敵か味方か、無能な愚民か

大分前の記事に書いたリチャードコシミズ氏。
彼の後援会「独立党」。幹部が5人も抜けてしまったらしい。
なんでもリチャード氏の不利益になるようなことがあったため、「工作員」と認定されてしまったらしい。
リチャード氏は元幹部らに暗殺計画を立てたという疑いをかけ、それをブログなどで公表したため、名誉を傷つけられたとして、退会に関するいきさつを別のブログに書くような状態になっている。
これがなかなか面白い。
リチャード氏はリチャード氏のほうでこの件に関する長文をブログにアップしており、元幹部らは元幹部らのほうでこの件に関してブログを書いている。
また、それに寄せられるコメントも面白い。
外部の人間からすれば、そもそもは小さな行き違いや、認識の違い、人間としてついやってしまうような怠惰な行いが原因のようだが、それによって単に退会処分などにするだけではなく、陰謀組織の工作員としている辺り、実に物騒である。
リチャード氏は「敵か、味方か」の人である。
世界の悪いことのおおむねは、世界を牛耳る「巨悪」によってなされている(あるいは原因である)、と考えている。
世の中には一部の娯楽が社会悪を引き起こすといった考え方を持っている人がいるが、それよりも遥かに壮大で、だからこそあきれるほど単純な世界観をリチャード氏は有している。
また彼は、「敵」という一つの属性が他の属性とも完全に一致しているかのようなものの考え方をしている。
彼の陰謀史観によると、世界を牛耳る「敵」とは「ユダヤ人資本家」で、先進国の有力者(大統領や首相、あるいは内閣、大臣、政府高官など)はその手先である。
手先は当然敵なわけで、彼の「調査」によればそれらは「ユダヤ人」か「隠れユダヤ人」だと判明する。
ただし、この構図が当てはまるのは白人で、黒人や黄色人種は当てはまらない。
黒人の「手先」だといわれている人はライス米大統領補佐官くらいで、彼女はユダヤ人ではないということらしい(ただし彼女の師がユダヤ人なのでやっぱり手先)。
 
これが黄色人種の「敵」となるとどうなるか、それは基本的に「朝鮮人」あるいは「在日朝鮮人」らしい。
日本にも「敵」はいるようで、有名どころの政治家は大体「在日」容疑をかける。
敵視されないのは、国会質問で9.11陰謀論をからめた香ばしい国会質問で話題になった藤田議員や、公明党の創価学会への寄付問題を取り上げた石田議員くらいのものだろう。
そう、創価学会も彼の「敵」である。
創価学会の会長池田大作は「在日」なのだそうである。
通常の感覚からすれば池田大作が何人だろうと、政教分離の視点から創価学会には問題がある、と考えるものだが、リチャード氏には属性がどうしても重要のようだ。
そして政治家でもなんでもなく、彼に有害と見られる行為をした一般市民レベルの個人は、「工作員」という属性がつけられる。当ブログは独立党以上に弱小で影響力もないが(現時点でページビューが1000にすら届いていない、1年以上やってるのにね)、批判めいた文章を書いた以上、巨大陰謀組織の尖兵として工作員扱いをされると思われる。
 
何の工作員かというと、「ユ鮮邪教」の工作員である。
「ユ鮮邪教」とは、(リチャード氏的には)世界を牛耳るユダヤ人の手先となっている、統一協会(教祖が朝鮮人)&(リチャード氏的には会長が在日である)創価学会のことで、「工作員」とはそれら宗教団体の手先のことなのだそうだ。
かつてリチャード氏といざこざがあり、リチャード氏と口論になったらしい人物がいたのだが、その人物をリチャード氏は「工作員」と認定し、その人物の名刺をブログで公開してしまった(一応個人情報を部分的に隠しているものの、複数アップされている画像でそれぞれ隠してある場所が異なるため、容易に特定できてしまう)。
リチャード氏によれば自衛のための行為らしいが、晒された側にしてみれば非常に迷惑な話である。
また、リチャード氏は工作員の妨害工作として「自転車泥棒」や「敷地内へのゴミの投げ込み」など報告している。
近所にたちが悪い人間がいるのは確かだと思うが、それすわち巨大謀略組織の工作員だ、といわれれば、それはいくらなんでもせこ過ぎると考えるのが普通だろう。
その程度のことを妨害工作とまで考えるコシミズ氏が、後援会の運営に支障をきたしたミスをおかした幹部達を「工作員」扱いするのは、ある意味当然の結果だ。
 
