦史でドイツ軍がイギリス軍を圧倒した「ヴィレル・ボカージュの戦い」の話や、日本のエースパイロット「岩本徹三」の逸話などは、すごいなとは思うものの、その結果戦死者が出てしまっていることを考えると手放しに賞賛するのは難しい。
「戦車道」はスポーツなので、そういう心配をしなくてよく、素直に歓声を上げられるのだ。

そして「戦車道」のおよそスポーツらしからぬルールの寛容さが、カタルシスを与えてくれている。

弱小チームが強豪校をギリギリのところで倒すという番狂わせによって生じるカタルシスは、スポ根ものの定番と言っていいと思う。
では、主人公らが弱小チームであることを分かりやすくするにはどうしたらよいか。
「敵より味方の数が少ない」が一番わかりやすいだろう。
作中、主人公たち大洗女子学園は公式戦で4度戦うが、第1回戦・第2回戦では5輌対10輌、準決勝では6輌対15輌、決勝戦では8輌対20輌と、数的な不利を常に抱えて試合をしている。
戦車の性能の差で不利さを演出するということも可能だろうが、その場合は見ている人間が戦車に詳しくないと不利さが伝わらない。「数が少ない」という説明に勝る説得力は持たせられないだろう。

もし野球やサッカーなど、一般に存在するスポーツであったら、ルール上こういう展開はなかなかやれない。 
控え選手の層の厚さの違いは仕方ないとしても、フィールドに立つ選手の数が最初から不足していることを現実のスポーツではそうそう容認しないだろうが、「戦車道」ではありなのである。

「戦車道」のルールで視聴者が知っておけばいいのは、相手チームの戦車を全車撃破する「殲滅戦」と、各チームが決めたフラッグ車を撃破すれば残存車両数とは無関係に勝敗が決する「フラッグ戦」の2種の試合形式くらいである。
書き割りを使った欺瞞作戦や、通信傍受などをやっても反則負けにならないという「戦車道」の緩いルールは、観ている人間をあれこれ悩まずに楽しませてくれるのだ。

 

私にとっての「ガルパンはいいぞ」は、詳しく書けばこういうこと。

「やりすぎ」ない都市伝説

今回は久しぶりに独立党から離れてテレビのお話。

2012年11月2日放送の「やりすぎ都市伝説スペシャル」をネタに書かせていただく。

例によって例のごとく、関暁夫が海外の一都市にいき、そこの土地にまつわる都市伝説やまつわらない都市伝説の話をするというもの。

内容的には都市伝説というより陰謀論である。

主にフリーメーソンやイルミナティなど、既にいろいろ言われてたり、200年以上前に解散しているために訴えられる心配をしなくて良くなってたりする組織を黒幕とした陰謀論を展開している。

だが、関の語る陰謀論には実在する企業名が登場する陰謀論も存在し、そのまま関に好きに語らせていたら間違いなくテレビ東京に苦情なり訴訟なりが押し寄せてくるだろう。

テレビ東京が様々なテクニックを駆使して責任を回避しようとしている様子を紹介する。

 

◆スターバックスの繁栄の陰に秘密結社?

シアトルに着いた関が語るところによると、スターバックスが世界進出した影に秘密結社の存在があるという。

・・・・・・という雰囲気の話をしている。

ここはあくまで雰囲気である。

なぜなら関は一度も「スターバックス」という社名を出していないからである。

画面には緑と白で描かれた微笑む女性(人魚?)のロゴマークが大写しになっているが、社名の部分はモザイクで隠されているため、どこの会社かわからない(という建前)。

その企業のシアトルの本社ビルが映し出され、ビルの頂上にある『目』のモニュメントが置かれている、と関は主張し、「目はフリーメーソンのシンボルである」という話をする。

シアトルにあるスターバックス本社のビルには、ロゴマークの絵柄の上部一部分だけをきりとったオブジェクトが設置されている。

(Wikipedia ”Starbucks Center” の記事より)

関は「強い意志がないとあんな切り取り方しない。露骨に目のマーク」と言っているが、どこが露骨なんだろう。
上の写真やテレビの画面ではちゃんとうつされていないが、人魚のかぶっている冠までオブジェに再現されている。
こちらのブログの記事には同ビルの頂上を別の時間帯に写した画像があるが、冠までかぶっているのがわかる。
あれを目と誤認する方こそ、よっぽど強い意志が必要である。

有名なロゴマークは大きく映し出されており、ビルもまんまスターバックスなのだが、一度も名前は出していないから名誉棄損や誹謗中傷には当たらない、ということなのだろうか。

「スターバックスの世界進出の陰に秘密結社」「一等地に次々と出店するのはおかしい」などと関はいっているが、そこはスターバックスの努力の賜物だろう。

 

◆ビル・ゲイツの陰謀?

こっちはスターバックスのケースに比べるとはるかに巧みである。
より悪質ともいえる。

番組全体の流れでいうと、さもビル・ゲイツがワクチンを利用して人を死に至らしめることで、人口をコントロールしようとしているかのような印象を与えている。

だが相手は世界一の超金持ち。
迂闊なことを言って訴えられてはかなわないわけである。

で、テレビ東京がどういう手を使っているかというと、「ビル・ゲイツに関してウソをつかない」という方法を取っている。

ビル・ゲイツの活動や発言に関しては正確に、ゲイツ自身の意図したとおりの情報を発信する一方、他の情報をさしはさんで誤解させることで、視聴者にゲイツが陰謀を企んでいるかのように勘違いをさせかねないような内容にしているのだ。

実際の番組の流れで見てみるとこうである

  1. 関「そんなゲイツが悪魔のタネとは別に、我々人類に仕掛けている恐ろしい計画があるのです。それが、人間の種」
  2. 関「2010年、彼の口から驚くべき発言がされました」
  3. ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%に抑えることができるのです」
    ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。もし私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%抑えることが出来ます」
    (2010年2月TEDビル・ゲイツ公式発言)
  4. 関「アメリカではこういわれています。ビル・ゲイツの真の目的、それはワクチンによる世界人口調整
  5. ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人減らすことが出来ます」
    ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人以上は減らすことが出来ます」
    (2011年2月「CNN]単独インタビューでのビル・ゲイツの発言)
  6. 関がワクチン反対運動家マイケル・ベルキン(Michael Belkin)氏に面会。ベルキン氏は「生後5週間の娘がワクチン接種後に死亡した」という話をする。
    ベルキン氏は娘の死後、ワクチンの必要性に疑問を投げかけ続けている。
  7. 関「ビル・ゲイツっていう人物が、ワクチンを使って世界の人口調整をしようとしているっていう噂があるんですけど」
  8. ベルキン「あるワクチンの開発者から直接聞きました。アフリカの象を増やさないため妊娠を抑制する、いわゆる不妊のワクチンを研究して成功したそうです。ですからMr.関 あなたが言ったことは現実的には可能ということです」
  9. ベルキン「アメリカ全土の病気を管理するCDC(病気管理センター)のトップが、今度は世界的な製薬会社のトップになり、その人物がビル・ゲイツのコンサルタントになりました。これが何を意味するか、あなたならわかるはずです」
  10. 製薬会社と手を組んだビル・ゲイツ。人間の種もコントロールされ、子孫を残せなくなってしまうのか。
  11. 今後ビル・ゲイツおこなう展開の鍵は、ビル&メリンダゲイツ財団という、医療病気様々な分野を支援する善意基金財団が握っている。
  12. この財団のビルを上空から見ると二つの「V」の字形の建物がみえるが、それはメーソンのシンボルであるコンパスと角定規を意味している。
    これはビルゲイツが自ら神になることを意図しているのか?「男」「女」を意味する二つの三角を交差させないことで「子孫を断たせる」という意味なのか?
  13. それとも地球規模の良心で人類に光をもたらすのか?
  14. 関「信じるか信じないかはあなた次第です」

