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夏の小ネタ

独立党が力を入れている不正選挙裁判については、実際に裁判が始まったり、あるいはやらなかったりとある程度結果が出てからでないと書けないので今のところ「待機」なのだが、裁判以外にRKブログに動きがないわけでもないので、軽くまとめておく。

 

◆独立党と自然

この夏、最高気温更新や地震の誤報や豪雨など、あまりありがたくない自然現象に関するニュースがあったわけだが、それらをいちいち陰謀と結びつけないと気が済まないリチャード氏や陰謀論者。

自然現象の原因を「超人的な力を持つ何者かの仕業」と考え、説明づけるその姿は、かつて天変地異(洪水や日照り)を神の仕業と解釈した人々と大差がない。
当人たちは「神」や「悪魔」の代わりに「気象兵器」などの文明の利器っぽい名詞を使っているので「科学的な発想」ができているつもりなのだろうが、用語や知識が科学の成果に基づいていても、考え方や手法が科学的とはいいがたい状態である。

 

最高気温更新

8月12日に高知県四万十市で最高気温が更新され、それまでの埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市の40.9度を超え、41.0度に達した。

このほか関東で猛暑日が4日連続で最高記録タイとなったり、今年の「暑さ」が注目されたのは間違いない。
リチャード氏はこの状況について『高知で41度、史上最高=6年ぶり更新、3日連続40度超:サウジアラビアにでも避暑に行きましょうか?』で以下のようにコメントしている。

サウジアラビアにでも避暑に行きましょうか?
異常気象。あまりに不自然。だが、メカニズムがわからない。
北極海海底やインドネシア沖合のエクソン・モービルの核を使った海底探査….これらが地球全体の気象に影響を与えている?わからん。

暑くなったメカニズムについては専門家である気象庁の発表を待てばよさそうなものだが、それは置いておいてとりあえず「エクソン・モービルの核を使った海底探査」に行ってしまうあたりがさすがである。
そんなことやったら特徴のある地震波形と海洋汚染でばれるし、北極で行った核爆発の影響が日本で出ているなら、北半球の非常に多くの地域でなにがしか異常が報告されていそうなものである。
ちなみにこの記事を書いた翌日、気象庁は『最近の日本の高温について』という報道発表をしている。

地震の誤報

8月8日、16時56分、和歌山県北部を震源とする緊急地震速報が発せられた。
みんなが身構えたものの結局大きな揺れは発生せず、のちに誤報として気象庁が謝罪することになった。

気象庁は報道発表資料『8月8日16時56分頃の緊急地震速報の過大な震度予想の原因と対処について』にて原因を公表している。

観測機器の障害が原因でデータ処理装置上でノイズが発生し、震度予測に大きな狂いが生じてしまったということらしい。
こういったミスで緊急地震速報が信頼を失えば、本当に大きな地震が予測されたときに人々が対応しないような事態につながりかねないので、ぜひ改善に努めてほしいものである。

だが、こういうケースが発生する前から緊急地震速報や「公式発表」というものをとにかく信用していないのが陰謀論者である。

今回の誤報に関して、彼らは公式発表で言われた「機器の障害」が原因とは考えず、「15時56分に人工地震を発生させるつもりだったが失敗し、緊急地震速報が空振りした」と考えているのである。

「緊急地震速報が出たのに地震が起きなかった」という事象にたいする説明を、可能性だけで語ってよいなら何でもアリになる。
しかしそれを事実だと証明するには、単に言い張るだけでは無理というものである。

この地震の誤報に対して、リチャード氏らも人工地震である根拠を探そうと必死なようであるが、出てくるのはテレビのテロップがおかしかったというような話ばかりである。
単にテロップ上のミスと考えればそれで説明がついてしまうような話ばかりである。

8.8ユダ金大失敗エアー地震その後の情報』ではテレビのテロップや新幹線内の電光掲示での表示をもとに「地震が起きると前もって伝えられていた情報がフライングした」としているようだが、そもそも「人工地震を起こす」という情報をテレビ局や鉄道会社にまで事前に周知する意味などないだろう。
「和歌山・白浜テロップがフライング」したというが、フライングしたのは生中継で映す地名のテロップである。
現地の生中継映像がうまく流れずにテロップだけ流れてしまったという感じだ。
ニュース番組で録画したニュース映像のテロップ(発言などの文字起こし)がずれたりすることが時々あるが、あのレベルの誤りに過ぎない。
ある程度事前に準備する余裕のあるニュースでもテロップのミスは発生する。
突発的な緊急地震速報への対応で、この程度のテロップのミスが発生することくらい不思議でも不自然でもない。

8.8エアー地震の10分前に出されたテレビのテロップ? 「午後4時46分ごろ地震がありました。」』も単にテロップのミスである。
記事内では「地震の10分前にテロップが出た」と書いているがである。

【高校野球中継】【ABCテレビ】緊急地震速報の誤報のお知らせ

映像を見てみればわかるが、このテロップと放送は、「16時56分の緊急地震速報で報じられた地震が深刻な規模ではなかったこと」を知らせるためのものである。
つまり地震前に流れていた映像ではないのだ。
アナウンサーは「午後4時56分ごろ地震がありました」と発言している。
テロップは単なる誤りにすぎない。

独立党員もこの記事のうかつさを指摘している(一番最初のコメントから指摘が入っている)程のお粗末さである。

 

雷と光の柱

杉並の光の柱:気になるので紹介しておきます。』では、8月上旬に首都圏を襲った雷雨の際に、雷をスマホのカメラで撮影したら光の柱が写っていたという写真を取り上げている。

紹介された写真はかなりインパクトのある画像で、掲載されたコメントは衛星からの攻撃の可能性を示唆している。

だが衛星兵器というのはSFやスパイ小説の世界の話であり、情報収集のために利用されるようなことはあっても衛星そのものが兵器を積んで攻撃してくるということは現実にはない。
レーガン政権時代にそう言った攻撃衛星を作ろうという計画(スターウォーズ計画)があったが、技術的に難しかったり、実現しても効果に乏しい(防御することがそれほど難しくない)といった指摘があり、実行はされなかった。

この現象の正体は、はるかかなたに浮かぶ謎の軍事衛星などではなく、撮影した人が撮影に使ったスマートフォンにあった。

『iPhone』カメラの欠点を利用して「ゆがんだ写真」を撮る方法』の記事によれば、この「光の柱」はスマホのカメラで撮影した場合に起きる現象であることがわかる。
通常のカメラではレンズに写っている光景全体を一度に撮影するが、スマホではスキャンするように撮影するため、撮影中のごく短時間に変化があると、その変化を拾えた箇所と拾えなかった箇所で違いが出てしまうという。

「光の柱」の写真では、光の柱が立っているかのように見える箇所を撮影している短時間に雷で空が瞬いていたということである。

気になるのなら少し調べてみればいいのに、とりあえず紹介してしまっているあたり、「あまり学んでいないな」と今更ながら思ってしまう。

 

◆意外に浅い支配の歴史

リチャード氏の書いたいくつかの奇書の中に「リチャード・コシミズの新しい歴史教科書」というのがある。

はっきり言ってタイトルに偽りありで、あまりに限定的な範囲しか取り扱っていないので教科書としては使えず、また意外にも定説に反しない内容の記事が多く、「新しい」と感じる部分が少ない退屈な本である。

「新しい歴史教科書」を読んでも、リチャード氏の持つ陰謀史観全体を知ることができないのだが、今回書かれたブログ記事『とてもおおまかに世界の構造を解説してみます。1~2分くらいで。』ではタイトル通りおおまかにだが知ることができる。

で、これでみると大変な事実を知ることとなった。

なんと、「ユダヤ金融資本」による世界支配は第二次世界大戦後からだったという。
戦後から今までというと、68年間
もっと長い歴史だと思っていたぞ。
資本家が生まれたのがそんなに遠い過去というわけでもないから妥当なのかもしれないが、一方でユダヤ金融資本の目的が「旧約聖書にある大イスラエルの建国」だといわれると支配の歴史の浅さとはあまりマッチしない。

それまでは世界を支配し、富を独占していたのは大英帝国なのだそうな。
現在だってイスラエルという国家こそあれ、ユダヤ人による支配は主に裏からという形なのだから、「昔っからユダヤが陰から支配していました」という図式で良いようにおもうのだが、そうではなかったようである。

リチャード氏は第2次世界大戦より前の歴史について語ることも少なくなく、そこではユダヤ人の暗躍もいくらか語られているのだが、あくまでその時点ではユダヤ人は世界を支配しているわけではないようである。
パッと思いつくもので言えば、明治維新、日露戦争、共産主義の誕生、ナチス政権の誕生、真珠湾攻撃などがあるのだが、これらの歴史的な事件をいくつも起こしておきながらまだ世界の支配者の座を大英帝国に譲っていたとはどういうことなのか(同記事では「戦後、世界最強の軍事大国として予定通りユダヤ米国が覇権を掌握し、世界経済を長く支配した」とあるので、真珠湾攻撃時も世界を支配してはいない)。

で、大英帝国が世界を支配し、その座から転落した経緯について詳しく語る日は来るのだろうか?

