2015年最後の記事は、今年の11月12月あたりの独立党で気になったことと、今年1年の独立党を私の独断でまとめさせていただく。
◆新刊の話
リチャード氏が今年の暮れに新刊を出すと発表したのは11月26日。
『突然ですが…..年内に新著を上梓します。 』の記事でのことである。
11月の暮れに年内ということは1か月以内という超短時間で書き飛ばすということで、出来栄えは大丈夫なのかと思うところだが、考えてみれば時間がかかっていてもひどい本が多いし、あまり時間は関係ないのかもしれない。
そして12月25日に発売されたのが「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」。
タイトルからパリで起きた同時多発テロがテーマであることがすぐわかる本である。
この本を出すという話を知った時に感じたのは、「311同時多発人工地震テロ」のようなスピード勝負でヒットを飛ばそうというリチャード氏なりの販売戦略である。
リチャード氏のおそらく最大ヒット作であろう「311同時多発人工地震テロ」は、東日本大震災後1か月ほどで書かれた著作である。
日本中の人間が注目した話題について書かれたこの本は、もちろん陰謀論信奉者の間でも注目を集め、リチャード氏が天狗になるほどの人気を集めた。
しかしその後のリチャード氏の著作はというと、世間一般の需要を無視した本が大半であり、のびにのびた天狗の鼻がへし折られる結果となっていた。
今回の新刊はそのような失敗を冒さず、需要にこたえる本をだそうという意思が見られ、職業作家としてより正しい方向の努力ができているように思う。
問題があるとすればパリのテロ事件の話題が12月まで世間の注目を集められるかという点だろう。
東日本大震災は日本国内の大災害であり、私たちは当事者という立場なので、現在までなおも話題に上がっているが、パリの事件は海外の事件として遠からず他の話題に埋もれてしまう。
今この記事を書いている12月末の時点で、パリでの事件の話題は殆ど上がらず、IS関連としてはイラクの都市ラマディ奪還が報じられている。
また、タイトルになっているパリの事件に関して、リチャード氏がどれだけの量の文章を書けるのかも疑問である。
パリの事件が起きたとき、リチャード氏らは「クライシス・アクター」(被害者のふりをして事件を演出するやらせ要員)の存在をわめきたてていたが、他に話題がロクにない状態であった。
パリ事件だけで本を一冊書き上げるのは到底無理だろう。
実際、同書の目次をamazonの紹介文で見ることができるが、パリの事件を導入としてだんだんとタイトルと関係ない話へとシフトしているのがわかる。
現在amazonのランキング「軍事情勢」で1位を取っているため、リチャード氏は好感触を得ているようである。
とはいえ「軍事情勢」はかなり細分化されたカテゴリーなので、ここで1位をとったからといって左団扇というわけにはいかないだろう。
◆標準医療否定の果て
世の中、標準医療を否定し、代替医療を推進する人々がいる。
リチャード氏も世の中のいろんな「普通」を否定し、「自分で考えて選ぶ」ことのすばらしさを説く過程で、標準医療を否定し、船瀬俊介氏による「新医学宣言」などという団体に関与し、抗がん剤ではがんが治らないとか、向精神薬でうつ病になるとかいろいろ言っている。
12月20日に公開された記事『佐藤香織さんの「その後」について』では、標準医療を拒んで代替医療にはしった結果、病気を重篤化させてしまったケースが紹介されている。
佐藤香織さんという党員の女性は、病院から勧められた手術や放射線治療、抗がん剤治療を拒否して、食事療法やらオーリングテストによる診断、経皮毒をさける生活やらをやり、(代替医療を勧めていた)医者から「癌が消えた」と診断をされる。
その結果を受けて独立党講演会で「治療」の成果を報告したものの、実はその後癌は消えてなかったことが発覚。
それでも代替医療を続けていた結果、大量出血をおこして救急車で運ばれ、結局子宮等の摘出手術をうけたという話である。
詳しくはリンク記事を読んでいただければと思うが、代替医療を進める治療者の無責任さには腹が立つ。
日頃標準医療を批判し、患者が標準医療への不信感を募るように仕向けたクセに、深刻化したら標準医療による手術を勧めるというのは、実にタチが悪い。
患者の治療ではなく、「○○(代替医療)は病気に効く」という信念の証明を目的にしてはいないだろうか?