わかるだろうか?
ゲイツに関してはウソをついていないのだ。

3のゲイツの発言など、陰謀論者であれば「ゲイツは人口を10から15%まで減らそうとしている!」とか英文を誤訳しそうなものだが、テレ東は「人口増加を抑制する」というゲイツの発言の趣旨を正確に紹介している。
また5の発言なども「死亡する子供たちを900万人減らす」という、善意の人の発言である。

また「ワクチンによる世界人口調整」という単語も巧みである。
ワクチンで世界の人口を減らすと言っているのではない、調整である
「調整」という言葉であれば、3のゲイツの発言の意図するところから外れず、かつ陰謀論者が「人口を減らそうとしている」と勝手に解釈することが出来るような仕向けることが出来る。
みごとな玉虫色の表現だ。

6から8までの関とベルキン氏のやりとりは、ワクチンというキーワードこそそれまでのゲイツの話と共通しているものの、実は全く関係のない話である。
ゲイツは人間の妊娠を抑制するワクチンをばらまいているわけではないだろう。
「現実的には可能」ということと、「現実にやっている」ということは別である。

9の発言は、「わかるはずです」と言われてもね……。
製薬関係者が、医療の慈善活動をしているゲイツのコンサルタントにつけば、彼の慈善活動に適切なアドバイスを送れるというだけの話だろう。

10、12ではきな臭いナレーションを流しているが、11と13でフォローを入れている。

この番組を見て「ビル・ゲイツはワクチンで世界の人口を減らそうと企む悪漢だ」と結論づける視聴者がいたら、それは番組の情報を正確に把握せずに勘違いしたためであり、局に責任はないとテレビ東京は言い逃れできるだろう。

信じるか信じないかはあなた次第です。
そして信じて憎悪を募らせるのは自己責任です。
関もテレ東も責任を持ってはくれない。

 

【2012/12/15 一部訂正】
ビルゲイツの発言の文字起こしで、不正確な箇所があったため、訂正します。

【誤】 ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%に抑えることができるのです」
【正】 ゲイツ「世界の人口は現在68億人。近い将来90億人に達します。もし私達がワクチンや健康管理、そして生殖の問題に取り組めば、増加し続ける世界の人口を10%から15%抑えることが出来ます」

【誤】 ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人減らすことが出来ます」
【正】 ゲイツ「私たちのこれから10年間の新たなワクチンの生産。またそれを必要とする子供達への供給に関して、大きな進歩を遂げることが出来ると信じています。成功すれば1年間で死亡する子供たちを900万人以上は減らすことが出来ます」

別の本の話

当ブログを見てくださる方の中に、リチャード氏の新刊『リチャード・コシミズの新しい歴史教科書』に関する記事を期待してくださっている方がいるとは思うのだが、中古本が安く手に入らないので、まだ入手すらしていない状態である。

そんなわけで今回は別の本、泉パウロ著『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』について。

以前の記事で書いたとおり今年のトンデモ本大賞に輝いてしまうような本なので、デタラメなだけでなく爆笑ものな記述がかなり多い本ではある(ただし所詮はトンデモ本なので、大して面白くもなんともない箇所もかなりある。ただただ笑いたいのならギャグ漫画を読んだ方がいい)。

感想をひとことでいうと、「カオス」である。
とにかくいろんな情報をいろんなところ(おそらくはネットが大半だと思うのだが)から引っ張ってきて、それらが全く整理されていないという感じである。

 

◆はっきりしない黒幕

当ブログでウォッチングしているリチャード氏は世界の黒幕にユダヤ人を名指しし、言葉の限りの悪態をついている。
ドン引きモノの行為といえばそうなんだが、もしリチャード氏の言っていることが事実であるならば確かにそのように怒りをぶつけたりするのはわからないのでもない(事実ではないから問題なんだが)。

それに比べると泉氏の本の中では「これが黒幕なんだ!」という明確な名指しがいまいちない。

 

どうやらユダヤ人が悪役という設定になっているのはわかる。
ユダヤ人に関する記述はそれなりに分量を割いているし、本の中で「シオン賢老の議定書」(邦題はいろいろとつけられているが、この本ではこう書いている)やら「ゴイム」や「ディアスポラ(離散)」に関する文章がでてきたりする。

しかしながら、フリーメーソンもどうやら同様に悪役で、どちらが上位組織なのかとかがはっきりしていない。

かと思えば196ページにはロックフェラー一族について紹介した文章が書かれている。
このロックフェラー家が上記の2つとどのように関連しているかもはっきりしない。
しかも同ページはなぜか「三百人委員会」を頂点とした組織図が何の説明も注釈も無く記載されていて、ますます混迷を極める。一体どの組織を告発したいのだろうか。

本書ではたびたび「サタン」の名前が出てくるが、これがあくまで悪人たちを便宜的にそう呼んでいるだけなのか、本当に悪魔が実在して悪事を働いていると考えているのかもよくわからない。

 

◆めちゃくちゃな情報

著者、泉パウロ氏にとっての情報源はネットが多いというのはわかる。
なぜならリチャード氏の主張の非常に多くがこの本に取り込まれているからである。

リチャード氏がこの本を「パクリ本」と表現した気持ちも理解できてしまうくらい多い。
「定点人工地震説」や「『ちきゅう』関係者の人工地震発言」、はては「純粋水爆説」まで何食わぬ顔で登場する。純粋水爆が存在する可能性を何一つ考慮に入れず書いてあるあたり、図太いというか鵜呑みにもほどがあるというか……。

もちろん著者が鵜呑みにしているのはリチャード氏だけではない。
それこそが今年のトンデモ本大賞を受賞した秘訣だろう。

テレビCMや映画(それも20年近く前のものまである)の映像や、聖書の暗号、イルミナティカード、個人的に送られてきた手紙など、普通の人だったら相手にしそうにない雑多な情報を遠慮なく詰め込んだ感じだ。

ただあまり深く考えずにいろんな情報をとにかく入れた感じはつよく、所によって矛盾してたり明らかに間違ってる箇所があったりする。

・プロジェクトシールが無茶苦茶
リチャード氏があつかった関係で、当ブログでも触れたことのある「プロジェクト・シール」とOSSの作った「対日心理作戦計画」がこの本にも登場するのだが、この二つがごっちゃになっている。

35ページでは「THE FINAL REPORT OF PROJECT “SEAL”」(当ブログ記事『Project "SEAL" を読もう』参照)が、OSSの「対日心理作戦計画」の一つとして「封印計画の最終報告書」なんて邦題をつけて紹介されている。