 


《参考記事》
高知で41度、史上最高=6年ぶり更新、3日連続40度超:サウジアラビアにでも避暑に行きましょうか?
この異常な暑さ、ゲリラ豪雨。あまりにおかしいですね。

奈良で地震?
金融ユダヤ人の皆さん、地震テロ失敗のようですが、まだ何か企んでいますか?
8.8なんちゃって地震速報:皆さんのご意見をまとめてみました。
8.8ユダ金大失敗エアー地震その後の情報
8.8エアー地震
8.8エアー地震の10分前に出されたテレビのテロップ? 「午後4時46分ごろ地震がありました。」

杉並の光の柱:気になるので紹介しておきます。

とてもおおまかに世界の構造を解説してみます。1~2分くらいで。
そういえば桜島の噴火は陰謀ということにはならなかったですね。
(以上、richardkoshimizu’s blog より)

最近の日本の高温について
8月8日16時56分頃の緊急地震速報の過大な震度予想の原因と対処について
(気象庁HP 報道発表資料)

『iPhone』カメラの欠点を利用して「ゆがんだ写真」を撮る方法』(WIRED

別の本の話

当ブログを見てくださる方の中に、リチャード氏の新刊『リチャード・コシミズの新しい歴史教科書』に関する記事を期待してくださっている方がいるとは思うのだが、中古本が安く手に入らないので、まだ入手すらしていない状態である。

そんなわけで今回は別の本、泉パウロ著『本当かデマか 3・11[人工地震説の根拠]衝撃検証』について。

以前の記事で書いたとおり今年のトンデモ本大賞に輝いてしまうような本なので、デタラメなだけでなく爆笑ものな記述がかなり多い本ではある(ただし所詮はトンデモ本なので、大して面白くもなんともない箇所もかなりある。ただただ笑いたいのならギャグ漫画を読んだ方がいい)。

感想をひとことでいうと、「カオス」である。
とにかくいろんな情報をいろんなところ(おそらくはネットが大半だと思うのだが)から引っ張ってきて、それらが全く整理されていないという感じである。

 

◆はっきりしない黒幕

当ブログでウォッチングしているリチャード氏は世界の黒幕にユダヤ人を名指しし、言葉の限りの悪態をついている。
ドン引きモノの行為といえばそうなんだが、もしリチャード氏の言っていることが事実であるならば確かにそのように怒りをぶつけたりするのはわからないのでもない(事実ではないから問題なんだが)。

それに比べると泉氏の本の中では「これが黒幕なんだ!」という明確な名指しがいまいちない。

 

どうやらユダヤ人が悪役という設定になっているのはわかる。
ユダヤ人に関する記述はそれなりに分量を割いているし、本の中で「シオン賢老の議定書」(邦題はいろいろとつけられているが、この本ではこう書いている)やら「ゴイム」や「ディアスポラ(離散)」に関する文章がでてきたりする。

しかしながら、フリーメーソンもどうやら同様に悪役で、どちらが上位組織なのかとかがはっきりしていない。

かと思えば196ページにはロックフェラー一族について紹介した文章が書かれている。
このロックフェラー家が上記の2つとどのように関連しているかもはっきりしない。
しかも同ページはなぜか「三百人委員会」を頂点とした組織図が何の説明も注釈も無く記載されていて、ますます混迷を極める。一体どの組織を告発したいのだろうか。

本書ではたびたび「サタン」の名前が出てくるが、これがあくまで悪人たちを便宜的にそう呼んでいるだけなのか、本当に悪魔が実在して悪事を働いていると考えているのかもよくわからない。

 

◆めちゃくちゃな情報

著者、泉パウロ氏にとっての情報源はネットが多いというのはわかる。
なぜならリチャード氏の主張の非常に多くがこの本に取り込まれているからである。

リチャード氏がこの本を「パクリ本」と表現した気持ちも理解できてしまうくらい多い。
「定点人工地震説」や「『ちきゅう』関係者の人工地震発言」、はては「純粋水爆説」まで何食わぬ顔で登場する。純粋水爆が存在する可能性を何一つ考慮に入れず書いてあるあたり、図太いというか鵜呑みにもほどがあるというか……。

もちろん著者が鵜呑みにしているのはリチャード氏だけではない。
それこそが今年のトンデモ本大賞を受賞した秘訣だろう。

テレビCMや映画(それも20年近く前のものまである)の映像や、聖書の暗号、イルミナティカード、個人的に送られてきた手紙など、普通の人だったら相手にしそうにない雑多な情報を遠慮なく詰め込んだ感じだ。

ただあまり深く考えずにいろんな情報をとにかく入れた感じはつよく、所によって矛盾してたり明らかに間違ってる箇所があったりする。

・プロジェクトシールが無茶苦茶
リチャード氏があつかった関係で、当ブログでも触れたことのある「プロジェクト・シール」とOSSの作った「対日心理作戦計画」がこの本にも登場するのだが、この二つがごっちゃになっている。

35ページでは「THE FINAL REPORT OF PROJECT “SEAL”」(当ブログ記事『Project "SEAL" を読もう』参照)が、OSSの「対日心理作戦計画」の一つとして「封印計画の最終報告書」なんて邦題をつけて紹介されている。

ところが、これとは別に46-47ページでは「30mを超える津波発生に成功――津波爆弾「プロジェクト・シール」とは?」なんて記事も書かれており、完全に別のネタとして扱われている。
報告書のタイトルで「THE FINAL REPORT OF PROJECT “SEAL”」=「プロジェクト・シール最終報告書」と気づかなかったのだろうか?だとすればマヌケにもほどがある。

・皇族が嫌いなのか誇りなのか
天皇家に対する記述では誤りというより矛盾を起こしている。

199-201ページにかけて引用されている記事は、天皇家が武器の密輸や売春で蓄財していたとか天皇家こそ日本民族の敵であるといったかなりアブない主張をしている。

引用している以上は著者である泉氏もおなじスタンスなのかと思いきや、このすぐ後の205ページからは日ユ同祖論がはじまり、天皇こそがヘダビデの正統な血を引いていると持ち上げている。褒めたいのか貶したいのかどっちなんだ。

・放射能について
福島原発から漏れた放射能の問題についても、統一が図られているとは言い難い。

147ページでは福島原発から燃料棒が事前に抜き取られていた、というリチャード氏の「エアーメルトダウン」説を取り上げ(この本においてリチャード氏は引用元としてまったく紹介されていないし、名前が出て来ることすらない。不憫)、関連する報道を「民衆をあおるプロパガンダ」と表現している。

ということは、著者は福島やその他の地域において放射線の危険性は低いという認識なのかというと、これがまたおかしくなってくる。

156ページからはじまる「日本は今、タイタニック沈没状態・・・・・・」では、政府高官や議員たちが国民に放射能の危機を知らせずに自分たちだけ安全な所へと逃げていると非難している。
安全なのか危険なのか、どっちだ。

この他にもマグナBSPがアメリカ104か所の原発を建設していたり(警備システムメーカーのマグナ社が原発を建設しているわけはないし、104というのはアメリカにある原子炉の数であって発電所の数ではない)、「宇宙戦艦ヤマト」が全米大ヒットしていたりもする。

 

◆陰謀に相乗りしてみる著者

こんな「雑な」行為が目立つ泉氏。

311に引き続いて411にも地震が起こし、それによる株価の変動で悪者たちがひと儲けするに違いないと考え、それに乗っかることで陰謀を証明しようと考え、プットオプションを試みたという。

結果としてこの試みは成功し、50万円ほどの利益を出したという。倫理的にそれでいいのか。

だがもちろん、単に泉氏の運が良かっただけかもしれず、陰謀があった証拠には全くならない。
震災後の余震は4月11に限らず起きていたし、そのなかには4月11日の地震に匹敵する揺れの地震もあった。
そんな余震が起きるたびに株価が下がる企業というのは考えにくい。
泉氏の考える通り、地震を利用した株の不正な取引があるのなら、泉氏が目をつけた銘柄を大量に取引した人間がいたのかを調べる必要があるだろう。

泉氏は自分の妻を説得したくてこの株取引を行ったようだが、本文の顛末を読む限り、説得は失敗に終わったようである。

 

以上が私がこの本を読んで面白かったりイラッときたりした箇所である。
この他の内容はというと、聖書の記述の話やテレビ宣教師の話、祈りの話など、伝道目的であることがよくわかるもので、はっきり言ってつまらない。

バカバカし過ぎる説から、矛盾した話まで同時に存在するこの本の内容の混沌とした様相は、もしかしたら陰謀論を「客」として信じている人間の頭の中の縮図なのかもしれないと、そう思った次第である。


《参考図書》

※タイトルには「衝撃検証」と書いてあるが検証はしていない。鵜呑みにしているだけである。

謎の単語『ロックフェラー医学』

今回は2012年1月28日に行われた講演の紹介。
テーマは「今、裏社会が一番嫌がるテーマを某国大使館・CIAの目前で」。

といっても話題は人工地震、同性愛、ユダヤ人アイゼンバーグ、政治家、独立党の標語、政府発行紙幣、TPP、可視光線治療器など多岐にわたり、いったいどれが「一番嫌がる話題」にあたるのかは不明である。

◆人工地震陰謀論の話

相も変わらずの人工地震の話。
講演会当日の地震も人工地震であったとのこと。

ただ前回紹介の動画でもそうだったが、人工地震に関しては以前よりも不確定要素(「太陽フレア」など)が存在する点を強調したりと、震災発生間もなくのころに比べるとトーンダウンしているように感じる。

「つまりですね、その、結局、いろんな技術を使ったところで、さまざまな自然の条件がそろわないと自信は大きく成長しないと、ちょっと揺れて終わりと。
で、過去においてそれが非常にうまくいった例として、311があり、神戸の地震があり、スマトラ沖の地震があると、ニュージーランドも同様です。
ということで、そうそう簡単に大きな地震を起こせる状況にないし、もう一つは日本国。
東日本を中心に、今まで徹底的に揺さぶられて地盤がしっかりとかたまってしまったんではないかと。
つまりもう揺れて、壊れるような余裕もなくなってしまったと」
(動画01/08 4:15)

そんなんで地震が揺れなくなるのなら、とっくに自然由来の地震で地盤が固められてそうなものなんだが、そのあたり、どう説明つけるのだろうか?

またこの話題に付随して、裏社会の資金力についても言及している。

「人工地震をやるにはお金がかかるんです。
色んな人の口をふさがないといけないし、買収しなくちゃいけないし、何人か暗殺しなくちゃいけないし、終わった後もずーっと、一度使った人間は一生飼い殺しなわけですよ。
一度使った人間は毎月お小遣いあげないと口をパクパクパクパクあけて『お金頂戴』『お金頂戴』と騒ぐわけです。
そういうのが毎月どんどんどんどん増えてくわけです。
たとえばリチャード・コシミズ独立党のコアな人間をピックアップしてリクルートしようと思ったら、お金がいるわけです。
一旦リクルートしたら、そいつが生きてる限りは、お金を供給しないと口をパクパクパクパクうるさいんです。
それと同じことがいろんなところで起きてる。
そうすると莫大な金が毎月出ていく、ということなんです」
(動画01/08 8:18)

どうやら裏社会は買収した相手に死ぬまで口止め料を支払い続けてくれるらしい。
いちおう暗殺という手段もとるそうだが、これは「何人か」にとどまるようである。
面倒見の良さは悪の組織「フロシャイム」といい勝負かもしれない。

しかし疑問なのは、大勢の人命にかかわる犯罪行為を黙らせているには一体一人当たりいくら払えばよいのだろうかということである。

どんな仕事をしたかにもよるかもしれないが、外国と通謀して武力行使をさせるもしくは外国の武力行使に協力をする「外患罪」は日本では死刑に相当する。
バレたり失敗すれば死刑になるという陰謀にいくらで加担するか、それはすなわち自分自身の命にいくらの値段をつけるか、という話である。

リチャード氏によれば、陰謀に加担する人間は「自分自身の利益しか考えてない、まさしくマイノリティ発想」(動画04/08 6:50)の持ち主らしいので、相当な額を吹っかけてくるだろう。

まさか「今回陰謀にかかわったメンバーがすごく大勢いるし、そっちの台所事情が苦しいみたいだから割引するよ」なんて団体割引を申し出てくれる親切な犯罪者がいるのだろうか?

