今回は動画3本『3.11同時多発テロ』『地震と政治経済』『311テロ:西日本の諸君にも東日本で起こされた卑劣な戦争行為を知ってほしい』(以下では『西日本の~』と略)について。
2本観たあたりでちょっとめげそうにもなったが、3本目はかなりおもしろかったのでまあよしとしよう。
人工地震説各論については『311同時多発人工地震テロ』に沿うものがほとんどなのでおおむね割愛。
講演中に飛び出した珍言・奇言をベースに紹介していこうと思う.。
◆日本語の問題
まずは日本語の問題。
日本人の、それも本を書いて売ってる人間なのに日本語に問題がある。
「『(前略)最初の巨大な破壊の後に、第2第3の巨大な破壊が連続して起こり、特殊な地震波になっていた。こうした複雑な破壊はきわめて稀としている。今回の地震の震源域は長さ500㎞、幅200㎞ときわめて広域、断層の破壊は5分以上続いたという』これ「きわめて稀」というのはどういうことかというと、「自然の地震としてはあり得ない」と言ってるんです、つまり」
(『3.11同時多発テロ』01/10 10:03)
全然「つまり」じゃない。「きわめて稀」(≒0)と「ありえない」(=0)は別だぞ。
「津波だけなんです。今回の地震は津波だけなんです。津波に特化した地震なんです。そんなこと聞いたことありますか?津波しか起きない地震なんてありますか?」
(『西日本の~』01/11 5:04)
言ってる意味がよくわからない。
死者の多くが津波によるものであるということを言いたいらしいが、それにしても「津波しか起きない地震」って。
『3.11同時多発人工地震テロ』で飛び出したRKの珍妙なロジックもそうだったが、強引に納得させようとするがあまりに日本語が残念な感じになってしまっている。
西村修平の日本語には厳しかった割にいい加減なもんである。
◆4足のわらじ
もともと貿易関係の会社経営かつネットジャーナリストの2足のわらじ(?)だったが、「小説・魔界」をきっかけに小説を書き始め、『小説911』以降は妄想小説をブログで発表したりして作家(気取り)にもなっていた。
とはいえ前作、前々作とさっぱり売れている様子がなく、プロの作家を名乗るにはかなり厳しい状態であったが、今作はバカ売れし、書店の偉い人の腰が低くなったばっかりにリチャード氏の調子もうなぎのぼりである。
「大体がさ、自費出版でさちゃんとお金が儲かって、生きてける?
で、次の本も出せる?
そんなことやってんのリチャード・コシミズしかいないんだから。
他の人たちはみんな出版社にお願いして出してもらって、で印税もらって生きているんだから。
ま、印税だけでは食えないから、統一教会からもらう人もいっぱいいるらしいけども。
私の場合は統一教会からもらわない。
ま、ほかの自分の仕事もあるもんで。
苦しくなると時々神様が助けてくれて、ちょっと大きなプラスチック関係のビジネスをくれる」
(『3.11同時多発テロ』06/10 3:30)
話の始まりと締めで内容が矛盾してるように思えるのは私だけだろうか?
天の助けによって本業が潤い、そのおかげで食っていけてるというのなら、物書きで「お金が儲かって生きてける」とはとても言えないだろう。
前作まで鳴かず飛ばずで、今作でも出版にあたって代金前払いや寄付を募っていたくせにずいぶんと偉くなったもんである。
そんな調子こいたリチャード氏であるが、ここにきて新たなる肩書きを追加するつもりらしい。
「地震の専門家が出てきて『この地震の原理はこういうことです』と『どのプレートが動いて云々』という話が一切出てこない。
出てくるわけないんですよこれ!自然地震じゃないんだから!
人工地震の専門家の先生でも呼んでこなかったら誰も解説できないよ。そんなのどこにいる!?