で、二つの(特に脱会者側の)ブログを読んで気づいたことは、この人たちはそれでもリチャード氏の世界観を信じているんだよなあ。ということである。
紹介したとおり(って、長くなるから具体的に書いてないけど)彼らが脱会したのは後援会運営において行ったことが、リチャード氏に重度に問題視されたからのことであって、彼ら自身がリチャード氏の思想、世界観や人間性に対して反対したからではないのである。
リチャード氏が自身のHPで展開している「ユダヤ陰謀論」の世界は、リチャード氏を主人公にした傍迷惑な「(一応)政治サスペンス」に過ぎない。
彼の物事に対する解釈や知識を支持し、彼の展開する差別とも取られるであろう攻撃的・挑発的な態度を一緒になってとってきたのはほかならぬ脱会者たちなのだ。
そしてリチャード氏個人に対する感情は抜きにしても、彼の語って来た9.11陰謀論純粋水爆説常温核融合完成などの世界観をいまだに支持しているのだろう。
敵か味方か、あるいは「世界の真実」を知らない愚民(リチャード氏はB層と呼んでいる)か、人間と世界をその3種類に大別することしかできないリチャード氏の分類で、一度はリチャード氏の生徒となり、愚民から脱却したかつての味方が味方でなくいなった以上、「敵」として分類されるしかなかったのは至極当然である。
 
リチャード氏にかけられた嫌疑に対してした反論と同様のレベルの反論で退けられる陰謀論を支持してきている彼らを、そんなに同情する気が起きないわしであった。
 
おまけ――
今回の事件を機に、独立党という団体はこの先、閉鎖性と凝集性を高めていくのではないだろうか?
今回のリチャード氏の主張に対して疑問を持った人は退会していくだろうし、残った人は残った人で、「工作員」認定を恐れてリチャード氏に対する従属的態度を強めたり、党員同士での監視、密告が強くなっていく可能性がある。
この先独立党がどうなっていくか、観察者としては目が離せない。
 
さらに追記。
この記事をアップする前にリチャード氏のブログをチェックしたところ、彼が飛行機のテロ(というか、自分の暗殺計画)があると騒いでいたことを警察とJAL社に通報したという人が現れたようである。
ネット上で書いたこの妄想が風説の流布や威力業務妨害にあたる可能性があるのかな?
しかし、2chではなくほとんど「好きな人しか見ない」かのブログにかかれたことなので、実際にはどれほどの結果になるかはわからない。
リチャード氏は自分を取り調べる(?)警官とのやりとりを逐一公開していくと宣言しているが、それは本当に刑法に引っかかる可能性があるのでやめたほうがいいと思う。
 
さらに、さらに追記。
飛行機まるごと暗殺計画」の件、結局第三者がリチャード氏の主張を2chに書き込んだため、そのことについて警察から「だったら飛行機乗るなよ」といわれたのがどうやら顛末のようである。
よく事件になってしまうのは、「これから人を殺す」と言う内容の「犯行声明」で、リチャード氏が行ったのは「これから殺される!」という「被害者予告」である。
そのため件の書き込みには事件性がつかなかったのだろう。結局リチャード氏は暗殺されなかったし(巨大な陰謀組織が実在し、彼の暗殺を計画したのなら、交通手段によらずできそうなものだが、それをやらないあたり実に親切で都合のいい組織である)。
 
だが、しかしリチャード氏の暴走は止まらない。
今度はブログにて退会者(「工作員」認定をうけた)の個人情報をリチャード氏が公開してしまったのだ(リチャード氏は「当人自ら公開した」としているが、どこに公開されたものなのか未確認。リチャード氏個人に教えただけなら、これは公開とはいわないだろうなあ。携帯の電話番号までウェブ上で公開するというのは、ちょっと考えられないのだが)。
これはさすがに法律に引っかかるのではないだろうか。
かれはこの情報を警察・公安関係者が見て、陰謀組織を認識してほしいと思っているようだが、警察・公安関係者が認識するのは彼の問題行動だけだろう。

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