 

◆同性愛の話

なんだかこの話題が一番盛り上がっていたように感じる。

政界はホモ人脈というものでつながっているというのが主張である。

中曽根、野田、前原、岡田、アーミテージ、ジョージ・ブッシュ、ヒラリー・クリントンらは同性愛者であると言いたいようなのだが、含みを持たせた言い方や独自隠語などを使ってぼやかしている。
普段(この講演でもそうだが)は人のことを大量虐殺者(あるいはその手下)と騒ぎ、「訴えられないのは事実であるから」とか豪語してるんだし、いまさら名誉棄損や誹謗中傷で訴えられる可能性なんて気にしなくてもいいような気がするが、同性愛者であるかどうかの話は他の陰謀論に比べると確度に関して自信がないということだろうか。

で、これらの人たちはそのような性的志向に関する秘密を共有することで絆を強めているとのこと。
インターネットしか情報源を持たないリチャード氏に知られているという時点で、全く秘密にできていない気がするのだが、彼らの絆は現役なようである。

8分割のうちの2番目の動画はこの手の話題に花を咲かせており、このほかにも笹川良一と児玉 誉士夫が朝鮮人だとか、岸信介が朝鮮人に産ませた女の子が安倍晋三の母親だとか、政治的に偏向した人間に好まれそうなゴシップ記事的なネタが満載で、「ジャーナリズム」というイメージとは程遠い。

 

◆政治とか経済の話

反原発運動や国士政治家(小沢・亀井・宗男)の排除、TPP参加、消費税増税・政府発行紙幣などはすべからく陰謀であるという話で、ブログ記事『世界の中心が東洋に移るのをユダヤ・白人はひどく恐れているのです。西洋文明の終焉を意味するからです。』に掲載されているコラージュ画像に書かれている項目の解説がされていた。

内容的にはそれほど新しいものはなく、リチャード氏のブログ記事を読んでいれば、過去に読んだことのある話と特に大きな違いはない内容である。
なので仔細については省かせていただくが、2つほど目についた発言があったので紹介する。

「もしそう(政府発行紙幣の発行)なったら、一番喜ぶのはアメリカなわけです。どう喜ぶか?
うん、日本の金をあてにして戦争やればいいんです。
つまり日本が発行した政府発行紙幣でもってどんどんどんどん戦費を調達して、軍備を積み増しして中国と戦争させればいいわけです。
そのためには政府発行紙幣という制度がどうしても欲しい連中がいるんです。
で、その連中が口をそろえて言うのは、え~その、『中央銀行制度が間違ってる』と、『政府発行紙幣を導入すればすべての問題は解決する』と、『ロックフェラー、ロスチャイルドから逃れられる』と、必ずいうんですが、その人たちはこの背後の、その後の戦争計画には絶対触れないんですね。
で、『おかしいな』と思ってよくきいてると、そういった主張をする人たちは必ず一番奥の深いところではロックフェラー、ロスチャイルドとつながってるんですね」
(動画05/08 1:36)

「政府発行紙幣が導入されれば戦争が起きる」という話の飛躍もたいしたもんだが、それ以上に「この(飛躍した)話にふれない(というか思いつかない)連中は裏社会側の人間である」というロジックには恐れ入る。

このロジック(?)をリチャード氏はたびたび使用しており、「核の専門家であるのに純粋水爆説の可能性に言及しなかった」という理屈でローレン・モレを、「統一教会への批判をしていない」という理由で右翼団体を裏社会とつながりがあるということにした時にみられている。

「アメリカ破綻すれば日本もただでは済まない。
傷を負う。結構です。大いに負いましょ。
そしてみなさん目を覚ましましょうよ。
我々はみなさんほかの人たちに比べて先んじて目を覚ました。
で、まだまだ寝てるのがいっぱいいるんだから、その辺で。
その人たちが目を覚ますにはやっぱりね、おもいきりビンタを食らわすに限ります。
ビンタを喰らわせましょうよ、連中に。
で、我々はしたり顔に言いましょうよ、『ほ~れ 見~たことか~』『俺たちわかってたんだよ』、『お前今頃目が覚めたの、バーカ』って、言ってやりましょうよ」
(動画05/08 3:56)

こんな心の狭さ、せこさでいいのか独立党員。魂がきれいな人間じゃなかったのか。
『ほ~れ 見~たことか~』と他の人たちを見下すつもりらしいが、その時には見下す側も見下される側も全員貧乏人になってる可能性が非常に高い。
したり顔をしても馬鹿扱いされる状況に変わりはないだろう。

それにしても思うんだが、リチャード氏は経済破綻とそれに伴う「覚醒」を予言する一方で、日本の国債は大丈夫というような話もしているわけだが、このことに矛盾はないのだろうか?

日本の国債は今は平気でもいずれダメになって破綻する、というような順序があるということなら矛盾は出ないが、リチャード氏は日本の国債が危なくなってきたタイミングというものをいち早く予見できるのだろうか?

 

◆健康の話

TPPに言及したリチャード氏よると、アメリカはTPPによって金融・保険・医療の3分野で日本からの略奪を企んでいるのだそうだ。

日本の健康保険制度をつぶして、民間の保険会社の市場を獲得することが目的だという。
陰謀組織が本当にそんなことを企んでいるのかどうかは不明だが、アメリカの保険制度に問題があり、同じような保険制度が日本に導入されるとなれば、とてもじゃないが賛成できない、というか反対の立場をとるというのは別段特異な主張ではなく、陰謀論を抜きにすればリチャード氏の主張はそれほどおかしいものではないと思う。

だが、そこはウォッチャーの期待を裏切らないリチャード氏。
単に保険制度に限ったものではなく、医療技術や治療法そのものにまで間違っていると主張を始める。

「とにかく今のアメリカ式の医療、これは全く間違っていると思う。
まず、切る。で、切除する。
切除をするだけで人間はとても大きなストレスを体に与えてしまう。
しかも、臓器を空気にさらしてしまう。
あのー。たとえばですね、動物病院の先生なんかにお伺いすると、『いや動物ってのは一回お腹開けてしまったらもうダメなんですよ』とおっしゃいます。
『空気に触れてしまったらもう長生きはしません』とおっしゃる。
人間も同じじゃないですか(笑)!

それと放射線治療。これは局所的に放射線治療するんですが、正常の細胞も死んでしまう、ということですね。

それから抗癌剤。
抗癌剤というのは基本的に効果はあるけども、要するに延命作用があるだけなんです。
で、『抗癌剤では癌は治らない』とおっしゃってる医者もいらっしゃるんで、お医者さんもいらっしゃるんで。
そうなると、そういうなんの役に立たないものを3つのセットにしてお金をたくさんふんだくる。
というアメリカのシステム、は我々としては欲しくない」
(動画07/08 3:20)

獣医さんの話をそのまま人間に適用して、「開腹をいったんしてしまったらもう長生きはしない」なんていったら、盲腸手術した人間も遠からず死ぬということだろうか?
リチャード氏自身、2010年4月に心臓発作で倒れた時には緊急手術をしたということなので「臓器が空気に触れた」可能性があるが、とりあえず何ともなさそうである。

これらの治療法に対してリチャード氏が唱える癌治療法は「生活習慣をみなおす」「体温を上げる」の2点だそうである。お気軽な。

とくにリチャード氏は「体温を上げる」という健康法に関心が強いらしく、体温を上げる方法として可視光線治療器を紹介している。
これを利用して光を浴びるとミトコンドリアが活発化して体温が上がるのだそうな。
ちなみに動画中のリチャード氏の発言をヒントに検索をかけてみると、室内栽培に使うという「植物育成LED」なるものにたどり着いた。講演中に氏が手にしていたライトと外観も酷似している。
商品の紹介ページよれば植物の光合成に適した光を出すとのこと。
葉緑体のない人類にとってこれが直接的に役立つものとは思えないが、まあお好きに。
【2012.3.27 追記】※当ブログ記事「かもしれない話」にて可視光線治療についての続報と考察があります。
可視光線治療器に興味がある人はそちらもご覧ください。

そしてこれによって西洋医療からの脱却ができるのだという。

「こういうこと(可視光線治療器)も我々にとっては大きな解決策になるかもしれない。
そうしたら、いわゆるユダヤ式のロックフェラー医学というものを、から脱却できる。
本来いらないんですよ、そんなもの。医療費なんていらない、そんなもの。
お風呂と光がありゃいいん」
(動画07/08 8:03 発言の最後は音が拾われておらず途切れたようになってしまっています)

「いわゆるユダヤ式のロックフェラー医学」というのが全然きいたこともないぞ。なんなんだそれは。

ちなみに先述したとおり、リチャード氏は2年前に心臓病で倒れているのだが、倒れる1ヶ月前の講演会では今回とそれほど差のない「体を温めれば病気しない」という話をしており、身をもってそれが信用できない話であることを証明している。

 

今回の講演動画に関して紹介するのはここまで。
リチャード氏は2012年は地球は大きく変わると確信していて、今年中にネットジャーナリストの仕事の7,8割が終わり、フリーエネルギーや新エネルギーをビジネスとして市場を開拓するのだそうな。

1年間のあいだに万事が劇的に変化するのを客観的に確認できるのか、それともリチャード氏が一方的に「変化した」と宣言して幕引きとするのかわからないが、生暖かく見守っていこうと思う。

 


《参考動画》
今、裏社会が一番嫌がるテーマを某国大使館・CIAの目前で

《参考記事》
世界の中心が東洋に移るのをユダヤ・白人はひどく恐れているのです。西洋文明の終焉を意味するからです。』(richardkoshimizu’s blogより)
植物育成LED-DeepRed(赤)660nm』(エコゲリラ ウェブショップより)

健康』(当ブログ過去記事)

リチャード小説を読んで:「3.11同時多発人工地震テロ」(2)

前回は小説としての「3.11同時多発人工地震テロ」の小説としてのツッコミどころを書いたので、今回は陰謀論としてのツッコミどころを書いていく。

◆二重に架空を重ねた上に成り立つ人工地震説

タイトルの通り、人工地震がこの本のメインになるが、説得力は今一つ。

本書の中では人工地震を起こす方法については「推測しています」とか疑問形でRKが語ることが多く、「具体的に3つの地震をどうやって起こしたのかは、まだよくわかっていません」とさえ言っている。

