リチャード小説を読んで:「3.11同時多発人工地震テロ」(2)

前回は小説としての「3.11同時多発人工地震テロ」の小説としてのツッコミどころを書いたので、今回は陰謀論としてのツッコミどころを書いていく。

◆二重に架空を重ねた上に成り立つ人工地震説

タイトルの通り、人工地震がこの本のメインになるが、説得力は今一つ。

本書の中では人工地震を起こす方法については「推測しています」とか疑問形でRKが語ることが多く、「具体的に3つの地震をどうやって起こしたのかは、まだよくわかっていません」とさえ言っている。

未遂に終わった分を含めると膨大な回数行われたはずの人工地震が起こされた現場を一つとして押えてないのだから、当たり前といえば当たり前ではある。

しかしそんなことを言っててもせんないので、リチャードコシミズ人工地震説をまとめてみる。
75~78ページの記述を中心に、他のページの描写なども参考にして組み立ててみた。

深海掘削船で10㎞海底を掘る 。掘削船のドリルで深さが足りないときは、バンカーバスターを多数打ち込んで掘る

潜水艦で孔の底に核兵器(水爆、都市部に近いところでは純粋水爆)を設置し、爆発させる

爆破の影響でマントル層まで亀裂が走る

亀裂に水がしみていく(10時間とかかかる)

するとマントル層で核融合反応が起きやすくなる(あるいは起きる)

大地震

この仕組みの重大な欠陥は「マントル層での核融合反応が地震となる」という理論(以降、提唱者である故 山本寛氏の名前から山本理論と表記)が科学的に証明されていないことだ。
そもそもリチャード氏自身、山本理論を「まだまだ一般に認められたものではない」(78ページ)と書いている。
「まだまだ」と書いているがおそらく将来的にも認められることはないと思う。

純粋水爆を含めた膨大な数の核兵器運用と山本理論、証明出来ていないものを二重に使うことで人工地震説は成り立っている。

それはつまり、この人工地震説が現実とかけ離れた妄想の領域を出ないということだ。

また、人工地震兵器というものが2011年3月11日より日本で使用されていたと考えると、実用性の面で非常に難があることも、「人工地震説」に説得力がない一因である。

余震の回数を考えると、人工地震というのは恐ろしく成功確率が低い。

本書の中でも人工地震の多くが失敗に終わっているということは書かれている。

こんなものがはたして軍事技術と呼べるのだろうか。
人工地震は1940年代に確立された「陳腐な旧式の大量破壊兵器」らしいが、こんな下手な鉄砲を数撃って当てなきゃならないような戦法を採用するなど非合理の塊だ。

本書では1944年12月の「東南海地震」、1945年1月「三河地震」を人工地震による攻撃であったとのほめかしているが、現在のこの非効率な「人工地震」のありさまから考えると、1944年12月から翌1945年1月までの期間に例年に比べて非常に多く余震があったということだろうか?

そもそも第二次大戦中にアメリカにそんな攻撃ができたとしたら、地震攻撃のことをわざわざ隠す必要はないだろう。
地震兵器を種に日本に降伏を迫ることができただろうし、共産主義圏を牽制することもできただろう(リチャードコシミズ理論によればWWⅡも共産主義もユダヤ人の陰謀らしいのでどうとでもなってしまうのだろうが)。

また本書で書かれている内容が事実なら国内に数百発を超える核兵器があったことになる点や、核爆弾を東北・関東中で埋めて回らなくてはならない準備作業に関して目撃情報等がない点など、人工地震説の問題点はほったらかしである。

◆気象庁がデータを隠したという話

この本に限らず、リチャード氏のブログや講演でもみられるが、気象庁が地震発生について行った記者会見の情報を後に隠ぺいしたと主張をしている。

隠ぺいされたとされるのは3月13日の記者会見で発表された「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」という情報のこと。
これが隠ぺいされ、一つの大きな地震だったということにされてしまっているというのだ。

「…〈前略〉… 気象庁が地震後数日の公式の会見で、ありえない地震だみたいな発言を残したのは、まずかったんでしょうか。人よっては人工地震を想起しますからね。
この記者会見の記事、早々とネット上から消されてしまいまして。裏社会さんには不都合な話だったんでしょうね。まあ、こっちは魚拓でもキャッシュでも対策はあるので構いませんけど。笑」