ここにいるよ、ここに!(自分を指さす)
でもここにいるこいつを呼んじゃったらおしまいでしょ、テレビ局」
(『西日本の~』03/11 2:43)
いきなり人工地震の専門家である。地震学の学士号すら持ってないのに(青山学院大学経済学部卒)。
まあ「美容研究家」とか「占い研究家」とか、「研究家」という肩書ならどんな人間でも名乗ることがOKなので、「人工地震研究家」あたりが妥当だろうか。
◆放射線の話
正直放射線についてリチャード氏の言うこと全てが出鱈目だとは考えていない。
普段いうことは大体においてむちゃくちゃだが、「低線量被曝に過剰におびえる必要はない」という主張に関しては間違っていないと思う。
ただしそこだけである。
その後に続く「低線量被ばくの危険を煽るのは暴徒化を狙う陰謀」だとか「海で放射能が検出されたのは海底で核が使われた証拠」とか、あっという間にアッチの世界へトリップしてしまう。
特にひどかったのは311の話からちょっと脱線してアポロ月着陸捏造説の話をした時である。
「宇宙の中は宇宙線、X線で満ち満ちているから、そこへ出て行ったらば焼け焦げて死んでしまいますよ」
(『地震と政治経済』 03/08 2:44)
アポロの月着陸についてはいろんな「疑惑」が唱えられており、そのなかに放射線被ばくに関する話は聞いたことがあるが、「宇宙線で人が焼け死ぬ」という珍説は初めて聞いた。
原発からの放射能漏れについてよく調べ、降下物の量の比較など行い、それなりにまっとうな結論を出してるように思えたのに、別の話題に言った途端に放射線に関する知識なぞ次元の狭間に吸い込まれてしまったかのような豹変ぶり。
「一瞬だけまともになる」逆ナベアツ状態だ。
ちなみにアポロ11号の乗組員が月旅行の往復で浴びた放射線量は、海抜0mに住む人が浴びる放射線量の約3年分であったという。
数日間で3年分とは結構な量を受けてそうな印象だが、そもそも1年間にうけるの自然放射線量がいかに少ないかは、今回の原発事故をうけてメディアなどが報じたとおりであり、その3倍の量でも健康に特に影響はないことは明らかである。
◆カンタン核融合
「原子力発電所で事故が起こった」
この話をとりあえず聞いたとき、他の予備知識を与えられていない状態で、あなたはどのような原因を想定するだろうか?
ずさんな管理による人災? 地震や津波などの災害? それとも何者かによる破壊工作?
それに対するリチャード・コシミズ氏の意見は以下のとおりである。
「原発というのは不完全な装置なんです。どう不完全かというと、みなさんよく聞くと思うんですが、「どこかで冷却水の装置が停止した」とか、「破裂した」とか「配管がなんか穴が開いた」だとか、いうニュースをよーく何度も何度も聞くと思いませんか?
東大の工学部出た最高の頭脳の連中が集まって、一生懸命やってるのになんでダメなんですか? 京都大学の一番頭のいい人たちがいってやってるんじゃないの?関西電力で。なんでうまくいかないの?
そこには、まだ解明されない未知の反応が起きてるからなんです。
それは何かというと、核融合が起きちゃってるんですよ! 原発で。
だからこんなぶっとい肉厚の配管がねじ曲がれて穴が開くんです。
核融合の小さな爆発があっちでもこっちでもおきてるから、原発はいつも事故だらけなんです」
(『西日本の~』 05/11 0:11)
この話を聞いた時にはさすがに爆笑した。
まあしょっちゅう笑わせてもらってはいるんだが、これは特級である。
人工地震兵器説のメカニズムの説明で「マントルの熱(最高でも3000度くらい)と水深10㎞の水圧(約1000気圧)によって熱核融合が起きやすくなる」という超いい加減な話を採用したあたりから、核融合に関するハードルがどうにかなってしまったんだろうか?