未遂に終わった分を含めると膨大な回数行われたはずの人工地震が起こされた現場を一つとして押えてないのだから、当たり前といえば当たり前ではある。

しかしそんなことを言っててもせんないので、リチャードコシミズ人工地震説をまとめてみる。
75~78ページの記述を中心に、他のページの描写なども参考にして組み立ててみた。

深海掘削船で10㎞海底を掘る 。掘削船のドリルで深さが足りないときは、バンカーバスターを多数打ち込んで掘る

潜水艦で孔の底に核兵器(水爆、都市部に近いところでは純粋水爆)を設置し、爆発させる

爆破の影響でマントル層まで亀裂が走る

亀裂に水がしみていく(10時間とかかかる)

するとマントル層で核融合反応が起きやすくなる(あるいは起きる)

大地震

この仕組みの重大な欠陥は「マントル層での核融合反応が地震となる」という理論(以降、提唱者である故 山本寛氏の名前から山本理論と表記)が科学的に証明されていないことだ。
そもそもリチャード氏自身、山本理論を「まだまだ一般に認められたものではない」(78ページ)と書いている。
「まだまだ」と書いているがおそらく将来的にも認められることはないと思う。

純粋水爆を含めた膨大な数の核兵器運用と山本理論、証明出来ていないものを二重に使うことで人工地震説は成り立っている。

それはつまり、この人工地震説が現実とかけ離れた妄想の領域を出ないということだ。

また、人工地震兵器というものが2011年3月11日より日本で使用されていたと考えると、実用性の面で非常に難があることも、「人工地震説」に説得力がない一因である。

余震の回数を考えると、人工地震というのは恐ろしく成功確率が低い。

本書の中でも人工地震の多くが失敗に終わっているということは書かれている。

こんなものがはたして軍事技術と呼べるのだろうか。
人工地震は1940年代に確立された「陳腐な旧式の大量破壊兵器」らしいが、こんな下手な鉄砲を数撃って当てなきゃならないような戦法を採用するなど非合理の塊だ。

本書では1944年12月の「東南海地震」、1945年1月「三河地震」を人工地震による攻撃であったとのほめかしているが、現在のこの非効率な「人工地震」のありさまから考えると、1944年12月から翌1945年1月までの期間に例年に比べて非常に多く余震があったということだろうか?

そもそも第二次大戦中にアメリカにそんな攻撃ができたとしたら、地震攻撃のことをわざわざ隠す必要はないだろう。
地震兵器を種に日本に降伏を迫ることができただろうし、共産主義圏を牽制することもできただろう(リチャードコシミズ理論によればWWⅡも共産主義もユダヤ人の陰謀らしいのでどうとでもなってしまうのだろうが)。

また本書で書かれている内容が事実なら国内に数百発を超える核兵器があったことになる点や、核爆弾を東北・関東中で埋めて回らなくてはならない準備作業に関して目撃情報等がない点など、人工地震説の問題点はほったらかしである。

◆気象庁がデータを隠したという話

この本に限らず、リチャード氏のブログや講演でもみられるが、気象庁が地震発生について行った記者会見の情報を後に隠ぺいしたと主張をしている。

隠ぺいされたとされるのは3月13日の記者会見で発表された「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」という情報のこと。
これが隠ぺいされ、一つの大きな地震だったということにされてしまっているというのだ。

「…〈前略〉… 気象庁が地震後数日の公式の会見で、ありえない地震だみたいな発言を残したのは、まずかったんでしょうか。人よっては人工地震を想起しますからね。
この記者会見の記事、早々とネット上から消されてしまいまして。裏社会さんには不都合な話だったんでしょうね。まあ、こっちは魚拓でもキャッシュでも対策はあるので構いませんけど。笑」

そして以後、「最初の破壊の後に、第2、第3の巨大な破壊が連続して起こり」といった当初の話は消え去り、ただ一回の普通の地震だったことに書き換えられているのだ。

資料・・地震情報(震源・震度に関する情報)
平成23年3月11日14時53分 気象庁発表
きょう11日14時46分ころ地震がありました。
震源地は、三陸沖(北緯38.0度、東経142.9度、牡鹿半島の東南東130㎞付近)で、震源の深さは約10㎞、地震の規模(マグニチュード)は7.9と推定されます。
〈後略〉
(72~73ページ)

文章からすると、書き換えた後の公式情報というのが「資料」として提示されている情報、ということになるのだろうか。

だとするとこれは相当におかしい。
見ればわかるとおり、引用されている情報は地震発生から7分後の速報段階の情報である。
マグニチュードが7.9で震源の深さは10㎞。
明らかに現時点での東北関東大地震の常識とは食い違っている。
今「テレビや新聞からしか地震の情報を得ていない人」に聞いてもマグニチュードが7.9だという人はおそらく非常に珍しいだろう。勝手に世間の常識を取り違えたか、引用すべき情報を間違えたか、あるいは勘違いをしているとしか言いようがない。

そもそも「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」という気象庁の発表は、隠ぺいも撤回もされていない。

気象庁HPには「報道発表資料」のページがあり、マスコミ向けに発表した情報はここで閲覧することができる。
今回の地震に関する様々な発表は「「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について」というタイトルが付けられ、発表された順に「第○報」と明記されている(5月27日現在で第45報まで発表されている)。[1]

この中で扱われている情報は余震に関するものが多いが、メカニズムついての発表も存在している。
「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」というメカニズムについては第15報(3月13日)と第28報(3月25日)において触れられており、その後の第45報(5月27日)までの間にそれらを撤回するようなメカニズムについての発表など一切存在しない。

最近では東大の井出哲准教授らのチームが断層破壊のメカニズムについて「深部→浅いところ→また深部」という順序で起こったと「3つの破壊」について解析を発表している。[2]

何も隠ぺいなどされていないのだ。

どうしてこの情報が隠ぺいされたなどと思ったのか、理解に苦しむ。

◆頼りない顔ぶれ

本書では説の補強材料として様々なコメントや文書が引用されているわけだが、どうにも独立党ブログのコメントに偏りすぎている。
コメント欄でいくら「人工的な臭いがする」とか「自然現象だと説明するレベルはとうに超えている」とかいった書き込みがあっても、それは結局のところ発表された情報に対する個々人の感想に過ぎず、「あっそう」としか言いようがない。

また、山本理論の主張に当たり、リチャード氏は同様の説を支持しているであろう人物として柴田哲孝氏の名前を挙げ、民主党議員 風間直樹氏の提出した質問主意書を紹介しているが、これもどうにも頼りない。

75ページ、135~136ページの阪神大震災人工地震説で紹介される柴田氏は作家。
下山事件を扱ったノンフィクション作品なども書いているようだが、阪神大震災陰謀論をテーマにした作品「GEQ」はフィクションとノンフィクションの要素が混じった小説である。[3]
135~136ページの文章を読む限り、阪神大震災人工地震説を成立させるために、山本理論を利用しているだけのように思える。
これではリチャード氏と同様、山本理論が事実でないかぎり、人工地震説は成立しないと言ってるようなものだ。

91~92ページにわたって紹介されている参議院質問主意書だが、単に山本理論を事実だと信じ込んでいる国会議員がいる、という話にしかならない。遺憾ながら。

質問主意書では、中越地震の震源地が二酸化炭素貯留地点から20キロという点からだったということで地震と二酸化炭素の封入を関連付けて質問しているが、これに対する福田総理の回答は貯留地点と地震を起こした地層に連続性はないので無関係、というものだった。[4]
風間議員は山本理論に基づいて地震と封入実験を関連付けて質問しているが、福田総理はプレート理論に基づいて回答しており、なんだかむなしいやり取りである。

この質問主意書を書いた風間直樹議員は第168回参議院災害対策特別委員会で、山本理論に言及した際、ホッカイロが温まる原理を核融合で説明するという珍プレイもやらかしている。[5]

◆犯人に関する証拠らしいものは無し

この本を最後まで読んでも、結局人工地震を起こしたのがユダヤ人である、ということは特に証明されていない。

でてくるのはせいぜい、イスラエルの医師団と仏大統領サルコジ氏(母親がギリシア系ユダヤ人。祖父の代にカトリックに改宗)が来日したことと、福島原発のセキュリティシステムにイスラエル系企業のマグナBSP社が関わっていたことくらいで、人工地震が金融ユダヤ人の指示のもと「世界ゴロツキ共同組合」によっておこされたと主張する根拠というものはない。

当然、文中に出てくる米軍や自衛隊に特定の宗教団体の信者によって構成された部隊があるという主張も証明されていないし、東京電力や気象庁、マスコミが陰謀にかかわっているという主張も証明されていない。

204ページから始まる「311テロリストがつくった缶政権」、「金融ユ●ヤの世界支配」(←本書では「ユダヤ人」は徹底して伏せ字で書かれている。18禁?)、「「311」同時多発テロ」、「世界ゴロツキ協同組合日本支部」までの4章の間で書かれている「世界の指導者層にはユダヤ人、隠れユダヤ人とその手先が大勢潜んでいて、過去の不幸な歴史の陰でユダヤ人が暗躍してきたにちがいない」という主張を真に受け、「だから今度の地震もゴルゴムユダヤ人の仕業だな!」とでも考えない限り、この本をいくら読んでもどのような根拠をもって人工地震を起こしたのがユダヤ人だとRKが考えているのかはわからない。

◆そのほかの主張について

計画停電陰謀説 (87~88ページ,149~155ページ)
計画停電は陰謀だという主張。
87,88ページでは、東京電力の原発17基が止まっても停電したことはないのに、今回福島の原発がダメになったから停電する、というのはおかしいという根拠を示している。

電力の供給量が足りなくなったのは、何も止まってしまったのが福島原発だけだからではない。ほかにも火力発電所の発電機が多数停止していたためである。[6]
計画停電が必要な理由に火力発電所がいくつか停止したことが挙げられていることについては、149ページでは触れてる。
しかし、火力発電が止まったことに関して特に反論は書いておらず、東電と政府の発表が唐突におこなわれたとか、テレビで解説がなかったなどと書いている程度である。

計画停電の電力を純粋水爆の起爆に使ったとも書いているが、過去の純粋水爆は常温核融合で起爆装置を動かしたと主張していたのに、今回は一般の電源で起爆していることに関して説明はない。

福島原発の建屋が吹き飛ぶ映像消音陰謀説 (58ページ,108ページ)
福島原発の3号機が水素爆発を起こした際の映像に日本のニュースでは爆発音が入ってなかったのに、YOUTUBEにアップロードされている海外のニュース映像[7]には3つの爆発音がついている、というもの。

同様の動画のコメント欄に反論が書かれているが「20㎞以上離れた位置からの映像なのに時間差がほとんどない」のはあきらかにおかしい。 音速から考えれば1分以上の時間差があるはずだ。
また、20㎞も離れたところまで音が届くほどの爆発なら、3号建屋の破壊だけですまないのではないだろうか。