そして以後、「最初の破壊の後に、第2、第3の巨大な破壊が連続して起こり」といった当初の話は消え去り、ただ一回の普通の地震だったことに書き換えられているのだ。

資料・・地震情報(震源・震度に関する情報)
平成23年3月11日14時53分 気象庁発表
きょう11日14時46分ころ地震がありました。
震源地は、三陸沖(北緯38.0度、東経142.9度、牡鹿半島の東南東130㎞付近)で、震源の深さは約10㎞、地震の規模(マグニチュード)は7.9と推定されます。
〈後略〉
(72~73ページ)

文章からすると、書き換えた後の公式情報というのが「資料」として提示されている情報、ということになるのだろうか。

だとするとこれは相当におかしい。
見ればわかるとおり、引用されている情報は地震発生から7分後の速報段階の情報である。
マグニチュードが7.9で震源の深さは10㎞。
明らかに現時点での東北関東大地震の常識とは食い違っている。
今「テレビや新聞からしか地震の情報を得ていない人」に聞いてもマグニチュードが7.9だという人はおそらく非常に珍しいだろう。勝手に世間の常識を取り違えたか、引用すべき情報を間違えたか、あるいは勘違いをしているとしか言いようがない。

そもそも「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」という気象庁の発表は、隠ぺいも撤回もされていない。

気象庁HPには「報道発表資料」のページがあり、マスコミ向けに発表した情報はここで閲覧することができる。
今回の地震に関する様々な発表は「「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について」というタイトルが付けられ、発表された順に「第○報」と明記されている(5月27日現在で第45報まで発表されている)。[1]

この中で扱われている情報は余震に関するものが多いが、メカニズムついての発表も存在している。
「地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生した」というメカニズムについては第15報(3月13日)と第28報(3月25日)において触れられており、その後の第45報(5月27日)までの間にそれらを撤回するようなメカニズムについての発表など一切存在しない。

最近では東大の井出哲准教授らのチームが断層破壊のメカニズムについて「深部→浅いところ→また深部」という順序で起こったと「3つの破壊」について解析を発表している。[2]

何も隠ぺいなどされていないのだ。

どうしてこの情報が隠ぺいされたなどと思ったのか、理解に苦しむ。

◆頼りない顔ぶれ

本書では説の補強材料として様々なコメントや文書が引用されているわけだが、どうにも独立党ブログのコメントに偏りすぎている。
コメント欄でいくら「人工的な臭いがする」とか「自然現象だと説明するレベルはとうに超えている」とかいった書き込みがあっても、それは結局のところ発表された情報に対する個々人の感想に過ぎず、「あっそう」としか言いようがない。

また、山本理論の主張に当たり、リチャード氏は同様の説を支持しているであろう人物として柴田哲孝氏の名前を挙げ、民主党議員 風間直樹氏の提出した質問主意書を紹介しているが、これもどうにも頼りない。

75ページ、135~136ページの阪神大震災人工地震説で紹介される柴田氏は作家。
下山事件を扱ったノンフィクション作品なども書いているようだが、阪神大震災陰謀論をテーマにした作品「GEQ」はフィクションとノンフィクションの要素が混じった小説である。[3]
135~136ページの文章を読む限り、阪神大震災人工地震説を成立させるために、山本理論を利用しているだけのように思える。
これではリチャード氏と同様、山本理論が事実でないかぎり、人工地震説は成立しないと言ってるようなものだ。

91~92ページにわたって紹介されている参議院質問主意書だが、単に山本理論を事実だと信じ込んでいる国会議員がいる、という話にしかならない。遺憾ながら。

質問主意書では、中越地震の震源地が二酸化炭素貯留地点から20キロという点からだったということで地震と二酸化炭素の封入を関連付けて質問しているが、これに対する福田総理の回答は貯留地点と地震を起こした地層に連続性はないので無関係、というものだった。[4]
風間議員は山本理論に基づいて地震と封入実験を関連付けて質問しているが、福田総理はプレート理論に基づいて回答しており、なんだかむなしいやり取りである。

この質問主意書を書いた風間直樹議員は第168回参議院災害対策特別委員会で、山本理論に言及した際、ホッカイロが温まる原理を核融合で説明するという珍プレイもやらかしている。[5]

◆犯人に関する証拠らしいものは無し

この本を最後まで読んでも、結局人工地震を起こしたのがユダヤ人である、ということは特に証明されていない。

でてくるのはせいぜい、イスラエルの医師団と仏大統領サルコジ氏(母親がギリシア系ユダヤ人。祖父の代にカトリックに改宗)が来日したことと、福島原発のセキュリティシステムにイスラエル系企業のマグナBSP社が関わっていたことくらいで、人工地震が金融ユダヤ人の指示のもと「世界ゴロツキ共同組合」によっておこされたと主張する根拠というものはない。

