金か誇りか

ウクライナ情勢だなんだと、選挙後も意外に話題のタネに困っていない独立党。
今回はその中でも独立党の台所事情に触れた話を紹介。

 

◆党員諸君にお願いです

昨年、2013年末に当ブログで公開した記事『2013年の独立党』では、長らく独立党HPの管理人を務めていたベテラン党員が独立党を離れていた点を指摘し、「もし、HPを更新せずに放置したり閉鎖すれば、独立党の衰退を示す象徴的な出来事としてとらえられる」と書いた。

この状況を打破すべく、リチャード氏が『党員諸君にお願いです。』の記事でサイト維持のため党員に呼びかけている。
ネットでの活動が中心の独立党が、そのHPを朽ちさせているのはいかにも体裁が悪いので、新たな管理人を募るのは悪くない判断である。
「ITスペシャリスト集団を標榜してるわりにホームページの維持管理ができないって何の冗談だ」というツッコミは免れないが、今の状態が続くよりはましだろう。

しかし、同記事内のほかの文章から伝わってくる独立党の窮状は、HPの維持管理にとどまらず、より深刻であった。

1.ジャーナリスト活動の費用を賄うため、アフィリエイト広告収入とやらを考えざるを得なくなっています。講演動画冒頭やブログ記事に「広告」を導入することで、どれだけ安定的収入を期待できるのか?詳しい方の意見が聞きたい。

2.IT関係(サイト維持)の助力を必要としています。ご支援いただける「党員」の方、申し出てください。

本業の環境変化に伴い、本業収入でジャーナリスト活動をサポートする体制は10数年で終焉した模様です。(それでもよく今までやってこれたとは思います。)新たな体制を構築する必要があります。

「ジャーナリスト活動」というのがどの行動のことを指しているのかはさっぱりだが、慢性的な金欠状態に陥っているらしい。
これまでも出版費用の寄付などを募っていたが、アフィリエイトの広告収入を検討する、本業収入から活動をサポートできないとなると、一時的にお金が必要という状況ではないのだろう。

本業が減収したか、活動でお金を使うことに家族が強く反対したのかはわからないが、ともかく経済的な危機である。

かつて「3.11同時多発人工地震テロ」が売れまくった時には、随分と天狗な発言を聞かせてもらったものだが、あれから3年。
天狗の鼻はバッキリと折れていたようである。

リチャード氏はネット空間でこそ名前を知られてきているが、それでもベンジャミン・フルフォードや飛鳥昭雄のような「プロ」としてやって来れている人たちとは違う。
両氏は何年にもわたり(飛鳥氏に至っては何十年か?)商業誌や商業出版から収入を得ているが、リチャード氏が商業出版を出したのは昨年末に出した「未来の歴史教科書」がはじめてである。

自説に圧倒的な自信を持つリチャード氏のユダヤ陰謀論は、フリーメーソン陰謀論やイルミナティ陰謀論とは相容れない。
登場人物や事件に関する解釈がほぼ同じでも、陰謀の主体がひとたびユダヤから離れてしまえばそれは異説であり、リチャード氏にとって拒絶の対象になる。
リチャード氏本人としては唯一無二の真実を語っているつもりなのだから当たり前のことで、「まあそういう見方もあるかも」などと妥協してしまえば、自説を大きく曲げてしまうことになる。
だからといって一歩も譲ることができなければ、商業的にはうまくいかなくなってしまうのだ。

 

◆夢源樹トークライブ

話は前後してしまうが、3月1日に行われた「夢源樹」でのトークライブはその好例だろう。

今回初めて知ったのだが、夢源樹とはUFOやUMA,オカルトなどを扱ったトークライブとそのDVD、オカルトグッズなどを扱ったウェブショップで、小学館の歴史あるオカルト雑誌「ムー」が絡んでいる。
このトークライブにリチャード氏が「非暴力ネットジャーナリスト」ととして出演したのである。

このトークライブ開催のころ、ウクライナ情勢においてロシアが送り込んだと思われる「謎の武装集団」がクリミアの空港を占拠したり、ロシア軍が軍事介入を行い欧米が猛反発するなど、かなりロシアが無茶をしていたのだが、親ロシア派のリチャード氏はこの物騒なロシアの動きに大喜びしていた。
どうも「非暴力」という肩書とあっていない。