ところが、これとは別に46-47ページでは「30mを超える津波発生に成功――津波爆弾「プロジェクト・シール」とは?」なんて記事も書かれており、完全に別のネタとして扱われている。
報告書のタイトルで「THE FINAL REPORT OF PROJECT “SEAL”」=「プロジェクト・シール最終報告書」と気づかなかったのだろうか?だとすればマヌケにもほどがある。

・皇族が嫌いなのか誇りなのか
天皇家に対する記述では誤りというより矛盾を起こしている。

199-201ページにかけて引用されている記事は、天皇家が武器の密輸や売春で蓄財していたとか天皇家こそ日本民族の敵であるといったかなりアブない主張をしている。

引用している以上は著者である泉氏もおなじスタンスなのかと思いきや、このすぐ後の205ページからは日ユ同祖論がはじまり、天皇こそがヘダビデの正統な血を引いていると持ち上げている。褒めたいのか貶したいのかどっちなんだ。

・放射能について
福島原発から漏れた放射能の問題についても、統一が図られているとは言い難い。

147ページでは福島原発から燃料棒が事前に抜き取られていた、というリチャード氏の「エアーメルトダウン」説を取り上げ(この本においてリチャード氏は引用元としてまったく紹介されていないし、名前が出て来ることすらない。不憫)、関連する報道を「民衆をあおるプロパガンダ」と表現している。

ということは、著者は福島やその他の地域において放射線の危険性は低いという認識なのかというと、これがまたおかしくなってくる。

156ページからはじまる「日本は今、タイタニック沈没状態・・・・・・」では、政府高官や議員たちが国民に放射能の危機を知らせずに自分たちだけ安全な所へと逃げていると非難している。
安全なのか危険なのか、どっちだ。

この他にもマグナBSPがアメリカ104か所の原発を建設していたり(警備システムメーカーのマグナ社が原発を建設しているわけはないし、104というのはアメリカにある原子炉の数であって発電所の数ではない)、「宇宙戦艦ヤマト」が全米大ヒットしていたりもする。

 

◆陰謀に相乗りしてみる著者

こんな「雑な」行為が目立つ泉氏。

311に引き続いて411にも地震が起こし、それによる株価の変動で悪者たちがひと儲けするに違いないと考え、それに乗っかることで陰謀を証明しようと考え、プットオプションを試みたという。

結果としてこの試みは成功し、50万円ほどの利益を出したという。倫理的にそれでいいのか。

だがもちろん、単に泉氏の運が良かっただけかもしれず、陰謀があった証拠には全くならない。
震災後の余震は4月11に限らず起きていたし、そのなかには4月11日の地震に匹敵する揺れの地震もあった。
そんな余震が起きるたびに株価が下がる企業というのは考えにくい。
泉氏の考える通り、地震を利用した株の不正な取引があるのなら、泉氏が目をつけた銘柄を大量に取引した人間がいたのかを調べる必要があるだろう。

泉氏は自分の妻を説得したくてこの株取引を行ったようだが、本文の顛末を読む限り、説得は失敗に終わったようである。

 

以上が私がこの本を読んで面白かったりイラッときたりした箇所である。
この他の内容はというと、聖書の記述の話やテレビ宣教師の話、祈りの話など、伝道目的であることがよくわかるもので、はっきり言ってつまらない。

バカバカし過ぎる説から、矛盾した話まで同時に存在するこの本の内容の混沌とした様相は、もしかしたら陰謀論を「客」として信じている人間の頭の中の縮図なのかもしれないと、そう思った次第である。


《参考図書》

※タイトルには「衝撃検証」と書いてあるが検証はしていない。鵜呑みにしているだけである。

2011年の名著

2012年6月9日に『トンデモ本大賞2012』が開催されました。

ここ数年参加していたのですが、今年はチケットがすぐに売り切れとなってしまったため、ニコニコ生放送で視聴することとなりました。

毎年本を出版するおかげで、リチャード氏の本も候補作として毎年カウントはされているのでしょうが、『小説911』でのノミネート以来、残念ながらトンデモ本大賞の会場で紹介されることはありませんでした。

そして今年。
昨年の地震に関連して、いわゆる「人工地震モノ」の多数出たわけですが、同じジャンルで何作もノミネートされる可能性は低いため(基準が設けられているわけではありませんが、心情的に)、このジャンルからは1作しか出ないだろうなと踏んでいました。

そうなると(トンデモ本としての)他のジャンルに比べると、ライバルが少し多いわけで、「人工地震モノ」の中でも群を抜いてバカな内容でなくてはいけないわけです。

その結果か、『311同時多発人工地震テロ』はノミネートされませんでした。残念。

 

人工地震をネタにした本でノミネートされたのはこちらの本。

会場とニコ生視聴者から高い支持を受け、2012年のトンデモ本大賞をかっさらってしまいました。
おめでとう!

 

内容はというと、リチャード氏をはるかに超えるバカバカしさ。
「ACは公共広告機構の略ではなく、アンチ・キリストの略」だとか「ターミネーターの映画のワンシーンに911の日付がある(実際には車両の高さ制限の数値)」とか、「ペ・ヨンジュンと水の飲み方が同じなので、菅直人は韓国人」だとか、抱腹絶倒な奇説が詰め込まれた一冊となっているようです。
とくに眼鏡市場の眼鏡の一式価格15,750円の数字を分解して足すと、1+5+7+5+0=18 つまり666になる」は最高でした。
この手の数字遊びがいかに無意味なものかよくわかります。

ただ、これがすべて泉パウロ氏のオリジナルな主張かというとそれは疑わしく、「『読まずに』検証!本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証本の件」で指摘されている通り、検索エンジン使って見つけてきたネタを節操なく鵜呑みしたものがかなりの部分を占めているようにも思われます。

しかし、その節操のなさがむしろトンデモ本としての評価を高め(正直リチャード氏がまともに思えてくるほどです)、結果としてリチャード・コシミズ、ベンジャミン・フルフォードなどおなじみの面々を抑えてのノミネートにつながったのでしょう。

まあ、機会があったら読んでみようと思います。このブログで話題に上げるかはわかりません。

 

2012年6月20日に発刊予定の新作『リチャード・コシミズの新しい歴史教科書』は、果たして来年ノミネートされるでしょうか。
うーん、むずかしそう。

 


トンデモ本大賞2012のほかの候補作は、以下の通り。

エル・カンターレを2年連続ノミネートに導いたこの本は、大川親子の漫才風のやり取りがなんだか微笑ましい内容の一冊。
ちなみに大川総裁は、2009年11月23日から2010年11月10日までの1年間52冊の書籍を発刊したため、ギネス世界記録を取得しています。
週刊誌でも合併号などがあるため、年間に50冊くらいしか出てないんですけど。

 

本文がすべて短歌調(しかも字数があまり守れていない)で書かれているという一大叙事詩。
アブダクション(誘拐)によって記憶が1日単位で消えてるせいで、学校に持っていく教科書を間違えたり、タイムカードがおされてなかったりするそうです。
でも宇宙人にさらわれてその程度の害で済むならいいような気もします。

 

ノストラダムス本の中で最多ページ数を更新するほど分厚く、定価4,300円もするという高価な書籍。
日本のノストラダムス研究者としては珍しく、フランス語が読めるという稀有な人材ですが、この手の研究にありがちな超強引な解釈と、原文から大きくかけ離れた和訳で予言書の解釈を連発しています。