当然、文中に出てくる米軍や自衛隊に特定の宗教団体の信者によって構成された部隊があるという主張も証明されていないし、東京電力や気象庁、マスコミが陰謀にかかわっているという主張も証明されていない。

204ページから始まる「311テロリストがつくった缶政権」、「金融ユ●ヤの世界支配」(←本書では「ユダヤ人」は徹底して伏せ字で書かれている。18禁?)、「「311」同時多発テロ」、「世界ゴロツキ協同組合日本支部」までの4章の間で書かれている「世界の指導者層にはユダヤ人、隠れユダヤ人とその手先が大勢潜んでいて、過去の不幸な歴史の陰でユダヤ人が暗躍してきたにちがいない」という主張を真に受け、「だから今度の地震もゴルゴムユダヤ人の仕業だな!」とでも考えない限り、この本をいくら読んでもどのような根拠をもって人工地震を起こしたのがユダヤ人だとRKが考えているのかはわからない。

◆そのほかの主張について

計画停電陰謀説 (87~88ページ,149~155ページ)
計画停電は陰謀だという主張。
87,88ページでは、東京電力の原発17基が止まっても停電したことはないのに、今回福島の原発がダメになったから停電する、というのはおかしいという根拠を示している。

電力の供給量が足りなくなったのは、何も止まってしまったのが福島原発だけだからではない。ほかにも火力発電所の発電機が多数停止していたためである。[6]
計画停電が必要な理由に火力発電所がいくつか停止したことが挙げられていることについては、149ページでは触れてる。
しかし、火力発電が止まったことに関して特に反論は書いておらず、東電と政府の発表が唐突におこなわれたとか、テレビで解説がなかったなどと書いている程度である。

計画停電の電力を純粋水爆の起爆に使ったとも書いているが、過去の純粋水爆は常温核融合で起爆装置を動かしたと主張していたのに、今回は一般の電源で起爆していることに関して説明はない。

福島原発の建屋が吹き飛ぶ映像消音陰謀説 (58ページ,108ページ)
福島原発の3号機が水素爆発を起こした際の映像に日本のニュースでは爆発音が入ってなかったのに、YOUTUBEにアップロードされている海外のニュース映像[7]には3つの爆発音がついている、というもの。

同様の動画のコメント欄に反論が書かれているが「20㎞以上離れた位置からの映像なのに時間差がほとんどない」のはあきらかにおかしい。 音速から考えれば1分以上の時間差があるはずだ。
また、20㎞も離れたところまで音が届くほどの爆発なら、3号建屋の破壊だけですまないのではないだろうか。

「音つき」が確認できるのもYOUTUBEにアップされたものだけで、動画の元になったSkyNEWSの記事で確認できる動画には爆発音はついていない。[8]

緊急地震速報が外れるのは人工地震だから説(157~159ページ)
緊急地震速報が外れるのは、核実験(人工地震)はP波が強くS波が弱いため、地震速報システムが強いP波を感知して速報を出しても揺れを感じるような強いS波が来ないためである、という主張。

緊急地震速報が外れることについては、気象庁が見解を発表している。[9]

3月11日に発生した「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」の発生後、同月12日03時59分頃の長野県北部の地震や同月15日22時31分頃の静岡県東部の地震など広域にわたって地震が多発しています。
このため、ほぼ同時に発生した複数の地震からのデータを適切に分離して処理できず、適切に緊急地震速報(予報及び警報)の発表ができない事例が発生しています。
改善方法については検討を進めていますが、直ちに対応することは困難な状況です。
(『緊急地震速報について』気象庁HP)

ほぼ同時に発生した複数の小さい地震の波を一つの大きい地震だとシステムが勘違いしてしまう、ということである。

ただ、この陰謀論についてはいちばん出来が良かったと思う。

怪しい黒い雲(85~86ページ、161~162ページ、184~191ページ、198~203ページ)
東京湾で純粋水爆が使用された際の熱によって海ほたる上空に黒い雲が出た、その後ねっとりとした根着生の灰色の雨が降り、雨にうたれた人間がその後、呼吸器や喉の不調の症状を訴えているという話。

雨に降られた後の咳って、ただの風邪ではないのか。

陰謀はユダヤの暦と一致する説(307~309ページ)
「ユダヤ裏社会は、ユダヤ教の暦や数字のごろ合わせにひどく拘る。」(307ページ)という主張である。

本書では2003年のイラク戦争の前祝いとしてピュリム(purim)の祭礼を行っていたとし、今回の地震もピュリムが最終戦争のタイミングとなりうるのだとか。

今年は3月20日がピュリムなのだそうだが、とくになにもおこっていない。地震そのものは9日も前だ。
イラク戦争にも「前祝い」と書いてあることからわかるとおり、ピュリムの当日に何かが起こったわけではない。

これで「ひどく拘る」と言われても困る。

それではこれまでに行われてきた陰謀の日付にはそういった暦との連動していたのだろうか?