「音つき」が確認できるのもYOUTUBEにアップされたものだけで、動画の元になったSkyNEWSの記事で確認できる動画には爆発音はついていない。[8]

緊急地震速報が外れるのは人工地震だから説(157~159ページ)
緊急地震速報が外れるのは、核実験(人工地震)はP波が強くS波が弱いため、地震速報システムが強いP波を感知して速報を出しても揺れを感じるような強いS波が来ないためである、という主張。

緊急地震速報が外れることについては、気象庁が見解を発表している。[9]

3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の発生後、同月12日03時59分頃の長野県北部の地震や同月15日22時31分頃の静岡県東部の地震など広域にわたって地震が多発しています。
このため、ほぼ同時に発生した複数の地震からのデータを適切に分離して処理できず、適切に緊急地震速報(予報及び警報)の発表ができない事例が発生しています。
改善方法については検討を進めていますが、直ちに対応することは困難な状況です。
(『緊急地震速報について』気象庁HP)

ほぼ同時に発生した複数の小さい地震の波を一つの大きい地震だとシステムが勘違いしてしまう、ということである。

ただ、この陰謀論についてはいちばん出来が良かったと思う。

怪しい黒い雲(85~86ページ、161~162ページ、184~191ページ、198~203ページ)
東京湾で純粋水爆が使用された際の熱によって海ほたる上空に黒い雲が出た、その後ねっとりとした根着生の灰色の雨が降り、雨にうたれた人間がその後、呼吸器や喉の不調の症状を訴えているという話。

雨に降られた後の咳って、ただの風邪ではないのか。

陰謀はユダヤの暦と一致する説(307~309ページ)
「ユダヤ裏社会は、ユダヤ教の暦や数字のごろ合わせにひどく拘る。」(307ページ)という主張である。

本書では2003年のイラク戦争の前祝いとしてピュリム(purim)の祭礼を行っていたとし、今回の地震もピュリムが最終戦争のタイミングとなりうるのだとか。

今年は3月20日がピュリムなのだそうだが、とくになにもおこっていない。地震そのものは9日も前だ。
イラク戦争にも「前祝い」と書いてあることからわかるとおり、ピュリムの当日に何かが起こったわけではない。

これで「ひどく拘る」と言われても困る。

それではこれまでに行われてきた陰謀の日付にはそういった暦との連動していたのだろうか?

911同時多発テロ、スマトラ沖大地震、バリ島ディスコ爆破事件、連邦ビル爆破事件。
過去にさかのぼれば明治維新や日露戦争、真珠湾攻撃など、リチャード氏がユダヤの陰謀によるものとする事件は山ほどある。
その中でどれほどの事件がユダヤ教の暦と連動しているのだろうか?

何でもいいからとにかく今回の地震とユダヤ人と関係づけたいという根性が見え見えである。

中・ロの救助隊を追い返したのに、ユダヤ人は受け入れているという説(113~114ページ,348~350ページ)
中国とロシアの救助隊が追い返されたのに、イスラエルの医師団や仏大統領サルコジ氏が日本に受け入れられたのは陰謀だ、という説。

引用記事を見る限り、中国とロシアの救助隊が追い返されたとは言えず、救助の任務を終えて帰国しただけにしか見えない。[10][11]
中国の救援隊は13日、ロシアの救助隊は15日から日本に入っており、どちらの帰国も日本での任務開始から1週間経過してからの任務終了である。[12][13]
救助活動は災害発生から短い時間が勝負なので、救助隊としての仕事は終わったと判断したための帰国だろう。

イスラエルの医師団やサルコジ氏は救助隊とはやることが別なのだから、時間的に日本入りがそれより後になっても不思議はない。

医師団は救助活動目的ではなく、避難所に人たちの健康管理に携わるために来たのだろうし、サルコジ氏はあくまで外交政策の一環だろう。

それぞれ役目が違うものを並べて比べてみており、まったく無意味な行為である。

人工噴火陰謀説(101~102ページ、286~306ページ)

地震だけでなく火山の活動もユダヤの陰謀という話。
本書からは外れるが、最近では台風もその仲間入りを果たしそうな勢いで、天変地異何でもござれのユダヤ陰謀論の気配。

とりあえず本書では、人工地震のほかに人工噴火も主張していて、核爆弾で地震波だけでなく噴火も起こせるのだという。

証拠として挙げられているのが鹿児島のソラマメから放射性物質がついていたという話[14]と、富士山の周囲の地震である。

鹿児島から放射性物質がついていたから、新燃岳で核兵器による人工噴火が行われていたという。

しかし鹿児島で核兵器が使われていたら、ソラマメだけではなく鹿児島のもっと多くのものから放射性物質が検出されていておかしくないはずだが、そういう報告が一切ないことと、ソラマメに付着していたセシウムとヨウ素はそれぞれ非常に微量で、核兵器を使用した結果の付着ならばもっと多量についててよさそうなものだという点がこの主張の弱いところである。

富士山については富士山を囲む形で地震が起きたことや「定点反復人工地震」が根拠とされている。
定点反復地震については「精度の高いデータで見てみる「定点反復人工地震」」で検証したとおり、速報段階の精度の低いデータを羅列しているから同緯度・同経度になっているだけで、実際にはそんなことはない、ということ。

富士山を囲む地震については、ブログ上で「正方形になっているのが人工地震の明確な証拠」[15]としていたが、本書ではこれについてはトーンダウンしている。

勿論、地震計の配置が正方形になっているから、震源の正方形が富士山を囲んでいるように見えるだけのことだ。だが、富士山が四方から攻撃されているのは間違いないのだ。
(291ページ)

過去の当ブログの記事「素人として、またいくらか書く気になったので」において「四角形になるのは当たり前」とは書いたが、それは「地震計の配置が正方形になっているから」ではない(地震計の配置なんて知らない)。
北緯35.3度、東経138.7度を基準に、緯度が0.1度高い座標と、経度が0.1度高い座標、緯度と経度が0.1度ずつ高い座標の4つ点があればそれが四角く見えるのは当然と書いたのだ。

ここの記事を読んだのか、他の誰かから言われたのか知らないが、軌道修正したもの、ズレていることには変わりがない。

放射性物質パニック扇動説(49~58ページ,108~112ページ,163~171ページ、245~246ページ、266ページ)
放射性物質が原発から漏出しているという報道は、国民の不安を煽り、パニックを引き起こし、日本に強権政府を樹立させるための陰謀である、という説である。

「震災後のパニックを拡大して暴徒化させ→混乱に乗じて311テロリスト・CIAにとっての邪魔者の抹殺→暴動鎮圧名目の統制国家化→中国との対立→極東戦争」(50ページ)というのがその企みらしいのだが、何とも飛躍が派手で、「いけない!ルナ先生」のようだ。

当然ながら「震災後のパニックを拡大して暴徒化」の状態にすらならなかった。

「反原発デモを暴徒化」というパターンもあるらしいが、頭の部分が違うだけで後はほとんど同じというワンパターンな代物。

確かに今回の地震後まもなくの報道では、国の安全基準を周知させないまま「自然の〇倍」といった表現を使ったことや、シーベルトの単位を揃えずに発表し、放射能への不安を煽ってしまっていた側面があったと思う。
また福島から来た人を泊めようとしなかった宿泊施設や、スクリーニング検査を受けるよう強要してしまった自治体(のちに撤回)など、誤った態度を取ってしまった人たちもいた。[16][17]

しかし、そういう報道や人々を煽っている/煽られていると言っている独立党はといえば、「人工地震だ」「核兵器だ」「体内被曝だ」と騒いでいるんだからより始末が悪い。

放射能パニックの陰謀は存在したかどうかは検証不可能な結果に終わったが、リチャードコシミズ氏と独立党が核兵器だ金融ユダヤ人の陰謀だと世間を煽ろうと試みていたのは間違いない事実である。

以上、とりあえず本書の気づいた点について書いてみた。

前回の分と今回の分、合わせてみた感じたところは「トンデモ本というよりは単に誤りの多い本」という感じで面白味は少なかった。
ところどころで楽しませてくれる珍フレーズはあったものの、その量は多いとは言えない。

また、似たような内容のエピソードが本書の幾つもの箇所で分散して書かれており、まとまりが悪く、内容を見直す作業は相当に骨の折れる仕事だった。

作数を重ねるたびに、リチャード氏のオリジナルな主張の割合は増えてゆき、その分詰めが甘く、できのいい話は目に見えて減っている。特に気象庁発表に関する勘違いはひどかった……。

今回の当方のこの仕事を「アラ探し」と言われることがあってもそれは仕方ないが、重箱の隅をつつくような真似をした覚えはない。なにしろほとんどデタラメなのだから。

アマゾンで高評価を下している人物は大分多いようだが(批判の数もそれなりにあることから、過去作に比べて売れていることがよくわかる)、ちゃんと読んだのだろうか?

まっとうな本としての評価は5段階評価で最低★1つ、トンデモ本としての評価もあまりさえないので★2つといったところか。

事実や真実が書かれている本を期待する人にはお勧めできたものではないし、トンデモ本的な面白さを期待している人にもあまりお勧めできない。


《参考文献》

《参考記事》
1. 気象庁 報道発表資料ページ (気象庁ホームページ)
2. 断層破壊「深部→浅い場所→また深部」 東大チーム解析 (5月20日 asahi.com 記事)

3. GEQ(小説) (Wikipedia)
4. 二酸化炭素貯留実験に関する質問主意書 (参議院ホームページ)
5. 第168回国会 災害対策特別委員会 第3号 (参議院会議録情報)

6. 宮城県地震における当社設備への影響について (東京電力ホームページ プレスリリース)

7. Fukushima I Nuclear Power Plant Reactor 3 explosion on March 14, 2011 (YouTube)
8. Japan Timeline: How The Disaster Unfolded (3月15日 Sky NEWS 記事)

9. 緊急地震速報について (気象庁ホームページ)

10. 中国救援隊が帰国 (3月20日 産経ニュース 記事)
11. ロシア救助隊 日本での被災者救援作業を完了 (3月22日 The Voice of Russia 記事)
12. 中国救助隊が被災地到着 (3月14日 産経ニュース 記事)
13. ロシア救助隊 日本の災害現場で作業開始 (3月15日 The Voice of Russia 記事)

14. 日本からのソラマメに放射性物質 台湾当局発表 (3月20日 47NEWS 記事)
15. 富士山を囲む正方形の「震源」。人工地震の明確な証拠です。 (3月18日 richardkoshimizu’s blog 記事)

16. 宿泊施設 「除染していない」と福島からの宿泊客を拒否する (4月6日 NEWSポストセブン 記事)
17. つくば市の放射能スクリーニング検査「転入者の不安和らげるため」 (4月23日 レスポンス 記事)

素人として、またいくらか書く気になったので

この記事では専門的な知識を抜きに、常識的な知識(+インターネット検索で調べられて、理解できたこと)の範囲でリチャード氏のツッコミどころにツッコんでおくものである。なぜなら専門知識は持っていないから。

◆四角が人工地震の証?