人工地震説検証本が出ましたね

タイトルの通り人工地震説を検証してる本が出版されました。

これまでも超常現象やオカルト、陰謀論、超古代史などの怪しげな話を調査して検証を出してきたASIOSの新刊。

人工地震説だけでなく、原発や放射線に関する“独自の”解説などで急にもてはやされるようになった人たちの発言の信憑性についてなども検証しています。

この本の中でリチャード・コシミズ氏の説もばっちり検証対象となっています。それも1番最初。

ただ、一つの記事に割けるページ数が限られている関係で、『3.11同時多発人工地震テロ』の表紙とその本が紹介されている「東日本大震災は「地震兵器」により引き起こされた!?」の記事はあくまで人工地震についての解説、人工地震兵器の非合理性について述べているだけにとどまっており、これだけでは少々食い足りない感じでした。

というか、「非合理だろうがなんだろうがやつらはやったんだ!」と強弁してしまえばそれまでというところもあります。
リチャード氏はユダヤ人が旧約聖書に対する狂信的な信念から陰謀を企んでいるといってるので、相手の行動に合理性がなくても一向に構わないでしょう。

しかし、実のところリチャード・コシミズ人工地震説の検証として読む価値のある記事は、むしろこの後に控えているといえます。

人工地震説の検証をした第1章には7つの記事がありますが、最初に紹介した「東日本大震災は「地震兵器」により引き起こされた!?」のほかに、「深さ10kmで起きる地震は人工地震?」、「小説『GEQ』(柴田哲孝著)で描かれた世界は真実である?」、「[コラム]陰謀論者の注目の的? 地球深部探査船「ちきゅう」の本当の話」など3つの記事で、リチャード氏が『3.11同時多発人工地震テロ』で提唱していた説について反論した形になっています。

これらの記事の内容については当ブログで書いた記事と重なるところもありますが、はるかにしっかりした科学知識と取材をベースとして書かれており、とても参考になります。

「深さ10kmで起きる地震は人工地震?」の記事では大地震の震源の深さについての詳しい解説が、「小説『GEQ』(柴田哲孝著)で描かれた世界は真実である?」では山本理論について解説が書かれています。

「[コラム]陰謀論者の注目の的? 地球深部探査船「ちきゅう」の本当の話」では、「ちきゅう」がどんな船であるか、どんな科学的な発見を成し遂げ貢献してきたかが紹介される一方で、人工地震説に踊らされた人たちが「ちきゅう」関係者にどんな迷惑をかけていたのかも出てきます。

この後に続く第2章では、武田邦彦氏や小出裕章氏の話の信ぴょう性などを検証しており、ホルミシス効果を支持し、低線量被曝の危険を訴えている両氏をたたきたいと思っているであろうリチャード氏にとっても参考になる記事が書かれています。
とはいえ、第1章の内容が内容なので、この本をもろに取り上げて語ることは厳しいでしょうが。

定価1,470円。
『3.11同時多発人工地震テロ』(2,000円)よりも安くて良い本です。

本のさらに詳しい内容についてはASIOSブログ記事「新刊『検証 大震災の予言・陰謀論』が出ます」を参照してください。

ゾンビのいる風景

■Dead Rising2プレイ中

最近、Dead Rising2(PS3 カプコン 以下「デッドラ2」と略)をプレイしています。

一周するのに対して時間のかからないゲーム(12時間ちょっとくらい?)なのでもう数回クリア。

このゲームはなんといっても「いろんな凶器でたくさんのゾンビをぶっ飛ばす」爽快感が魅力ですな。

はっきり言ってこのコンセプトだけで作られてるんじゃないかと思うくらい。
というのも、ゲームを一回もクリアしないうちから「ステータスを引き継いでゲームを最初からプレイする」ことが可能になっており、クリアするためのハードルは非常に低くなっていて、ゲームのシナリオはあくまでおまけという感じがすごく伝わってくるためである。

こういうゲームだから、一通りのエンディング(4種類かな?)を見てしまったらもう、他の生存者や娘の病状なんて関係ねえ!
ゲーム内で許された72時間、レベル50のチャックさんで好き放題するだけよ!って感じであそんでおります。

そういう一種の無双ゲームとして楽しむのがデッドラ2の正しい遊び方だと思うんだけど、マップが狭く感じられてしまうのが欠点。

乗り物を豪快に飛ばすにはどうしてもマップが狭いのだ。
ゲームの舞台がフォーチュンシティという名前のモールとなっているのだが、車やバイクでぶっ飛ばすにはどうにも狭い。モ-ルだしね。

モールのメインストリートをバイクですっ飛ばすんだけど、階段や段差、ベンチなどの障害物が多く、遠慮なく飛ばせるストレートは長くない。モールの地下道はその点で障害物は少ないが、あまり地下道を利用しないという問題がある。
また、ゲーム中、ほかの乗り物(SUVやスポーツカー、ハーレー)のキーを買うことができるんだけれども、メインストリートより広いところはない。屋内でスポーツカーやハーレーを乗っていても心理的にも物理的にもせまっ苦しい。

理想としてはやはり名前の通りの町を舞台に暴れまわりたい。
ちょっとGTAあたりと混ざってしまうかもしれないが、街にあるいろいろな種類の働く車を乗り回したり、消火栓や電柱、燃料満載のタンクローリーやガソリンスタンドなどオブジェクトを利用したゾンビとの戦いを満喫したいものである。
そういう広い街を16人くらいの同時アクセスで無目的にオンラインプレイするというのが理想だろうか。

■ゾンビと人権

さてここからゲームとはちょっと離れたゾンビの話。

前期のアニメで「学園黙示録 High School Of The Dead」(以下「H.O.T.D.」と略)ってアニメがあったんですけど、すっごいおっぱい揺れてました。
まあおっぱいの話はそれくらいにして、このアニメもやはりゾンビが大量発生する、という話である。

で、デッドラ2もH.O.T.D.のどっちにも、「ゾンビの人権を訴える団体」ってのが出てくる。

デッドラ2に出てくるのは「CURE」という団体で、主人公チャックが参加する「TiR」(Terror is Realityの略)という番組を批判する活動を行っている。H.O.T.D.では団体というほど組織化されたものではなくて(ゾンビの発生という事件の最中なので)、その場で集まった人権派という感じであって、大した規模ではない。

考えてみりゃ、ゾンビが日常になった世界では、そういう人権団体が出てくるのは決してありえない話じゃないんだよね。
ゾンビになった人ってもともとは普通の人間で、どういう原因でゾンビ化したかは作品によって違うものの、ざっくりといって「脳に何らかの障害を負った人」くらいでくくることができるだろう。認知症にかかった人や、脳に腫瘍や傷をもった人の人格が大きく豹変してしまうということがあるくらいなので、たぶんそのくらいの理解で無理はないんじゃないかな……と思ってます。

「ゾンビ」という呼称になると一気に非人間的な存在という認識になってしまうが、間違いなくちょっと前まで、きちんとした人間だったはず。その人権を守ろうという考え自体はおかしくない。