911同時多発テロ、スマトラ沖大地震、バリ島ディスコ爆破事件、連邦ビル爆破事件。
過去にさかのぼれば明治維新や日露戦争、真珠湾攻撃など、リチャード氏がユダヤの陰謀によるものとする事件は山ほどある。
その中でどれほどの事件がユダヤ教の暦と連動しているのだろうか?

何でもいいからとにかく今回の地震とユダヤ人と関係づけたいという根性が見え見えである。

中・ロの救助隊を追い返したのに、ユダヤ人は受け入れているという説(113~114ページ,348~350ページ)
中国とロシアの救助隊が追い返されたのに、イスラエルの医師団や仏大統領サルコジ氏が日本に受け入れられたのは陰謀だ、という説。

引用記事を見る限り、中国とロシアの救助隊が追い返されたとは言えず、救助の任務を終えて帰国しただけにしか見えない。[10][11]
中国の救援隊は13日、ロシアの救助隊は15日から日本に入っており、どちらの帰国も日本での任務開始から1週間経過してからの任務終了である。[12][13]
救助活動は災害発生から短い時間が勝負なので、救助隊としての仕事は終わったと判断したための帰国だろう。

イスラエルの医師団やサルコジ氏は救助隊とはやることが別なのだから、時間的に日本入りがそれより後になっても不思議はない。

医師団は救助活動目的ではなく、避難所に人たちの健康管理に携わるために来たのだろうし、サルコジ氏はあくまで外交政策の一環だろう。

それぞれ役目が違うものを並べて比べてみており、まったく無意味な行為である。

人工噴火陰謀説(101~102ページ、286~306ページ)

地震だけでなく火山の活動もユダヤの陰謀という話。
本書からは外れるが、最近では台風もその仲間入りを果たしそうな勢いで、天変地異何でもござれのユダヤ陰謀論の気配。

とりあえず本書では、人工地震のほかに人工噴火も主張していて、核爆弾で地震波だけでなく噴火も起こせるのだという。

証拠として挙げられているのが鹿児島のソラマメから放射性物質がついていたという話[14]と、富士山の周囲の地震である。

鹿児島から放射性物質がついていたから、新燃岳で核兵器による人工噴火が行われていたという。

しかし鹿児島で核兵器が使われていたら、ソラマメだけではなく鹿児島のもっと多くのものから放射性物質が検出されていておかしくないはずだが、そういう報告が一切ないことと、ソラマメに付着していたセシウムとヨウ素はそれぞれ非常に微量で、核兵器を使用した結果の付着ならばもっと多量についててよさそうなものだという点がこの主張の弱いところである。

富士山については富士山を囲む形で地震が起きたことや「定点反復人工地震」が根拠とされている。
定点反復地震については「精度の高いデータで見てみる「定点反復人工地震」」で検証したとおり、速報段階の精度の低いデータを羅列しているから同緯度・同経度になっているだけで、実際にはそんなことはない、ということ。

富士山を囲む地震については、ブログ上で「正方形になっているのが人工地震の明確な証拠」[15]としていたが、本書ではこれについてはトーンダウンしている。

勿論、地震計の配置が正方形になっているから、震源の正方形が富士山を囲んでいるように見えるだけのことだ。だが、富士山が四方から攻撃されているのは間違いないのだ。
(291ページ)

過去の当ブログの記事「素人として、またいくらか書く気になったので」において「四角形になるのは当たり前」とは書いたが、それは「地震計の配置が正方形になっているから」ではない(地震計の配置なんて知らない)。
北緯35.3度、東経138.7度を基準に、緯度が0.1度高い座標と、経度が0.1度高い座標、緯度と経度が0.1度ずつ高い座標の4つ点があればそれが四角く見えるのは当然と書いたのだ。

ここの記事を読んだのか、他の誰かから言われたのか知らないが、軌道修正したもの、ズレていることには変わりがない。

放射性物質パニック扇動説(49~58ページ,108~112ページ,163~171ページ、245~246ページ、266ページ)
放射性物質が原発から漏出しているという報道は、国民の不安を煽り、パニックを引き起こし、日本に強権政府を樹立させるための陰謀である、という説である。

