2016年の夏はアニメ「ガールズ&パンツァー」(略称ガルパン)の聖地巡礼として、茨城県東茨城郡大洗町へ行ってきました。
今回の記事はリチャード・コシミズや独立党のネタとは何の関係もなく、ただただガルパンの話。
それも私個人ではこうなのだという話なので、あしからず。
◆ガールズ&パンツァーとは
ガールズ&パンツァーとは、2012年10月より放送されたテレビアニメで、タイトルどおり「美少女」と「戦車」をコンセプトに制作されたアニメである。
「戦車道」という架空の武道がある世界で、強豪校から転校してきた主人公 西住みほが素人ばかりのチームを率いて全国大会優勝を目指すというお話。
アニメはテレビ放映当時から話題を呼び、人気を受けてOVAと劇場版が製作された。
劇場版は2015年11月に公開されて以降、2016年8月現在まで公開している館が存在するほどのロングセラーとなっている(Blu-Rayディスクもすでに発売されているが、それでも劇場まで足を運ぶ人がいる)。
で、私もこのアニメには大いにハマり、テレビシリーズも劇場版も何度見てしまい、今年の夏は大洗に行こう、ということになったのである。
◆やっぱりエンターテイメント
今でこそ、Blu-rayディスクにとどまらず、スピンオフ作品やアンソロジーコミック、ムック、ドラマCDと買い集めてほくほくしている私だが、改めてなぜこのアニメを好きになったのかを考えてみると、最大の理由はテレビシリーズのエンターテインメント性の高さに尽きると思う。
敵味方が追って追われてのサンドイッチ状態や、敵に包囲されてしまってからの突破、鉄壁を誇る超重戦車との対決、大将同士の一騎打ちなど、毎試合でエキサイティングな展開が出てくる。
私の場合、3話目までこのアニメをかなり惰性で見ていたところがあったのだが、試合をやるようになる第4話以降、その面白さにハマってしまった。
劇場版は120分あるうちのおよそ90分が戦車戦に注がれており、決戦の地となった遊園地では様々なギミックを駆使した戦法が飛び出し、長さを感じさせないものとなっている。
元々作品のコンセプトとして「戦車」という要素はあるが、私はミリタリーに関してほとんど知識がない。
陰謀論には時々兵器の話が出てくるので、必要に応じて記事を読んだりはしてきているが、陰謀論の世界では出てくるのが大量破壊兵器や超兵器の話が多く、戦車はまず出てこないので、戦車に関して詳しくなることはなく、 「戦車が出てくるからこのアニメを見よう」というような動機はなかった。
ガルパンがここまでのヒット作になるには、たくさんの人間からの支持が必要だが、その中には私の様なミリタリーに疎い人間も大勢いることだろう。
◆「戦車道」のエンターテイメント、カタルシス
この、ガルパンの試合におけるエンターテインメント性やカタルシスには、「戦車道」が架空の武道であることが大きく貢献したと思う。
まず「戦車道」が武道、スポーツの一種とくくられており、「特殊なカーボンが戦車の内部を覆っていて、実弾を打ち合っているけど死者が出るようなことはない」という設定が、美少女キャラ達による戦車戦を純粋なエンターテイメントとして守ってくれている。
現実の戦史でドイツ軍がイギリス軍を圧倒した「ヴィレル・ボカージュの戦い」の話や、日本のエースパイロット「岩本徹三」の逸話などは、すごいなとは思うものの、その結果戦死者が出てしまっていることを考えると手放しに賞賛するのは難しい。
「戦車道」はスポーツなので、そういう心配をしなくてよく、素直に歓声を上げられるのだ。
そして「戦車道」のおよそスポーツらしからぬルールの寛容さが、カタルシスを与えてくれている。
弱小チームが強豪校をギリギリのところで倒すという番狂わせによって生じるカタルシスは、スポ根ものの定番と言っていいと思う。
では、主人公らが弱小チームであることを分かりやすくするにはどうしたらよいか。
「敵より味方の数が少ない」が一番わかりやすいだろう。
作中、主人公たち大洗女子学園は公式戦で4度戦うが、第1回戦・第2回戦では5輌対10輌、準決勝では6輌対15輌、決勝戦では8輌対20輌と、数的な不利を常に抱えて試合をしている。
戦車の性能の差で不利さを演出するということも可能だろうが、その場合は見ている人間が戦車に詳しくないと不利さが伝わらない。「数が少ない」という説明に勝る説得力は持たせられないだろう。
もし野球やサッカーなど、一般に存在するスポーツであったら、ルール上こういう展開はなかなかやれない。
控え選手の層の厚さの違いは仕方ないとしても、フィールドに立つ選手の数が最初から不足していることを現実のスポーツではそうそう容認しないだろうが、「戦車道」ではありなのである。
「戦車道」のルールで視聴者が知っておけばいいのは、相手チームの戦車を全車撃破する「殲滅戦」と、各チームが決めたフラッグ車を撃破すれば残存車両数とは無関係に勝敗が決する「フラッグ戦」の2種の試合形式くらいである。
書き割りを使った欺瞞作戦や、通信傍受などをやっても反則負けにならないという「戦車道」の緩いルールは、観ている人間をあれこれ悩まずに楽しませてくれるのだ。
私にとっての「ガルパンはいいぞ」は、詳しく書けばこういうこと。