いや、荒田教授の固体内常温核融合など支持しているし、もともと高くないのかもしれない。
そんなに簡単に核融合が起こせるんなら、とっくに核融合炉が実現できてそうなもんだ。
原発で核融合反応が起きて爆発したというのにそのことに気づかないなら、それこそ無能というやつである。
※原発で核融合が起きているという(突飛な)アイデアだが、どうやらリチャード氏オリジナルではないようである。
今回の人工地震説の元ネタとなった「海底の核融合が地震を起こす」という説を提唱していた山本寛氏の著書『仮説-巨大地震は水素核融合で起きる』をさっとななめ読みしたところ、浜岡原発の配管破断事故について書いた文章に同じような内容の記述があった。
リチャード氏の奇説はこの本に影響を受けたものだろう。
◆信用の問題
最後に紹介するのはこんな発言。
「これはジャーナリストとしてかなり厳しい仕事なんですよ。もし外れたら大変です。もし外れたら、私が今まで十何年間やってきたジャーナリストとしての信用は失墜するわけです。それわかったうえで私は断言したんです」
(『西日本の~』 01/11 5:44)
ここでいっている「これ」とはもちろん「311人工地震説」のこと。
動画の序盤だったが、思わず「わかってねーじゃん!」とツッコんでしまった。
大半の人間にとって、リチャード氏にはジャーナリストとしての信用なんてものはもともと無いのだ。
これまでの工作員認定騒動やら阿修羅掲示板や右翼団体とのトラブル、差別的発言などを見てきた自分にとっては、「ネットジャーナリスト リチャード・コシミズ」はおろか「輿水 正」の個人としての信用もとっくにゼロである。
とにかく三本の動画を通してデタラメな話が多すぎる。
過去に当ブログでも指摘した「3連続の地層破壊を報告した気象庁発表がなかったことにされている」(「なかったことにされた」という事実が確認されていない)とか、「中・ロの救助隊がさっさと追い返された」(1週間の救助活動を終了して帰国しただけ)とか、「海外のニュースでは原発建屋の水素爆発に三連発の爆発音が付いていた」(YOUTUBEにアップされたものだけ)とか、いまだに平然としゃべっている。
他にも「海外での地震の余波の話を聞かない」(ハワイに3m超の津波が発生しているし、カリフォルニアやインドネシアでは死亡者も出ている)とか、「神戸の地震の時にも『ちきゅう』がいた」(『ちきゅう』が起工されたのは2001年。阪神大震災の6年後だよ!!)とかなどなど、きちんとした裏付けもせずにただただ自分に都合の悪い事実を無視して好き放題言ってるだけである。
この人を言うことをとりあえず信じるというのは極めて無謀な行為としか言いようがない。
独立党員や心情党員という立場の人間たちが「B層の人たちは自分で考えるということをしない」などというが、ウォッチャーやアンチの立場にいる人間からすれば、彼らこそ考えているとは思えない状態だ。
この互いに相手に対して「ものを考えているとは思えない」と感じている奇妙な光景の原因にはこの「信用」の問題があるのではないかと思う。
お互いに自分で考えているのだが、その材料が違う。
ウォッチャーやアンチにとって、リチャード・コシミズ氏の発信する情報は無知によるウソや恣意的な解釈に汚染された情報として忌避したり、疑ってかからなくてはならない情報である(自分としては毎回まずは疑ってかかる)。
だが、独立党員や心情党員は彼の情報を全面的に信用してしまっている。
彼の情報が正しいという前提で理解し、咀嚼し、それを基に世の中について考えている。
だからリチャード氏の持つ世界観に従った解釈しかできないし、非独立党員(『ゴイム』『B層』と呼びたいなら呼べばいい)と全く違う結論に至るのだ。
リチャードコシミズ氏の出す情報があやまっていないかをチェックしない。
精査せずに丸呑みにして、そこから考え出している。
考えるということを放棄してはいないのかもしれないが、疑ったり調べるということを放棄している。
疑うことを禁止し、とにかく信じる事から始めることを「信仰」という。
こんな状態だから「カルト」だの「教祖」だの言われてしまうのだ。
《参考動画》
『3.11同時多発テロ』
『地震と政治経済』
『311テロ:西日本の諸君にも東日本で起こされた卑劣な戦争行為を知ってほしい』
《参考文献》
アポロ月着陸捏造説(ムーンホークス説)における放射線についての知識はこの本から。
インターネット上では「Skeptic’s Wiki」や「ASIOS」の記事を参照してください。
国会図書館にあったのでささっと流し読みした程度です。
ただこの本で著者が持ち上げてたブラックライトプロセスというのはなんだか胡散臭い。Wikipedia(英語版)によると疑似科学扱いされているようですね。
《参考記事》
『地震の津波、世界中で被害をもたらす』(日テレニュース24より)