彼女に癌が発覚した時点での癌のステージはⅠbだったが、大量出血を起こして摘出手術を行った後はステージⅢcだったという。「がん(癌)のき・ほ・ん | 癌の症状・治療法など」というサイトでは、子宮頸がんの5年生存率をステージⅠの段階では90.4%、ステージⅢの段階だと49.4%としているので、生存率が半分近く下がってしまったことになる。
彼女は結局大幅に無駄足を踏まされ、命を危険にさらすことになっただけだ。
最初の診断の時点で子宮摘出手術を受けていれば、それがどんなにつらい決断と喪失感を伴うものであったとしても、生命の危機を取り除ける可能性は相当に高かった のだ。
しかし、代替医療で効果のない食事療法をやった結果、子宮を失ったうえにいまだ5年生存率50%未満という状態はあまりに悲惨である。
彼女は今でも抗がん剤と放射線による治療を断っているというので、5年生存率は49.4%どころではない数字まで低まっている恐れもあるだろう。
Togetterの「【募集】 #陰謀論あるある Part 2」にちょくちょくネタを投下させてきた中で、こんなネタを書いたことがある。
彼女は「I先生」という代替医療治療者に不信感を抱き、離れたものの、いまだ代替医療自体は信奉し標準医療を否定しているため、その命がとりあえず標準医療に救われたにもかかわらず、代替医療を続けることにこだわっているのである。
陰謀論はこじらせてもそうそう死ぬことはないと思うが(警察に捕まることはある)、代替医療はそうはいかない。
健康を害したり寿命を無為に縮めたり、死ぬことだってあるのだ。
リチャード氏のブログではその後、コメント欄にて多くの「健康法」が投稿されているようだが、リチャード氏は状況がかえって混乱すると判断し、コメントの承認は控えている(『佐藤さんの健康を心配して、多くの方が「こんな健康法はいかがか?」とコメントで提案をいただいて…. 』)。
彼らに必要なことは新しい健康法を探すことではなく、「健康法」がきくのかどうかをきちんと評価する基準や方針を持つことだろう。
◆新党結成!?
12月18日、リチャード氏が『檄文』と題した記事を投稿した。
記事によれば、来年の参議院選挙に新党で臨む意思があるという。
これまでベンジャミン・フルフォード氏や船瀬俊介氏らに政党を作り、出馬するよう煽られてきてはいた。
おそらくベンジャミン氏らは独立党を政治政党とすることで、陰謀論をさも日本人にとって重要な政治的社会的問題であるかのように見せかけたいのだろう。
11月24日、シンポジウムに出席するリチャード・アーミテージに突撃取材をしようとベンジャミン氏の呼びかけに応じて集まった独立党&ベンジャミン氏の動画では、英語圏向けのベンジャミン氏の動画の撮影が行われ、そこに「日本独立党党首」という形でリチャード氏がやはり英語で話をしている。
彼らの背後には英語で書かれたプラカードを掲げた「市民」らの姿(日本語のプラカードはない)が映っており、状況を詳しく知らない英語圏の人間が見れば、日本人がアーミテージを戦争犯罪者として抗議集会を開いている、しかも一部の政治家までもが賛同しているかのように見えることだろう。
独立党が政治政党として、リチャード氏が政治家として活動すると、ベンジャミン氏にとって自説の箔付けになる、実においしい存在になるのだ。
ただ、「新医学宣言」記者会見のころに政党として紹介されたリチャード氏は消極的な姿勢であったし、その後に書いていた記事などでも「日本の選挙が正常化されたら」という、永久に満たされることがないであろう条件を付けて出馬を先送りし続けるかのような態度を見せていた。
そこから考えると今回の声明による参議院選出馬の意思は積極的であるかのように思えるのだが、よくよく記事を読んでみるとどうにも怪しいという感想もぬぐえない。
なにしろ選挙にはメディアが無視できないような有名人を出馬させたいと考えており、そこで挙げている名前が石田純一や桑田佳祐なのである。
反安倍政権の姿勢を見せた有名人だから候補に挙がっているのだろうが、ビッグネームにもほどがある。
もちろん彼らとリチャード氏の間には何の面識もない。
リチャード氏は勝手にシンパシーを感じてお互い知り合いであるかのような態度を見せているが、そんなものは小沢一郎の時の様な妄想に過ぎない(小沢一郎との一方的な蜜月が終わってしまったので、今度は彼らに、ということなのかもしれないが)。
リアルなところでリチャード氏が集められそうな人間というと、元阿久根市長の竹原信一氏や不正選挙を訴えて出馬した犬丸勝子氏あたりではないだろうか。