リチャード氏は『富士山を囲む正方形の「震源」。人工地震の明確な証拠です。』において、ブログによせられたコメントより、4つの地震の震源の座標を合わせると富士山を囲んだ正方形になると書いている。

書かれた座標は以下の4つ

静岡東部
35.3 138.7
35.3 138.8
山梨南部
35.4 138.7
35.4 138.8

これはもう「四角くなって当たり前だ」としか言いようがない。
緯度と経度がきっかり±0.1度ずつズレた4つの点があれば、それは四角形になって当たり前である。
メルカトル図法の世界地図では20度くらいの間隔で緯線と経線が格子状に引かれているが、それを0.1度間隔のサイズまで小さくしただけと考えればいいことだ。

では、この緯度と経度を基にした座標はどのくらいの誤差が含まれているか、ここに注目してみる。

件の記事に書かれた震源の座標は見ての通り緯度と経度を小数点以下1桁までの値。
つまり、小数点以下2桁以降の数値は切り捨てるか四捨五入しているということになる。
これは相当にアバウトな数値である。

たとえば小数点以下2桁目で四捨五入しているとする。
すると震源の座標が「35.3 138.7」ならば、「北緯35.2500000000000~35.3499999999999 東経138.6500000000000~138.7499999999999の範囲内のどこか」で地震が起きたということになる(『地球探検の旅』を利用すると、GoogleMapsでは緯度・経度が小数点以下13桁くらいまで出てくる)。
この誤差の範囲はどのくらいの広さかというと、「東西約9㎞×南北約11㎞」(日本のあたりだと経度は0.1度につき約9㎞、緯度は世界中どこでも0.1度につき約11㎞の間隔がある)。
面積にして約99平方㎞という相当広い範囲だ。
すなわち「35.3 138.7」を中心とした約99平方㎞の四角形の範囲内のどこで地震が起きても、データ上は「35.3 138.7」で発生したことになると考えるべきだ。

視覚で理解したければ、リチャード氏が提示した4つの震源の地図を見ればいい。
あの4つの震源を結んでできる四角形(正方形ではない)の広さが、それぞれの震源の持つ誤差の範囲なのである。

残りの3つの震源も同様に実際の震源とデータ上の震源にはかなりの差があると考えられる。
実際の震源4つの位置を調べて結んでみても、直角のみで構成された「人為的に見える」正方形や長方形にならない可能性が非常に高いだろう。

かなり大雑把に処理されたデータ上の値を4つ拾ってきて「これは絶対に自然の地震ではありません」だの「悪魔の正体見えたりぃ!」だの高らかに叫んでも恥ずかしいだけである。

 

◆過去の計画

リチャード氏は過去にあった二つの計画を持ち出してきて、今回の地震が人工地震であると主張している。

一つは1957年に核兵器による人工地震を使って地球内部について探ろうとした計画の話。
もう一つは「プロジェクト・シール」と呼ばれた爆発物によって津波を引き起こそうという実験。

1957年の人工地震は、地震そのものを兵器として使うようなものではない。
リチャード氏自身が引用してきた新聞記事にも学術的なものと書かれている。
調べてみると1957年にはネバダだけで29回にものぼる核実験が行われており、そういった核実験で発生する震動(つまり人工地震)を利用して地球の内部を探ろうというものではないのだろうか。
この「核兵器による人工地震」は攻撃目的ではないのは明らかだ(ただしその核実験は、核爆弾を運用するための貴重な知見をもたらしただろう。「地球の内部を探る」がオマケにすぎない可能性はある)。

プロジェクト・シールはニュージーランド、ファンガパラオア(Whangaparaoa)沖で行われた実験で、爆発物を使って津波を起こそうというもの。
多くの日本語のサイトで引用されている新潮45の記事では「30mの津波の発生に成功した」と語られているらしいのだが、Wikipedia英語版の記事やそこからリンクされている記事などを読むとそこまで目覚ましい成果を上げたような記述は見られない。新潮45の記事は大げさに書かれている可能性がある。

リチャード氏や他の人工地震説支持者はこれらのエピソードを「東北関東大震災が人工地震であった」という主張の補強材料として挙げているつもりのようだが、残念ながらそうはならない。

「東北関東大震災が人工的に引き起こされた地震である」ということを証明するよう求められているのであって、「この世に人工地震と呼ばれるものが存在する」ことを証明しろなどとは求められていないのだ。

過去の地震攻撃計画書や津波爆弾実験、人工地震の話をいくら持ち出してきても、東北関東大震災そのものが人工的に引き起こされたものであるということを少しも証明できないのである。

 

◆気象庁まで陰謀に

もともと、「金融ユダヤ人のしわざ」で始まった陰謀論も、今や東京電力と気象庁のふたつの組織も加えられることとなった。

東京電力が加えられた理由は、計画停電が純粋水爆の起爆に利用されているという、これまでの純粋水爆の設定を覆す陰謀論が出たためである。
純粋水爆の起爆が常温核融合からレーザー起爆式に変更された説明は特になく、リチャード氏に「計画停電になんて面倒だ、もっと好きに電気を使わせろ、そうだ!陰謀ってことにして反対しよう!」という思いつきがあったんじゃないのかと邪推したくなる。
計画停電が4・5月には実施されない情報を受け、「311地震テロ:東電、計画停電がネタばれしたので、原則廃止。」などと言っているが、4月に入っても大きい余震は既に起きているし、これからも頻発するだろう。
それらについてはあくまで「自然由来」としてシラを切るつもりなのだろうか。

そして最近では気象庁も陰謀組織に加担していることになってしまった。
理由はリチャード氏の自説を否定するデータを提示しているからである。

3月11日14時46分の大地震は最初の発表の段階ではマグニチュード7.9、震源の深さ10㎞であった。
この深さ10㎞に注目したリチャード氏は地球深部探査船「ちきゅう」が掘ったと主張していたが、現在では震源の深さは24㎞であったと判明している(マグニチュードは9.0に修正)。

これによってリチャード氏の「311人工地震説」は成立しなくなってしまった。
3月11日の地震以後の余震について唱えられていた「定点反復人工地震説」も精度の高いデータに更新された結果、同じ場所で繰り返し地震が起きたとは到底言えなくなってしまったことは、前回の記事で紹介したとおりである。

精度の低い段階のデータに飛びついて、常識と大きくかけ離れたセンセーショナルな説をぶち上げたものの、最新データの公開によって自説が維持できなくなくなってしまったため、陰謀認定しているに過ぎない。
地震が発生した直後には正直なデータを申告していたのに、あとになってあからさまなウソのデータを出すなんてあるだろうか?
ウソをつくつもりなら最初から震源の深さも震源の位置もデタラメな値を出してそのままにしておけばいいだけの話ではないか。
自分が誤っていたことを認められず、都合が悪い話を全部陰謀のせいにしてしまっている。
陰謀論者の悪癖ここに極まれりである。

自分の説を否定するデータ修正を行った気象庁をどうにか見下してやりたい気持ちで前後不覚になったのだろうか、4月13日付のリチャード氏のブログ記事『大キショーチョー:『自然地震M8なら100KM深度。311地震は人工ゆえ24KM(実は10KM?)』』では、「M8の地震では岩盤のずれが100㎞の範囲に及ぶ」という気象庁の説明を「M8の地震は震源の深さ100㎞でおきる」と豪快に誤読し、「M9.0で深さ24キロ(後で訂正された数字)っていうのは?はい、人工地震だからです。」などと上から目線で大ボケをかましている。
恥の上塗りもいいところである。

 

◆最後に、危険な遊びに警告を

天災というものは至極理不尽な偶然である。

もちろん地震と津波の発生にはメカニズムが存在して、天災が起こったのは必然であったことがのちの研究で明らかにされるのだとはおもう。

しかし、人の生死には偶然があったのだと思う。

地震が起きた時、津波が押し寄せた時にその人がどこにいたかという偶然で明暗が分けられた。

この理不尽な偶然によって多くの人間が命を落としたし、生きながらえたとしても仕事や財産や住む場所、大切な人間をなくした人間の数はその何十倍もいるだろう。

2011年3月11日14時46分。
この時間を境に多くの人間が具体的で強い悲しみ・絶望・喪失感・不安・怒りを抱くことになってしまった。
これらはいずれもやり場のない感情だ。

しかし、リチャード氏やほかの陰謀論者たち主張は、これらやり場のない感情をやり場のある感情へと矯正しようとするものである。

とても危険な行為だ。

ありもしない罪状で他者をやり場のない感情のはけ口にしようと誘っているのだから。

もうすでに陰謀論の世界に肩までに浸かってしまっている人間より、今回の震災を機に陰謀論者の言うような「世界の真の姿」があるのかもしれない、と思いはじめている人に警告しておきたい。

陰謀史観とも呼ばれるその「世界の真の姿」を事実として受け入れるということは、陰謀を企んだとされる人間を罪人とみなして憎悪の対象にすることでもある。

「世界の真の姿」が的外れなものであった時、あなたは愚かな人と周りに嗤われるだけでなく、陰謀論者の共犯という加害者であったということにもなるのだ。


《参考記事》
富士山を囲む正方形の「震源」。人工地震の明確な証拠です。
人工地震情報、ありがとうございます。
311地震テロ初心者の方へ
新刊序文より:人工地震兵器は陳腐で旧式の大量破壊兵器
あなたの頭の方が心配ですよ。現実を見てください。
311地震テロ:東電、計画停電がネタばれしたので、原則廃止。
大キショーチョー:『自然地震M8なら100KM深度。311地震は人工ゆえ24KM(実は10KM?)』
richardkoshimizu’s blogより)

経度・緯度の指定によるGoogle Earth/Google Maps/地図の起動』(「地球探検の旅」HPより)

核実験の一覧
プラムボブ作戦
Project Sael
(Wikipediaより 『Project Seal』は英語版ページ)

"Tsunami bomb NZ’s devastating war secret"
"Devastating tsunami bomb viable, say experts"
(New Zealand Herald, Eugene Bingham氏の記事より)

地震について』(気象庁HPより)