だけど、特にH.O.T.D.においてなんだけど、「自分が襲われる危険性が非常に高い環境下でゾンビの人権を訴える人があらわれる」というのには違和感を覚える。
当然、H.O.T.D.やデッドラ2のような、襲われる危険性が非常に高い、あるいは実際に襲われてる場合において、個人が自分の身を守る権利に基づいてゾンビを攻撃するのは問題がない。正当防衛が成立するだろう。
身を守るために戦った人を非難するのは筋が通らない。

もちろん世の中にはそういう部分を無視して「攻撃した」ことだけに注目して批判するような、勝手な人はいる。
そういう人は当事者の危機がリアリティをもって理解できてないんだろう。

だけど、そういう人が当の現場にたくさん現れるってのはちょっと不自然。

そういう呑気なことを言う人は自分は危機を感じない、感じる必要のない安全な場所にいる人間じゃないだろうか?
911陰謀論の実例を引き合いにすれば、政府による陰謀の可能性を疑っていた遺族者団体は、政府からの報告書の結論を受け入れているという事実がある。
現在、陰謀論に与する遺族者団体は存在しない。それに対して、日本ではいまだに真相究明会議なんてものをやってる。
被害者遺族のように、事態を真剣に受け止めざるを得ない人であれば、無責任なことは言わないものだと思うのだ。

逆にデッドラ2の「CURE」は、むしろあって当たり前だろう。
何しろゲームに出てくる「TiR」という番組は、無意味にゾンビを殺しまくるという番組なのだから。

デッドラ2とH.O.T.D.の違いはここが大きい。
H.O.T.D.は世界的なゾンビの発生という危機的状況の最中だが、デッドラ2はゾンビの発生事件がある程度落ち着いて、ゾンビ化した人間とそうでない人とが安全な距離をはかれている世界なのだ。

ゾンビからの危機をある程度コントロールできているなかで、あえてゾンビを殺しまくるというのは、完全な虐殺だろう。脳障害者をかき集めて殺しまくる番組はあり得ない。
ゲーム序盤のムービーに出てくる、ゾンビに人権なんかないと言う人のほうが、ああいう世界観においてはむしろ非常識な気がする。

うん、デッドラ2のような世界であればゾンビの人権を守ろう!
しかしそうなると、「TiR」を楽しむオンラインプレイは、気持ち的にやりにくくなるな……。

 

おまけ――

Dead Rising2発売直後くらいにインターネットで「画面のバグがひどい」という情報がすっごい流れてたんですけど、個人的にはほとんど気になりませんでした。
テレビなどによって影響は違うのでしょう。
それよりもマップ切り替わり事のローディングのほうが厄介ですね。
救出者をうっかり前のマップに残してきてしまうとマップを引き返すことになるんですけど、そのたびに長めの読み込みを繰り返すは正直イラつきます。

《参考》

学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 公式サイト

いろんなはなし

今回はリチャード・コシミズ以外のことを書こうと思います。
わしだって人なので、他にも関心事はあるのです。
興味のある話題を短めに、こまごま、多岐にわたって記述。

■選挙のこと
7月に行われた参議院議員選挙では独立党&国民新党以外にだって注目していましたよ。
全国の候補者の中でも面白いのがそろっているのは東京なので、もっぱら東京選挙区でしたけど。
今回の選挙では「面白い政見放送を録画しておきたい!」と思ったので、政見放送は手当たり次第に録画。
政見放送ではどの候補者の演説やるかを番組表で告知してくれていないので、はずれも多く引きました。
でもNHK、やってくれました。
7月2日の午後3時15分から放送された政見放送は以下の候補者でした。

マック赤坂  (スマイル党)
やない筆勝  (幸福実現党)
マタヨシ光雄 (世界経済共同体党)
佐野秀光   (新党本質)

濃いメンバーのみを取りそろえたラインナップ。面白すぎる。
結局わしの録画機にはこの回の放送だけ残してあります。
マック赤坂候補は顔芸に走りすぎです。

あともう一つ注目していたのは幸福実現党。
昨年の衆議院選挙では面白政党として注目を集めていたように思われますが、大川隆法氏が党の代表から降りたこともあってか、ほとんど世間は注目していませんでしたね。
今回も議席獲得はならず。
支持母体の幸福の科学だけでは勝つことは難しいということでしょう。そう考えると公明党の支持母体の創価学会というのはどれだけの票を持っているのやら。もちろん会員が多いというだけではなく、様々な業界への影響力から会員ではない人間からも集票ができるということなのでしょう。ゾッとします。
そんな、世間からは見過ごされがちな幸福実現党ですが、今回の選挙でもひっそりと面白いマニフェスト出していました。
それは、

ユーラシア大陸を一周するリニア鉄道の敷設

です。どんだけ(海外に)ばらまく公共事業なんだ!!
これはきわめて長期的な計画らしく、2040年頃から着手するらしい。それまでに政権を取ることができればの話であるが。

■映画のこと
こないだ、「特攻野郎Aチーム」を見てきました。
それまで2年くらい映画館に行ってなかったかも!
前に見たのは「ブラッドダイヤモンド」。
ここ数年の自分自身の傾向として、「社会派」な作品を見たいという欲求があったことに気づき、「好きな映画に臆面もなく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を上げる男が、何を高尚なふりをしているんだ!」と思い、Aチームを見て心をきれいにしようと思った次第。
Aチーム、アクション映画として普通に面白かったです。懐かしの名セリフ”作戦は奇を以って良しとすべし”もちょくちょくで飛び出したし。
ただし声優陣(見たのは吹き替え版)はテレビシリーズと異なっていて、出演俳優に合わせていました。もっともモンキー役の富山敬さんはすでに故人なので、完全な再現はそもそも無理なわけだし、仕方ないのかもしれません。
また、日本語版では使われていた「モンキー」「コング」の愛称は飛び出しませんでした。この二つのあだ名は日本語版オリジナルの設定のためなんでしょう。日本版の放送を見たことない人には何の問題もない話ですが、往年のファンには残念なことでした。
また、残念ながらハンニバルの変装はありませんでした。あれがあれば完璧だった。

そして映画終了後には映画「バイオハザード4」のポップを発見。「また作るの!?」と驚きました。
今度の映画版にはクリスやクレア、ウェスカーも出るらしいですね。しかも舞台が渋谷?うーん。

あと、「ベストキッド」のリメイクが作られたみたいですね。
ミヤジさんの代わりにジャッキー・チェンが子供にカンフーを教えるとか。
でも原題は以前の通りの「KARATE KID」
看板に偽りあり。

■ゲームのこと
現在、「トトリのアトリエ」やってます。
キャワイイ娘っこたちがべたべたしてるのがすごく恥ずかしいです。
「メタルギアソリッド4」「デモンズソウル」「Grand Theft Auto4」というハードボイルドな世界観の(?)PS3のゲーム遍歴を抱えるわしとしては、すごく浮いた感じ。
ただし、ゲームとしては非常に面白いです。
ゲーム開始からクリアまで「1周分」のプレイ時間は15~20時間程度でしょう。やり方によってはもっと短くなるかな?
ゲーム内の時間で6年という期間が定められており、その制限時間に達してしまえばいやでもエンディングを迎えるという方式。
昔やった「リンダキューブアゲイン」とかと同じ方式ですね。
この期間にどれだけのことができるか、というのがゲームを面白くしてくれています。
初見、攻略サイトなしのプレイではノーマルエンド。主人公の当初の目的をどうにかぎりぎりで果たすので精一杯でした(ゲーム終了期限の3日前に達成)。
2周目以降は装備、お金引継ぎで再開し、アイテムの生産や効果について理解が深まっていたために、より多くの目的を達成しました。
「エンディング集め」「トロフィー集め」などを目的とした、攻略情報サイトを睨みながらの「効率的なプレイ」に走ると、「プレイするたびにより多くのことを達成できる」という達成感は楽しめないかもしれないですね。