当然両名とも先の二人ほどの有名さはない(というか犬丸氏に関しては無名も同然である)。
また資金面でも非常に厳しい。
リチャード氏は全国区、つまり比例区で出馬したいと考えているようだが、参議院選挙の比例区の条件はかなり厳しく、以下のいずれかを満たさないと出馬はできないのである。
- 当該政党・政治団体に所属する衆議院議員・参議院議員が5名以上有すること。
- 直近に行われた衆議院議員総選挙の小選挙区または比例代表選出議員の選挙、あるいは参議院議員通常選挙における選挙区または比例代表選出議員の選挙で当該政党・政治団体の得票総数が当該選挙の有効投票総数の2%以上であること。
- 当該参議院議員通常選挙において、当該政党・政治団体の候補者が10名以上有すること。
現時点で現職もいなければ、過去の出馬成績も皆無な独立党が出馬するには、3の「当該参議院議員通常選挙において、当該政党・政治団体の候補者が10名以上有すること。」を満たさなければならないのだ。
比例区での出馬の供託金は1人当たり600万円である。
リチャード氏は比例区で10人出したいということなので、実に6000万円という途方もない大金が必要である。
過去の著作の売り上げでも、果たしてここまでの額に至ったことがあるのだろうか?
私が選挙に詳しい方から伺ったところによると、比例区出馬条件の10人というのは必ずしも比例区に限られておらず、小選挙区9名、比例区1名という構成でもよいらしいので、3300万円の供託金が用意できれば、比例区に出馬することも一応可能ではあるようだが、それでも簡単に集まる額ではないだろう。
不正選挙を打倒できた、選挙が公平に行われるという確信もないまま、莫大な資金を集めて選挙に打って出るということに抵抗はないのだろうか?
それだけのお金があつまったら、勝てる見込みのない選挙で没収されるより、リチャード氏らの考える夢の山荘を完成させたほうが現実的だという考えだってあるだろう。
◆簡単ながらも2015年のまとめ
今年の独立党は、平年と比べて大きなことをやったという感触はなかったが、リチャード氏が「時勢が自分に傾いてきた」と心理的に弾みをつけた年だったのではないかと思う。
デモ隊や石田純一、長嶋一茂、桑田佳祐、中居正広のような有名人たちなどが安保法案反対・反安倍政権を掲げた姿に、リチャード氏は多数の人間が自分に呼応していると錯覚したのではないだろうか。
この(まことに勝手な)確信がリチャード氏を大胆にさせ、2016年の参議院選挙に前向きな姿勢をとらせたのだろう。
選挙出馬が実現するかどうかはかなり怪しいが、来年独立党は大きく動くかもしれない。
少し期待を込めて眺めていこうと思う。
【2016/1/8】記事を一部加筆、修正しました。
【2010/3/21】記事を一部修正しました。長嶋茂雄→長嶋一茂
《参考記事》
『突然ですが…..年内に新著を上梓します。』
『「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」校了しました。』
『裏社会さん、RK新著の出版妨害準備は万端ですか? 』
『RK新著「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」について』
『RK新著、Amazonの「軍事情勢」では1位、その上のカテゴリー「軍事」では2位です。』
『RK新刊、Amazonランキングがさらに上がっています。発刊前なのですが….( ;∀;)』
『RK新刊「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」出荷準備、進行中です。』
『「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」を先行予約いただいた皆様、本日、発送をさせていただきました。』
『RK新著「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」ですが、明日、大手書店の店頭に並びます。』
『RK新著「パリ八百長テロと米国1%の対日謀略」、売れ行き好調とのこと。』
『病院経営と日本人の健康』
『佐藤香織さんの「その後」について』
『佐藤さんの健康を心配して、多くの方が「こんな健康法はいかがか?」とコメントで提案をいただいて…. 』
『檄文』
『2016参院関が原決戦に向けて 』
『RK独立党信州山荘・有機農業計画のお知らせ』
『RK独立党信州山荘立ち上げに際してお願い。』
(richardkoshimizu’s blogより)