精度の高いデータで見てみる「定点反復人工地震」

今回の記事は前回の記事『「たくさんあるであろう陰謀の証拠」もとりあえず放置で』の一部の内容をより詳細にしたものです。

リチャード氏が『311CFRテロ:定点・(同緯度・同経度)反復人工地震データ』として掲載していた地震のデータを(こっちで勝手に)気象庁の出した最新のデータに更新してみました。

リチャード氏の出していたデータは出典が明らかでないうえに、多くの項目において精度を欠いています。
3月11日14:46発生の地震のマグニチュードが7.9(実際にはご存知の通り9.0)となっている点からも正確さに欠けていることがわかります(また、最新のデータでは震源は24㎞となっており、「ちきゅう」では届きません)。

今回利用したのは気象庁「ホーム > 気象統計情報 > 地震・津波 > 毎日の地震活動 > 東北地方の毎日の地震活動 」より取得した3月11日から3月16日までのデータ。
リチャード氏の示したデータの日付と時間を基に、同一の地震を扱ったものと思われる(精度が高まったため、時間や位置、マグニチュードや震源の深さなどに違いが出ています)データを並べてみました。
※ただしわずかながらも、データが正確に対応しているか確信がもてない個所もあります。
データの並び順は『311CFRテロ:定点・(同緯度・同経度)反復人工地震データ』と同一です。

果たしてこれで「定点反復人工地震」といえるのか、ご自身の目で検証してみてください。

精度の高いデータで見てみる「定点反復人工地震」 の続きを読む

「たくさんあるであろう陰謀の証拠」もとりあえず放置で

東北関東大震災。

被災者の皆さんにお見舞い申し上げます。

無事で、ほぼこれまで通りに生活できる身としては、パニクって買いだめに走ったり、いい加減な情報に踊らされることなく日常を維持し、国の経済状態も含めた復興が一日も早くなされることを祈るばかりである。

この大震災をおおむねの人間の予想を裏切ることなく陰謀と認定したネットジャーナリスト リチャード・コシミズ。
非常識極まりないデマツイートが流されるきっかけとなったことは前回の記事で書いたとおりである。

リチャード氏はその後、3月16日からは過去に類を見ない超ハイペースで記事を更新。

今回の地震は金融ユダヤ人による人工地震テロで、その地震は純粋水爆によって引き起こされた。また純粋水爆の起爆には多量の電力が利用され、計画停電はそのためのもの。つまり東京電力も陰謀に加担しているのだと主張している。

3月10日の記事では「体調を崩し一週間から10日くらい入院し休養をとることとなりました。」となっており、現在どこでこれらの記事を書いているのか不明だが、16日から異常なペースで記事を書きだしたことを考えると、16日か15日には(自主的にかもしれないが)退院した可能性は高い。
3月16日に11の記事、17日に18、18日に16、19日に22、20日に10の記事を公開している(21日は午後0時現在で16) 。
と、いってもそれほど長い文章ではなくて、表だけの記事やコメント欄に寄せられたものを転載しただけの記事にタイトルをつけただけのものも少なくないので、それほどの情報量ではない。

記事の更新ペースが速く数も多いが、先に述べたように記事数の多さに反比例して中身は薄まっている(と思う)ので、まとめてみたいと思う。

 

◆ユダヤ人を監視せよ-奔走する信者

3月14日の記事『首都圏在住の欧米人のかた、知り合いのユダヤ人の方の動向を監視してください』にてユダヤ人が人工地震をおこすと発言、「ネットで大騒ぎしてください」と独立党員たちに呼びかけている。
また、海外向けに英語版も熱心に(?)書き、世界に向けて恥をさらすための努力も怠っていない。

これらの努力の結果、前回の記事に挙げたツイートの日本語版・英語版の発信、在日外国人向け生活情報サイトへ書き込みYouTubeに動画を投稿Yahoo!知恵袋にリチャード氏の記事の転載と、独立党員のなりふり構わない姿がさまざまな箇所で散見された。探せばもっとあるのだろう。

また、人工地震テロはユダヤ暦と連関しているとも主張。
今年は3月20日がユダヤ教のピュリム祭(purimと表記。プーリーム、プーリムとも読む)にあたるため、20日に計画があるようなことをほのめかしている。
こういうものの考え方や「知り合いのユダヤ人に異変はありませんか?」といった書き方をしておきながら、反ユダヤ主義ではないだの、敵はあくまで金融ユダヤ人だなどといっても説得力はない。

 

◆人工地震-雲を見ればわかる

今回の大震災が「何かおかしい」とリチャード氏は震災の翌日、3月12日の時点から言っていた。

この記事が書かれた時点では発表がなかったわけだが、今回の震災は阪神・淡路大震災を超える戦後最大の死者数を出し、日本観測史上最大となるマグニチュード9を示した文字通り「未曾有の」大震災だったのである。

よって、過去に例を見なかったこの震災が「我々の知っている地震とは違うような。」という感想を抱かせてもそれ自体は少しもおかしくなかったわけである。

ただその感想が「自然災害ではない」という考えに陥ってしまうあたりがさすが(というかやっぱりというべきか)リチャード・コシミズである。

このあと「東京で人工の大地震がある」「静岡の地震は人工のものだ」などと言い出し、結局震度3,4クラスの余震でさえ人工地震であると言い出すようになってしまう。

リチャード氏の主張によると人工地震は以下のような手順によって行われたものであるらしい。

  1. 地面に10㎞程度穴を掘る。この作業は海底であっても深海掘削船を使用すれば可能な深さである。
  2. そこに核兵器をいれる。潜水艦から核弾頭をつけたバンカーバスターを打ち込む。
  3. 地下で核弾頭が爆発する。
  4. 地震が起きる。

そしてこの人工地震に使われた核爆弾は、「純粋水爆」であるという。

純粋水爆云々については次章に回すとして、この人工地震計画についてツッコめるところにツッコんでおこう。

深海掘削船について
リチャード氏の記事によれば、この時利用された深海掘削船は地球深部探査船「ちきゅう」であるという(『10キロの深さをボーリングできる日本の船。その穴に何を投下するんですか?』)。

だがこの「ちきゅう」、ばっちり被災しているのである。それも子供連れで。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110312-OYT1T00581.htm

探査船見学の児童48人、海自ヘリで無事救助

下北半島沖の掘削調査のため青森県・八戸港に停泊していた地球深部探査船「ちきゅう」の船内見学中、津波を避け、沖合に避難し、自力航行できなくなっていた同船の同県八戸市立中居林小の児童48人は12日午後1時半過ぎ、海上自衛隊のヘリで約24時間ぶりに救助された。

男子児童(11)は「船にいたら本当に大丈夫なのか心配で怖かった。無事に帰ることができ、うれしい」と安堵の表情だった。

(2011年3月12日18時37分  読売新聞)

目撃者ともなりかねない子供たちを48人(+引率する大人)も載せたまま謀略活動に精を出していたとでもいうのだろうか(それとも子供たちも陰謀側?)。

また、「ちきゅう」が海ほたるあたりに停泊しているともリチャード氏は書いているが、実際には被災後八戸港に停泊し、18日から室蘭へ向けて出港した模様である。

バンカーバスターについて
核弾頭をつけたバンカーバスターを打ち込むという方法。
「核弾頭搭載のバンカーバスター」がまだ開発計画の段階であることに目をつぶったとしても厳しいように思える。

バンカーバスターは地中貫通爆弾とも呼ばれ、地中にある敵司令部などを攻撃するための爆弾である。
Wikipediaによると、イラク戦争で用いられたバンカーバスターGBU-22の性能は「地表から30m、あるいは鉄筋コンクリートを6m貫通できる」というもの。

海面下10㎞にある岩盤を攻撃するには明らかに役不足である。
忘れてはいけないが、掘削によって10㎞の長さの穴が開いていたとしても、そこはすべて海水(あるいは泥水)で満たされているのである。空間がぽっかりと10㎞分空いているわけではない。

それともこの計画のために10,000mの水をかき分けながら進み、その強力な水圧にも耐えうる丈夫なミサイルを作ったのだろうか?そんなミサイルは多分バンカーバスターとは呼ばれない。

地下の核爆発について
地面の下で核爆発を起こすと地震が起きる。

しかし現在では発生した地震が自然の地震か人工の地震か区別する技術が確立されている。
だからこそ北朝鮮やインド、パキスタンの地下核実験を諸外国が知ることができているのだ。

今回もし地下で核爆発がおこっていたとするなら、それを検知しているはずである。
検知しうる立場にあるのは日本の気象庁のみではないだろう。
ロシアや中国、韓国などが気づくはずである。

 

こういった難のある(軍事や地震に詳しい人などが指摘すればこんなものでは済まないはず)人工地震計画を主張するからには、求められる証拠というものも相当強力なものが必要となってくる。

が、リチャード氏の示した証拠というのはどんなものだったであろうか?

証拠その1:「同緯度・同経度での地震がこんなにある」というデータ
3月19日の記事「311CFRテロ:定点・(同緯度・同経度)反復人工地震データ」「311CFRテロ:続き」では観測データが羅列されている。
一見すると同じ場所で地震が群発しているという印象を受ける。

しかし、このデータは正確さを欠いた不完全なものである。

気象庁のデータなのかと思って気象庁にある「毎日の地震活動」の「震源リスト」と見比べてみるとこれが微妙に違う。
気象庁の出しているデータと比べて、リチャード氏が提示しているデータは位置情報、震度、マグニチュードがもっとざっくりとしたデータなのだ(気象庁のデータであれば緯度・経度が秒単位まで示されている)。
興味がある人は、リチャード氏の提示したデータの日付と時間を基に、気象庁の「毎日の地震活動」の「震源リスト」と比較してみればいいだろう(ただし気象庁のデータは今のところ3月12日までしか出ていない)。

リチャード氏の出してきたデータそのものがウソや捏造だとまでいうつもりはないが、精査前の厳密さ・正確さに欠けた状態のデータを列挙して「科学的解析」などと名乗っても恥ずかしいだけである。
2011/3/29追記精度の高いデータで見てみる「定点反復人工地震」』にて、リチャード氏のデータを気象庁発表のデータと入れ換えた表を掲載しました】

それと数が多すぎる
こんな数の地震のほとんどが人工地震だとしたらあまりに忙し過ぎるだろう。一体核兵器を何発用意しなくてはいけないのだ。
しかもそれで起きる地震は震度4以下が大半。効率が悪すぎる。

内陸部が震源であるデータも提示されているが、国内で陰謀組織がボーリング工事をやっている姿を目撃したという話が聞かれないのも、この説を主張するにおいて足かせとなる点だろう。

証拠その2:「雲の写真」
なんだかよくわからないのだが、海底で核爆発が起きた証拠に空に出た雲の写真を提示している。
涼風真世のブログのマネではないようだ。

これがおそらく海底核爆発で生じた雲です。」とリチャード氏は主張しているが、これってただの飛行機雲じゃないのか。

リチャード氏がケムトレイル信者や地震雲信者に転身してしまったのかと思わせるしょぼさである。
この他にも黒雲の写真などが証拠として示されているのだが、これで納得する方が難しい。

飛行機雲が核爆発の証拠というのは、飛行機雲そのものをさして有害化学物質だと騒いでいるケムトレイル信者より酷いと思うのだが、リチャード氏はどうしてこれを証拠になると思ってしまったのだろうか。謎である。

 

◆純粋水爆-東京電力もグルだった!?