RPGというゲームのジャンルでは、「クリアするまでに〇時間かかる」というプレイ時間が多い方がよいという、をウリにするところがあると思います。かつてサターンで出た「グランディア」では「クリアまで50時間」とかの前評判に「すっげー」って思ったものです。
どちらかといえば物語を重視する日本製のRPGでは、「プレイ時間が長い=物語が長い」ということになるので、その方がよいのでしょう。これで話がつまらないとなると見るに堪えませんけど。
これに対すれば「トトリ」のプレイ時間は短いということになりますが、何周かプレイして「プレイごとの達成感」を楽しむことによる総プレイ時間は超大作に引けを取らないとおもいます。
超大作RPGでは物語を最後まで進めた後、ラスボス前か“隠しボス”前の状態で延々とモノ集めやらキャラ育成に腐心してプレイ時間を積み重ねますが、「また最初からやろう」という気にはさせてくれないものもあり、それがいいゲームなのかは少々疑問です。
一周は短いけれども、「またやろう」「次こそは」と思わせてくれるゲームもいいもので、それはRPGというジャンルでも可能なのだな、と思う今日この頃です。

おまけ――
今度は「DEAD RISING 2」を買うつもりです。
またハードな世界観に逆戻り?

あんびりばぼ

2012年地球が滅亡する。

そんなウソのような予言を科学的なデータを下に発表した組織がある。

それは・・・・・・

NASAである!!

 

・・・とまあ、もちろんかなりの部分が出鱈目でしたね「アンビリバボー」。事実を元にしてはいるが、総じて見ればウソと言う、あの手のバラエティではお約束な内容である。

話の中心はマヤ暦と、NASAの出した太陽の極大期に関するもの。なんでも優れた天文の知識を持つマヤ人はその知識によって製作したマヤカレンダーを用いて未来を予測していたとか。このことを紹介してくれたのはモーリス・マコットレル(日本では「モーリス・コットレル」の方が正確かもしれない。いろいろヒットするので)という天文学者&マヤ文明の研究者。どうやらマヤ文明に関しては素人らしい(研究家、研究者は自己申告で名乗れるので)。

「天文学に詳しい→未来がわかる」というのはかなりぶっ飛んだ理屈だがそこはスルー。マヤ人は、自らの文明の破滅、コロンブスの新大陸発見、アメリカ独立、ナポレオンの登場、第一次世界大戦、ナチスドイツなどを予言していたらしい。そしてマヤ暦の5125年には終局が来る!

ここまではトンデモ話なわけだが(いや実際にはここからもなんだが)、この話はNASAがいってんだから本当なんだぞ、というのが番組の流れ。

ではNASAがマヤ暦の予言を正しいといったのか、と言うとそうではなく、あくまで「2012年に関するNASAの発表がマヤ暦の『予言』に合致してる!」という話である。

NASAの発表した極大期は約11年周期に起きているもので、2001年にもあったとのこと(そのときは日本でもちょっとしたオーロラが見えたらしい)。過去一体何度おきてるか知らないが、少なくとも当然人類は滅亡していない。極大期によって太陽嵐が発生し、地上の様々な物に影響(電波障害や大規模な停電)を及ぼすと言うことらしい。

もちろん電波障害や停電では人類が滅亡しないので、滅亡説を売り込みたい人たちはもっと派手なものとも結び付ける。なんでも太陽嵐によって磁場やエネルギーの乱れが発生し、それによって地殻にストレスが与えられるため極大期や極小期の起きる周辺の年には巨大地震が多いから今度も起きるとか。この説明のメカニズムでは、むしろ太陽の活動が控えめになる極小期には起きないはと思うのだが、そこについては説明ない(しかし極小期に起きた大地震として「阪神大震災」と「関東大震災」あげられていた)。TVでは大きな地震の名前が羅列されていたが、11年周期というかなりの頻度起こる現象なので、それが地震の起きた年とが同じになる可能性はもともと高いだろう。くわえて「極大期や極小期の起こった周辺では」と範囲を若干広めに取ればなおのこと、あたかも関連性があるように見えてきてしまう。また「X線やガンマ線、未知の粒子や宇宙線」が降り注いで、人々がつぎつぎと「原因不明の病」に倒れていくという、あまりにもアバウトすぎる怖い話が。何だ未知の粒子や宇宙線って。

このあたりまでくると明らかにNASAの発表ではない。番組の中ではNASAの発表から考えうる被害とどっかの馬鹿が考えた与太話をごちゃ混ぜに紹介していたので、混乱した人も多そうだ。

最終的には日本の研究者のコメントなどで「2012年の極大期で出現する黒点は予想(2006年時点)よりもずっと小さいのではないか」といったフォローが入れられ、2012年に滅ばないといってる人もいますよという「両論併記(ただし非常にバランスは悪い)」の形で幕を閉じる。

番組は2012年の滅亡説に科学的根拠があるとNASAが発表したかのような内容だったが、実際にはそんなことはない。映画「2012」の宣伝活動(おそらく「アンビリバボー」もそのひとつ)などにより急速に2012年滅亡説が広まり、それに対してNASAは公式HPで反論しているのが実情である。

最近はさまざまなメディアでこの滅亡説が急速に広まっている感じがあるが、以前はニューエイジャーによるフォトンベルトのほうがメジャーだったように思う。フォトンベルトによって人類が進化するとか滅亡するとか、どっちなのか、あるいは両方なのか。こっちに関しては(フォトンベルトの存在が)国立天文台などではっきりと否定されてしまった話なので、NASAの公式発表が絡んでいる極大期滅亡説のほうがもっともらしさに富んでいたいうところか。

神秘的な力によってなされた予言(予知)が、科学の力によって確かめられる。そんな「夢やロマン」への憧れが、地球滅亡の話を流布することに一役買っているだろうことはなんとも皮肉に感じてしまうのである。

おまけ――

今年の年末はビートたけしの超常現象番組をやるのだろうか?去年はひどい出来で大変がっかりしたものだったが、期待していいものだろうか?やるならぜひマヤ暦のねた晴らしをしてほしい。

