あんびりばぼ

2012年地球が滅亡する。

そんなウソのような予言を科学的なデータを下に発表した組織がある。

それは・・・・・・

NASAである!!

 

・・・とまあ、もちろんかなりの部分が出鱈目でしたね「アンビリバボー」。事実を元にしてはいるが、総じて見ればウソと言う、あの手のバラエティではお約束な内容である。

話の中心はマヤ暦と、NASAの出した太陽の極大期に関するもの。なんでも優れた天文の知識を持つマヤ人はその知識によって製作したマヤカレンダーを用いて未来を予測していたとか。このことを紹介してくれたのはモーリス・マコットレル(日本では「モーリス・コットレル」の方が正確かもしれない。いろいろヒットするので)という天文学者&マヤ文明の研究者。どうやらマヤ文明に関しては素人らしい(研究家、研究者は自己申告で名乗れるので)。

「天文学に詳しい→未来がわかる」というのはかなりぶっ飛んだ理屈だがそこはスルー。マヤ人は、自らの文明の破滅、コロンブスの新大陸発見、アメリカ独立、ナポレオンの登場、第一次世界大戦、ナチスドイツなどを予言していたらしい。そしてマヤ暦の5125年には終局が来る!

ここまではトンデモ話なわけだが(いや実際にはここからもなんだが)、この話はNASAがいってんだから本当なんだぞ、というのが番組の流れ。

ではNASAがマヤ暦の予言を正しいといったのか、と言うとそうではなく、あくまで「2012年に関するNASAの発表がマヤ暦の『予言』に合致してる!」という話である。

NASAの発表した極大期は約11年周期に起きているもので、2001年にもあったとのこと(そのときは日本でもちょっとしたオーロラが見えたらしい)。過去一体何度おきてるか知らないが、少なくとも当然人類は滅亡していない。極大期によって太陽嵐が発生し、地上の様々な物に影響(電波障害や大規模な停電)を及ぼすと言うことらしい。

もちろん電波障害や停電では人類が滅亡しないので、滅亡説を売り込みたい人たちはもっと派手なものとも結び付ける。なんでも太陽嵐によって磁場やエネルギーの乱れが発生し、それによって地殻にストレスが与えられるため極大期や極小期の起きる周辺の年には巨大地震が多いから今度も起きるとか。この説明のメカニズムでは、むしろ太陽の活動が控えめになる極小期には起きないはと思うのだが、そこについては説明ない(しかし極小期に起きた大地震として「阪神大震災」と「関東大震災」あげられていた)。TVでは大きな地震の名前が羅列されていたが、11年周期というかなりの頻度起こる現象なので、それが地震の起きた年とが同じになる可能性はもともと高いだろう。くわえて「極大期や極小期の起こった周辺では」と範囲を若干広めに取ればなおのこと、あたかも関連性があるように見えてきてしまう。また「X線やガンマ線、未知の粒子や宇宙線」が降り注いで、人々がつぎつぎと「原因不明の病」に倒れていくという、あまりにもアバウトすぎる怖い話が。何だ未知の粒子や宇宙線って。

このあたりまでくると明らかにNASAの発表ではない。番組の中ではNASAの発表から考えうる被害とどっかの馬鹿が考えた与太話をごちゃ混ぜに紹介していたので、混乱した人も多そうだ。

最終的には日本の研究者のコメントなどで「2012年の極大期で出現する黒点は予想(2006年時点)よりもずっと小さいのではないか」といったフォローが入れられ、2012年に滅ばないといってる人もいますよという「両論併記(ただし非常にバランスは悪い)」の形で幕を閉じる。

番組は2012年の滅亡説に科学的根拠があるとNASAが発表したかのような内容だったが、実際にはそんなことはない。映画「2012」の宣伝活動(おそらく「アンビリバボー」もそのひとつ)などにより急速に2012年滅亡説が広まり、それに対してNASAは公式HPで反論しているのが実情である。

最近はさまざまなメディアでこの滅亡説が急速に広まっている感じがあるが、以前はニューエイジャーによるフォトンベルトのほうがメジャーだったように思う。フォトンベルトによって人類が進化するとか滅亡するとか、どっちなのか、あるいは両方なのか。こっちに関しては(フォトンベルトの存在が)国立天文台などではっきりと否定されてしまった話なので、NASAの公式発表が絡んでいる極大期滅亡説のほうがもっともらしさに富んでいたいうところか。

神秘的な力によってなされた予言(予知)が、科学の力によって確かめられる。そんな「夢やロマン」への憧れが、地球滅亡の話を流布することに一役買っているだろうことはなんとも皮肉に感じてしまうのである。

おまけ――

今年の年末はビートたけしの超常現象番組をやるのだろうか?去年はひどい出来で大変がっかりしたものだったが、期待していいものだろうか?やるならぜひマヤ暦のねた晴らしをしてほしい。

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