このイベントが開かれると知ったのは、2014年1月16日に書かれた『その予定です。』の記事だったが、私自身はとても意外さを感じていた。

なにしろムーで扱っている話題は幅が広く、陰謀論のほかにもオカルト、UMA、UFO、超能力なども扱っている。
しかしリチャード氏はUFOやオカルトの類を信じていない。
スピリチュアル系の人間に対して厳しい見方をしているし、2012年のマヤの予言に対しては否定的な本を書いたことさえあるのだ(と言ってもマヤの予言が陰謀であるというトンデモ本なのだが)。

また、ムーがリチャード氏をゲストにしたことも意外であった。
ムーは危ない物件には深入りしない冷静さがある。
同誌はかつてオウム真理教の教祖 麻原彰晃と関わりを持ったことがあるが、地下鉄サリン事件が起きるよりも前にオウムと縁を切っている。
そのような危機管理の面から考えれば、違法な活動で逮捕者も出ている独立党に関わり合いになるのは避けるのが妥当な判断だろう。
独立党の違法活動を見逃していたか、あくまで一個人の行為として考えたということなのかもしれない。

そんな「ムー」系のトークライブに登場したリチャード氏。
トークライブのテーマは「未来の歴史教科書」。
リチャード氏の同名の著書をベースにイベントは行われたようである。

普段の講演動画のようにその内容全てが公開されていることはないが、ダイジェストをYouTube上で見ることができる。

見られるのはあくまで一部なのだが、リチャード氏が苦しい立場に追いやられているのはよくわかる。

どんなに彼ががんばって陰謀論を展開しようとも、最後にはムーの三上編集長によってフリーメーソン陰謀論としてかっさわれてしまうのだ。
しかもお金をもらっている立場だろうから、その場で喧嘩するわけにもいかない。

このままユダヤ人はフリーメーソンに操られているとかいう物語で迎合すれば、この後ムーで仕事をもらえる可能性もあるかもしれないが、自説こそ真実であるという信念がある以上、折れるわけにもいかないだろう。

RK「黒船の前にまずジョン万次郎が先に一年前に行って、でちょっと色々話を、『ナシをつけとけ』と」
太塚「ロケハンですね?」
RK「ロケハンですね。で、そのあとにペリーが行って、大砲で脅して、開国させたんですよ。これ全部ね、もうスケジュール通りなんですよ」
三上「まあペリーもメーソンですからね」
RK「……うん。まあ、そういうことなんです。(後略)」
(11:02)

三上編集長が口をはさむまでいい調子でしゃべっていたリチャード氏だが、「メーソン」発言をうけて明らかに答えに窮してしまっている。
なんとなく言葉を濁してごまかしているが、ここでうまく妥協することができなければ、商業的に成立していくことは難しいだろう。

 

「本業の環境変化に伴い、本業収入でジャーナリスト活動をサポートする体制は10数年で終焉した模様です」というのが、具体的にはどういうことなのか不明である。

単に本業の収入と独立党での活動を切り離さなくてはいけないという話ならば、経済的な負担が軽くなるよう、活動を見直していけば、自説を曲げたりプライドが許さない妥協をせずに済むだろう。
もしも、「ネットジャーナリストの活動で食べていく」といった経済を優先しなくてはならないような危機的状況なら、「リチャード・コシミズ理論」が有象無象のオカルト話と同列視されかねないリスクを冒してでも、商業誌や商業出版で自説を披露していくほかにないように思える。

商業的にやっていくには、よりも多くの人気を集めることが必要となり、そのために自分の書きたいものを書かず、書きたくないものを書くことも必要になる。
思い通りに書きたいものを書いて成功できる人間というのは本当にひとつまみの、才能と運を持ち合わせた人だけだろう。
また、昔のような自費出版ならば著者の取り分は多かっただろうが、商業出版の印税は10%程度。
経済的な面でも、これまで以上に「人にウケるもの」を数多く書くことが要求されることは間違いない。

リチャード氏がアフィリエイトの広告収入に言及したのは、プライド優先で自説を一切曲げず、かつこれまでのような活動費を維持するための苦肉の策なのかもしれないが、そんなに気安く大もうけできるようなものではないだろう。
ブログの集客力を高めるために、陰謀論以外のどうでもいいテレビの話などをするようになったら、それこそ本末転倒になってしまう。

 

党員諸君にお願いです。』のコメント欄では、党員たちがアフィリエイトに手を出すか否かについて活発な議論を重ねているが、サイトの維持管理を申し出た党員は見当たらない。
とりあえずITスペシャリスト集団の肩書は一旦返上したほうがよさそうである。


参考記事

その予定です。
本日、↓このイベントに出演します。
党員諸君にお願いです。
リチャード・コシミズ×三上丈晴ムー編集長「未来の歴史教科書」ダイジェスト
richardkoshimizu’s blog より)

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