年末番組

2008年ももう終わり。
年末になるとテレビ番組は通常のプログラムから、年末・年始の特番へと移行するわけだが、これが長時間の番組連発なのはどうも好きになれない。
"あたり"の番組があれば長時間もありがたいのだが、"はずれ"を引いたとなると長時間の忍耐を要求されるのがなんとも……。
そんななか、毎年見ている番組がビートたけしがやっている超常現象ネタの番組「超常現象(秘)Xファイル」
最初は大晦日だったと思ったけど、今年は12月30日。タイトルも変化してる気がするな。
人気とともに時間帯が如実に変化してる気が・・・・・・。
もともとTVタックルの「嵐の大ゲンカ!超常現象バトル」という企画が特番形式になったものだと記憶しているが、今は一応否定派として大槻教授ががんばっているものの、基本的には肯定派よりになってしまっているように思える。
松尾貴史とか出てくれないかなあ……。
番組のスタイルとしては、世間の耳目を集めた話題を紹介し、インチキやトリックが明らかになってるものに関しては「ダマサレタ!」というでかいテロップを入れた後に種明かしをするという内容だった。
しかし今ではそれもほとんど出て来ない。今年は一つだけ。
それもエイプリルフールに作られたという、あきらかなジョーク映像
これを「ダマサレタ!」とセンセーショナルに流してみたところでありがたみはゼロ。
あとは肯定的というか、大槻教授のスタジオでの反論程度のもので、検証すらまともにやらない。
 
心霊写真
番組の最初は心霊写真。
「本当にあった呪いのビデオ」とかその辺から引用してきたような映像が目白押し。
スタジオで誰も言わなかったけど、単純に合成と考えればいいような映像が多かった。
樹海に子供が写っていた映像などは、本物の子供をたたせて置きゃいいだけというヤラセっぽい映像。
順位をつけて紹介されていたが、何の順位だったのやら。
あと、心霊写真研究家の人が行ったのは解析とは言わない、解釈。
 
UMA
江口ともみをわざわざメキシコに送り込んで、なぞの動物(話の流れ的に宇宙人ということになってしまった)を捕まえたという連中のいってることを垂れ流しているだけ。
あの後スタジオに出てきた「レプリカ」の出来のよさを考えれば、江口ともみの「継ぎ目とか無いし本物のようだった」という発言は金をかけたギャグにしか聞こえない
日本のUMA話のほうは、なんというかゲストで来ていた山口敏太郎という人の影響か、いい加減な目撃談をもっともらしく紹介するとか言うものではなく、ツチノコの正体についてなど慎重でまじめなスタンスが保たれていたように思える。
山口敏太郎さんはこの手のバラエティ番組には似つかわしくないほど、まじめな研究家なんじゃないかなあと思った。
もしかしたらこの人のことを知ったということが、今回この番組を見ていての一番の意義のある収穫だったかもしれない。
 
宇宙人と接触した男
 クラリオン星人という宇宙人と接触し、地球人は宇宙人によって作られたといっているおじさん。
そのおじさんの話によると、クラリオン星人とトカゲのDNAを混ぜて作られたのが地球人だとか。
何が楽しくて自分たちのDNAとトカゲを混ぜようと思ったんだ?クラリオン星人よ。
このあたりで須藤元気がやたらと元気に
クラリオン星人の写真と声のテープが公開されていたが、その外見(顔だけだけど)はどう見ても地球人。肉声テープは単なる唸り声で、これに一体何の意味があったのかわからん。
 
クラリオン星人だけでなく、今回は韮澤編集長の友人という、ハリー・古山という人にクローズアップ。
この特番で長いこと話題になっていた、金星人の写真を韮沢編集長にもたらしたのはこの人らしい。
だが出てきただけ、という感じだった。
大竹まことの指摘というかツッコミにも満足に答えられない。
宇宙人だという証拠を出せと長年言われてきているのに、出せたのは「金星人」が住んでいたという住居の写真だけ。
当然何の証拠にもならない。
この人たちは自分たちが求められている証拠というものに、どういうものを示せば妥当であるかということがわかってないんじゃないかと心配になる。
古山さんによると、その金星人はテレパシーが優れていて、「ランチを取ろうというタイミングによく顔を出した」というエピソードが紹介される。
それだけでテレパシーが優れていたということになっているらしい。テレパシーが実在するのはどうやら自明。彼らの脳内では。
この話を聞いてて思ったのは、古山さんが相手の人(アメリカ人)を一方的に(勝手に)金星人だと思ってたんじゃないだろうかということ。
迷惑な話である。
 
月を歩いた男が宇宙人との接触を主張
アポロ14号飛行士エドガー・ミッチェル。
この人がNASAやペンタゴンは宇宙人を隠しているとか何とか騒いでいるという話は聞いたことがある。
ただ、具体的な部分は特に調べておらず、どういう主張をしていたのかは気になっていたので興味しんしん。
番組のVTRによると、どうもエドガー・ミッチェルはロズウェル事件が本当だったというのが持論で、自分の宇宙飛行で宇宙人を見たとかそういうわけではないようだ。
こうなると、アポロ14号の飛行士だったというステータスは特に補強材料になったりはしない。
アポロ計画にかかわるような人でも、そういう話を信じるひとはいるのだなあ、というだけである。
 
この話の流れでミッチェルが月面着陸捏造説を否定(捏造映像を作ったとしても、ソ連の目はごまかせないだろうと反論)したことから、捏造説肯定者である大槻教授に飛び火
大槻教授は「立場上、捏造であったとはいえない」などと弁明。正直苦しい。
月から持ち帰った石が月面着陸の決定的な証拠だとは言えないと「消極的」に捏造説を主張する形に。
しかし、いまだに月にはレーザー反射板があるし、機能もしている(ニコニコ動画で見たので、推奨は出来ないが、「あやしい伝説(原題:Myth Busters)」ではレーザー反射板にレーザーを飛ばしていた)。
何より大槻教授は「月の石は地球の石と組成に差が無い」といっていたが、Wikipediaの記事あたりを読めばわかるように、当時未発見だった物質「アーマルコライト」を含有していたり、放射年代測定によれば地球の石よりもはるかに古いなど、地球の石とは異なる特徴はあったようだ。
同様の主張は「新説!?日本ミステリー」でもしていたが、その後誰からも指摘を受けなかったのだろうか?
後に引けなくなったから、いまだに主張を撤回もせずに同じことを言ってる可能性もあるが、そこはきっちり撤回して欲しいところである。
 
宇宙気功
何でも21世紀の気功だとか。
しかしこれまでの気功との違いはよくわからん。
これも特に検証はなく、ただ気功師が出演者に気功を施すだけの内容。
被験者に気功師の動きや発する声が見えない・聞こえない状態で行っても同じ現象は起こせるのか、気功師などではない人が同様のことをやって同じ事は起こせるのかを試してほしかった。
 
番組の公式サイトを見ると、ジュセリーノの予言も扱う予定だったらしいが、番組本編には一切出てこなかった。
何か不都合でもあったのだろうか?
 
最近はこの手の番組に頻繁に顔を出す須藤元気。今回も元気だった。
バシャールとの対談話を本の紹介も交えてはなしたりしていた。
バシャールとゲーデルの不完全性定理という数学基礎理論について話したりしたそうな。
素人二人が高度な数学の問題について生兵法で話し合ってみたところで、何も得るところは無いと思うのだが、「バシャールはすべての質問に答えてくれる」とご満悦。
一方スタジオで「話していることが重要で、宇宙人がいる・いないは大切ではない」などと発言。
しかしバシャールがいなかったら?
二人の不完全性定理に関する話は、それこそ数学を専攻したことない、須藤元気とダリル・アンカという虚言癖の人物という素人二人の会話になってしまう。
それはあたかも、教室の一角で不細工な女子が互いに「可愛い」と褒めあってるさまに似ている。
 
また、量子力学を勝手に拡大解釈し、「この世界は思考・言葉・意識によって出来ていることが証明されつつある」など人間原理な発言。大槻教授に怒られる。
心霊写真は撮る人のネガティブな心の影響が霊を写させるのだとか、LSI(集積回路)や光ファイバーが宇宙人によってもたらされた技術だとか、韮澤さんをはるかに超越する積極性で発言を繰り返す。本当に元気いっぱい
 
この先の超常現象特番にこの人は欠かせないな!!
 