リチャード氏によれば、人工地震を引き起こすために純粋水爆が利用されたという。
「純粋水爆説が読めるのはリチャード・コシミズ先生だけ!」といっても過言ではない状態だ。

この説についてどの段階から書くべきなのかわからないが、根本的なレベルで言えば「純粋水爆という兵器はいまだに確認されていない」ということである。

そんな根本的なレベルの話はおいておくとして(「存在しない証拠を出せ」と反論を考えついた人は、どんなものがあれば純粋水爆がこの世に存在しないと証明できるのか一晩じっくり考えること)、どのようなこと言っているのか見てみることにする。

もちろん普段からHAARPのようなメジャー路線の人工地震兵器説を相手にしていないリチャード氏なので、純粋水爆説を唱えるだろうことは早々に予想がつく。

だが意外だったのは東京電力の計画停電と、原子力発電所での放水作業を純粋水爆説に絡めたことである。

計画停電
リチャード氏によると今回純粋水爆はレーザー起爆型で大量の電力が必要だったとのこと。
そのために計画停電を行い、確保された電力で純粋水爆を起爆させたという。

過去の純粋水爆は外部電源不要な常温核融合を使って起爆させてきたというのに、今回はなぜレーザー型にしたのかがまず謎である。
計画停電で浮いた電力で兵器を動かすというと、「ヤシマ作戦」の小型版というイメージになるのだが、純粋水爆一発あたりどれだけ電力を使っているのだ。

外部電力を起爆装置に供給するというのはそれだけで問題を抱えている。
電線をひかなくてはいけないのではないだろうか。
一発あたりに要求される電力はそれほどでもないが、たくさん数をこなす(余震用)ので電力はたくさん必要だったということはできるかもしれない。
しかし今度は起爆装置まで伸ばす多量の電線が必要になるのだ。
だれかそれらしい電線工事をしている光景を目撃していただろうか?

原発での放水
原子力発電所にある核燃料棒冷却のため、自衛隊のヘリや東京消防庁、警視庁の放水車などによる放水を実施している。

この光景から911同時多発テロ後の消火作業を連想したリチャード氏。
福島原発内で純粋水爆が使われたと主張している。

その目的はというと、一つは原発の建屋を破壊して不安を煽ること、もう一つは純粋水爆から発生する中性子線を子飼いのマスコミに検知させて、MOX燃料漏出のパニックを煽り立てる事であったという。

建屋の破壊を通常の爆弾で、MOX燃料漏出を自作自演でやってしまえばいいだけのような気もするが、そこは「通常爆弾ではなく、「純粋水爆」である必要もあった」とのこと。うーん、理解を越えている。

放水をする真の目的は純粋水爆によって発生したトリチウムを洗い流すことらしい。
放水にあたった自衛隊、東京消防庁もグルということになるのだろうか。

計画停電と原発敷地内での純粋水爆使用。
このふたつうち純粋水爆使用をやり遂げるには、当然東京電力の現場にいる職員の協力が欠かせない。
それも、日本のみんなをちょっと不安がらせるという目的のために純粋水爆の中性子線の影響で寿命が縮まることになっても構わないという文字通りの命知らず(or損得勘定が恐ろしく下手な大馬鹿)な人間でなくてはならない。いるのだろうか?

 

◆そのほかについて

あと、地震発生まもなくに書かれた「疑惑」について書いておきます

空母ロナルド・レーガンが2日で東北沖に来た件について
これはもう、ちょっとニュース記事をあさればわかる話。
ロナルド・レーガンは韓国で行われていた米韓合同演習「フォール・イーグル」に参加していたためすぐに駆けつけられたのである。

小吹伸一氏が地震を予言していた?
3月13日の記事『東北関東大震災の疑問点』において、リチャード氏は小吹伸一氏が東京での大地震を前もって知っており、その情報をツイートで漏らしていた、と主張していた。
小吹氏のツイートは以下の通り

百均で、水のボトルとレトルトとクラッカーを買い揃えておくことにした。東京大地震がきても、現内閣ではぜったい対応不能。自力しかあてにならない。
(小吹氏のツイッターより 2月23日 08:59のツイート)

ツイートした日付に注目していただきたい。小吹氏がこの「予言」をツイートしたのは2月23日。その前日の22日にはニュージーランドで大地震があったのである。
小吹氏のツイートはその地震を受けてのものだろう。未来の地震について書いたのではなく、過去に起きた地震ついて書いていたのだ。

また、3月15日の小吹氏のツイートに「岩手・宮城・福島・茨城・長野ときて静岡? なんで? プレートの落ち込み?」という書かれていたという話については、これはおそらくリチャード氏の早とちりだろう。

発端はコメント欄の書き込みで以下のようなものであった

先生、これと関係ありますか?
私は仕事にゆきます。あす夕方まで戻れません。
2011/03/15(火) 10:45:18 | URL | 小吹 伸一 #- [ 編集 ]
岩手・宮城・福島・茨城・長野ときて静岡?
なんで?
プレートの落ち込み?
(『静岡地震:Twitterで拡散を!』 3/15 23:40 山口乙矢氏のコメント)

みればわかるが、リチャード氏が注目した3行の上の行に小吹氏の名前が入っており、引用された文章はその直上の1行のみなのである。
下の3行はあくまでこれを書き込んだ人物の静岡での地震に対する感想である。

それをリチャード氏が勝手に小吹氏のツイートだと勘違いしたのだ。

小吹氏はこれにたいする抗議と質問をメールにて送っている。
リチャード氏はそれに対して「好きにしろ。犯罪者」と返事をしたようである。

くだらない間違いを起こしていることを今更認められなかったのか、そのことすら気づかなかったのか、いずれにしてもこの態度に呆れた小吹氏は「今後、ペンネームでお呼びすることはやめにします。輿水正、というご本名で呼ばせていただく。」(『返信承りました。』3/17 02:34 小吹伸一氏のコメント)とコメントしている。

 

◆これらが総べて陰謀だったなら-準備と痕跡

とりあえず、現時点で書けることはすべて書いたつもりである。もし取りこぼしがあり、敢えて書く必要があるほどの話なら改めて記事を書こうと思う次第である。

最後に一連の陰謀論に関して共通する欠陥を挙げるとならば、もしもこれらの陰謀がすべて事実だったとするのならば、そこには膨大な時間と資金と人員を使った準備が必要になってしまうということだ。

洋上で掘削船を使って穴を掘るならそのための時間は必要だろうし、その間船の行動を海上保安庁をはじめとする多くの目撃者に見逃してもらう必要があるだろう。

地上でボーリング工事をするなら当然それはみんなの目につく。
穴を掘る人間を大勢雇い、それを今後も口にしないように黙っていてもらう必要がある。
疑わしい言葉を口にしたのはかつての盟友 小吹氏だったが、それも勘違いにすぎないのは前述したとおりである。

東京電力についても同じことである。
命がけになる謀略の手伝いをする特上の愚か者を大量に現場に集めることが要求されてしまうのは明らかだ。

そして純粋水爆。
巨大地震の惹起から原発建屋のちょっとした破壊まで使えるという超便利兵器は一体何発用意されたのだろう。
金がなくなって弱っているはずの「金融悪魔」がこれを大量に用意できたのはなぜか?超兵器なのに通常爆弾並みに安価に生産できるのだろうか。
どこで作ってどこから持ち来んだのだろうか(もしかして国産?)。
日本に持ち込まれ、目的地に運搬されるまで秘密裏に運ぶにはどれだけのきめ細かい隠ぺい工作が必要なのだろうか。

これだけのことをやって、出せる証拠が「因果関係がわからない変な雲の写真」しか出ないなんてあるだろうか?

海ほたるで深海掘削船が純粋水爆を埋める作業をしたというのならその姿を押えればいいのではないか。
「ちきゅう」が工作にかかわっていたのなら、乗り合わせた児童たちや職員らの証言をとれないのか。
福島原発で純粋水爆が使われたというのなら、今後それを独自に現地で調査する気はあるのか。

リチャード氏の語る「真相」は、それが事実なら多くの痕跡・証拠をあつめられるような大プロジェクトである。
安楽椅子探偵のように家に居ながらにして見聞きした情報だけを基に事件の真相を解くのは結構だが、それを大勢の人に納得させるには証拠というものが必要になってくる。
もし証拠が集まらないというときには、その時には自説の見直しと修正が必要になってくる。

それらの努力を一切せずに自分の言うことを信じない人間たちを「筋金入りのB層」などと見下している以上、彼や彼の支持者が「基地害扱い」される事は少しも不当なことではない。

【追記 2011/3/27】 「小吹伸一氏が地震を予言していた?」の項目タイトルの誤字を修正し、記事の不明瞭な箇所について加筆・修正しました。

*参考記事へのリンクは膨大な量になるため、分割してあります。

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twitterの悪質なデマについて

現在twitterにて「首都圏在住の欧米人の方、知り合いのユダヤ人に異変はありませんか?家族揃って首都圏から脱出をはじめていませんか?首都圏を直撃するもうひとつの人工大地震が起こされる恐れがあります。」などといったデマが一部の人間の手によって流布されているようです。

このような、関東大震災時に流行ったといわれる「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」レベルの救いようのないつぶやきを相手にしないでください。

この不快で差別的なつぶやきの情報源は当ブログでウォッチング対象となっているリチャード・コシミズという色々と残念な人物によるもので、根も葉もないものです。

もっともらしく「911の時、WTC勤務のユダヤ人には事前に欠勤を指示する連絡があり、結果数千人いたはずのユダヤ人は全く被害に会いませんでした」などと述べていますが、これは911の際に出回ったデマであり、ユダヤ人と対立関係にあるイスラム原理主義者による政治的な流言です。
このような事実は全く確認されていません。

このような過去の教訓をあきらかに無視した悪質なデマが広まるようなことはないと信じています。
それこそ杞憂に終わるでしょう。

ですが、念のために書いておきます。
こんなデマを相手にしないでください。