「震災後のパニックを拡大して暴徒化させ→混乱に乗じて311テロリスト・CIAにとっての邪魔者の抹殺→暴動鎮圧名目の統制国家化→中国との対立→極東戦争」(50ページ)というのがその企みらしいのだが、何とも飛躍が派手で、「いけない!ルナ先生」のようだ。

当然ながら「震災後のパニックを拡大して暴徒化」の状態にすらならなかった。

「反原発デモを暴徒化」というパターンもあるらしいが、頭の部分が違うだけで後はほとんど同じというワンパターンな代物。

確かに今回の地震後まもなくの報道では、国の安全基準を周知させないまま「自然の〇倍」といった表現を使ったことや、シーベルトの単位を揃えずに発表し、放射能への不安を煽ってしまっていた側面があったと思う。
また福島から来た人を泊めようとしなかった宿泊施設や、スクリーニング検査を受けるよう強要してしまった自治体(のちに撤回)など、誤った態度を取ってしまった人たちもいた。[16][17]

しかし、そういう報道や人々を煽っている/煽られていると言っている独立党はといえば、「人工地震だ」「核兵器だ」「体内被曝だ」と騒いでいるんだからより始末が悪い。

放射能パニックの陰謀は存在したかどうかは検証不可能な結果に終わったが、リチャードコシミズ氏と独立党が核兵器だ金融ユダヤ人の陰謀だと世間を煽ろうと試みていたのは間違いない事実である。

以上、とりあえず本書の気づいた点について書いてみた。

前回の分と今回の分、合わせてみた感じたところは「トンデモ本というよりは単に誤りの多い本」という感じで面白味は少なかった。
ところどころで楽しませてくれる珍フレーズはあったものの、その量は多いとは言えない。

また、似たような内容のエピソードが本書の幾つもの箇所で分散して書かれており、まとまりが悪く、内容を見直す作業は相当に骨の折れる仕事だった。

作数を重ねるたびに、リチャード氏のオリジナルな主張の割合は増えてゆき、その分詰めが甘く、できのいい話は目に見えて減っている。特に気象庁発表に関する勘違いはひどかった……。

今回の当方のこの仕事を「アラ探し」と言われることがあってもそれは仕方ないが、重箱の隅をつつくような真似をした覚えはない。なにしろほとんどデタラメなのだから。

アマゾンで高評価を下している人物は大分多いようだが(批判の数もそれなりにあることから、過去作に比べて売れていることがよくわかる)、ちゃんと読んだのだろうか?

まっとうな本としての評価は5段階評価で最低★1つ、トンデモ本としての評価もあまりさえないので★2つといったところか。

事実や真実が書かれている本を期待する人にはお勧めできたものではないし、トンデモ本的な面白さを期待している人にもあまりお勧めできない。


《参考文献》

《参考記事》
1. 気象庁 報道発表資料ページ (気象庁ホームページ)
2. 断層破壊「深部→浅い場所→また深部」 東大チーム解析 (5月20日 asahi.com 記事)

3. GEQ(小説) (Wikipedia)
4. 二酸化炭素貯留実験に関する質問主意書 (参議院ホームページ)
5. 第168回国会 災害対策特別委員会 第3号 (参議院会議録情報)

6. 宮城県地震における当社設備への影響について (東京電力ホームページ プレスリリース)

7. Fukushima I Nuclear Power Plant Reactor 3 explosion on March 14, 2011 (YouTube)
8. Japan Timeline: How The Disaster Unfolded (3月15日 Sky NEWS 記事)

9. 緊急地震速報について (気象庁ホームページ)

10. 中国救援隊が帰国 (3月20日 産経ニュース 記事)
11. ロシア救助隊 日本での被災者救援作業を完了 (3月22日 The Voice of Russia 記事)
12. 中国救助隊が被災地到着 (3月14日 産経ニュース 記事)
13. ロシア救助隊 日本の災害現場で作業開始 (3月15日 The Voice of Russia 記事)

14. 日本からのソラマメに放射性物質 台湾当局発表 (3月20日 47NEWS 記事)
15. 富士山を囲む正方形の「震源」。人工地震の明確な証拠です。 (3月18日 richardkoshimizu’s blog 記事)

16. 宿泊施設 「除染していない」と福島からの宿泊客を拒否する (4月6日 NEWSポストセブン 記事)
17. つくば市の放射能スクリーニング検査「転入者の不安和らげるため」 (4月23日 レスポンス 記事)

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