おまけ――
超常現象種明かし番組が目に見えて先細りなのは、検証に手間がかかることや、新しく紹介できるどんどん減ってしまうことが原因の一つにあるんだろうけど、肯定的な番組だって毎回似たり寄ったりな内容なんだから、かまわないと思うんだけどなあ。

予言者と元格闘家

 

皆さんご覧になっただろうか。9月18日のモクスペを。

なんでも、注目されている(誰に?)予言を科学的に検証するとか。まあ、実際に見てみたらまったく検証なぞしてなかったわけだが。

今回は7つの予言がテーマ。日本で人気のジュセリーノ(ブラジルじゃそんなに相手にされてないらしい)はあくまでねたのひとつに過ぎない。
人類の終末にかんする予言が7つも出てくるのだ。
何の節操もなしに。7つのうち人類破滅の時期が一致してるのひとつもないんだよね。

番組は司会コメンテーター(大槻教授、韮澤編集長、千葉正毅)、ひな壇芸人(伊集院光、須藤元気、次長課長、大沢あかね、柳原可奈子、木下優樹菜)、ですすめられ、大槻教授と韮澤編集長のコントとひな壇芸人の驚きフェイスやリアクションでスタジオをにぎわしていた。

ジュセリーノの予言
ジュセリーノの予言は相変わらず(地球破壊度において)景気がよかった。
アフリカの南半分が切り離されて沈むことで、海面が300m上昇とは豪快な。
海面300mの上昇の理由としてアフリカは沈められちゃったわけだが、アフリカはなんで沈むのかの理由を聞きたかった。
いつもだったら自然破壊・環境破壊で人類が自滅していくさまを予言することで、環境保護を訴えるのがこの人のネタなわけだが、何をどう環境破壊をしたらアフリカの南半分が沈んでしまうのか謎である(海面上昇が原因でアフリカが沈むのではなく、アフリカが沈んだために海面上昇なのだそうだ)。

ヒトラーの予言
今になって五島勉(ノストラダムスの大予言を書いた人)の本を出典にするあたりがすごい。しかもほかの本はない。
VTRにおいてヒトラーが行ったという予言に出典が示されてない辺り、なんか怪しい。
あと、自分の身の破滅を予測できなかった人の予言ってあてになるの?

聖徳太子の予言
なんというか、聖徳太子には先見の明があったというエピソードを無理やり予言者にしてしまうあたり、かなり苦しい内容だった。
予言の内容が書かれているという「未然本紀」の内容、予言については正体不明の「解読法」なるきわめて怪しい文言が飛び出す始末。

……それにしても秋山眞人っていろいろやってんなあ。
ドラマ「ガリレオ」放送直前に深夜特番でスプーン曲げてたぞ、この人。
番組内で書かれていたもっともらしい(?)肩書きの「心理哲学博士」なるジョブパシフィック・ウエスタン大学で取得したようである。お金で。

マヤ人の予言
2012年12月23日で暦が途切れてたからこの日に世界が滅びると予言してたんだという内容。
これに対する大槻教授の反論はもっともだと思う。
正直、2012年分まで暦を岩石に彫ったマヤ人にびっくりだろ。
須藤元気は名前のとおり元気だった。

ダ・ヴィンチの予言
モナリザ眺めてただけじゃない?
水の動きに対するスケッチはすごかったと思うが、予言とは関係ないと思う。
須藤元気は元気がありあまってた様子。

ニュートンの予言
これは予言というより予測に近かったと思う。
ニュートンの計算ではハレー彗星が2060年に太陽に衝突すると算出したらしい。
まあそれだけの話で、計算が間違っていたのだろう(詳しく知っている人がいたら教えてほしいです)。

なぜか地球に極小の小惑星が降ってくる話が出てきて、それならばハレー彗星が太陽に衝突しても……という展開に。
ユースケは何しに行ったの?

ジョン・タイター
ネット上に現れたという未来人。
未来から現代にやってきて数々の予言を残したとのことだが、北京五輪が行われないなど、豪快にはずした予言がある
未来人の予言という以上、的中率は100%で当然なのだがなあ。
もちろんテレビじゃ言ってないが。

しかしこの番組で一番面白かったのは、7つの予言でも大槻教授VS韮澤編集長の漫談でもない。

元格闘家(現……何?)須藤元気である。
このひと、格闘界引退後からスピリチュアルやらニューエイジやらの世界観に関する発言や活動・著作がめまぐるしく増えていってたことは知っていたが、この番組でアレさ加減が爆発。
「マヤ人こそ地球外生命体。望遠鏡なしで天体観測なんてできない」
とか
「水にはスピリチュアルな力が・・・」
とか
「宇宙人はいます。バシャールという宇宙人と3日間対談しました」
とか
「2012年は破滅じゃなくて転換期、物質文明から……(フォトンベルトの話だな、これ)」
※上の「」内の須藤発言は正確ではありませんが、誇張などはないです。
とにかく積極的に発言。
なにか視聴者にメッセージを伝えよう、という使命感に燃えていたんじゃないかと思うくらいがんばっていた。
往年の格闘ファンはがっかりかもしれないが、わしは爆笑だった。
きっとひな壇で背景と同化していた伊集院光もひそかに面白がってたに違いない。

須藤元気がメインで好き放題発言する番組はないものか。

おまけ――
別番組のジュセリーノの予言によると、9月13日にアジアのある国(特定しなよ……)でマグニチュード9.1の巨大地震がおきるといってた。
そんな地震が本当におきてれば、モクスペどころではなかったろうなあ。

一般に使われているマグニチュードでは8より大きいものは計算の性質上、まず出ないらしい。モーメントマグニチュードという尺度を用いた場合、マグニチュード9以上も算出されるらしいが、チリ地震クラスで9.5というから、9.1はやはりとんでもない地震である。

ちなみに須藤元気。
相対性理論の式 E=MC^2 の式を見て、
「エネルギーを物質に変換することができる。言葉にはエネルギーがある(意味不明)ので、ありがとうと唱え続けていれば物質化される」と考え、21万回ほど「ありがとう」と唱えたとか。
もちろんそんなことはありえないんだが、彼が21万回目でやめたのはどういう理由だったのだろう
ちなみにE=MC^2の式によれば、1gの物質は約90兆ジュールのエネルギーと等価ということなので、「ありがとう」にどのくらいエネルギーがあるのか知らんが21万回くらいじゃ到底足りないだろう。

このエピソードを寓話として、「情けは人のためならず」の一種として理解してる人もいるようだが、それなら相対性理論の式なぞだすこたぁない。
そういう科学的事実としての数式と寓話を混ぜるとニセ科学といわれてしまうのだ。