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リチャード小説:『リチャード・コシミズの未来の歴史教科書』

今回の記事ではリチャード氏の初の公刊書となった『リチャード・コシミズの未来の歴史教科書』を紹介する。

本書は全10章からなっており、タイトルは以下の通り

第1章 戦後70年は日本人劣化の歴史
第2章 からゆきさんと日本の近代化
第3章 安政東海地震と日露関係
第4章 幕末貨幣改鋳・南北戦争・戊辰戦争
第5章 安心安全食材の歴史
第6章 戦闘機パイロットの生と死
第7章 火星のトカゲとリス
第8章 アドルフ・ロスチャイルド・ヒットラー
第9章 日韓併合とオウム事件の関係
付  章 不正選挙追求が未来の日本をつくる

こうやって見るとまあまあ歴史の本っぽいが、実際には417ページ中100ページ超を最後の付章につぎこんでおり、歴史じゃない章が随分と幅を利かせている。
もちろんこれは全10章中最長。
話題の数としては歴史を扱ったものが多いが、この本を書いた当時、リチャード氏が力を注いでいるのが不正選挙であることがよくわかる。
看板に偽りありではないかとも思うのだが、リチャード氏が過去に書いた本では著作やDVDの宣伝に78ページを費やしたというケースもあるので、これはまだマシな方なのである。

この本について各章を個別に分けて紹介することも考えたのだが、内容的に過去作『リチャード・コシミズの新しい歴史教科書』と重複する部分がところどころあることと、本当に退屈なだけとしか感じられなかった章などがあるので、もっとざっくり面白かった箇所をピックアップして書かせていただくことにする。

 

◆「最近の若いもんは……」

第1章の「戦後70年は日本人劣化の歴史」はタイトル通り、日本人はダメになったという話が書かれている。

ツケマ(つけまつげ)、茶髪で先のとがった革靴を履いている若者、大学全入時代、キラキラネーム、タトゥー、大型量販店、コンビニので売られている食べ物、医者の処方する向精神薬、amazon、小泉・竹中の派遣労働法改正などで社会が悪くなったといった主張が続き、「小泉・竹中以前」に戻りさえすれば日本は復活するという話で第1章は締めくくられている(若者のファッションと小泉・竹中にどんな因果関係があるのだろう?)。

特にリチャード氏からの風当たりが強いのは若い女性である。
つけまつげ、タトゥー、キラキラネームなどでたとえに出されるのは女性であり(タトゥーやキラキラネームに関しては、女性に限らないのだが)、表現もきつい。

だから、ツケマ標準装備のキャバクラのホステスさんたちは印象が画一的に思える。
見分けがつかない。もはや、美人なのかブスなのかわからない。個性がない。(13p)

ツケマは、日本人劣化の一つの指標であると考える。「ツケマツケマ~♫」と唄うふしぎな少女から、これからの日本を背負って立つ強くて賢いお母さんは想像できない。(14p)

両親が選んだ名前のおかげで、彼女は就職活動で大きなハンデを負う。クラスメートが次々と就職が決まっていく中で彼女の未内定一つとれない。面接までも一度も行かない。送った履歴書は次々に返却される。そのうち面倒になって履歴書を使いまわしするようになる。そんな試練を乗り越えて初めて彼女には未来が開ける。彼女には社会の厳しさを知る絶好の機会だ。キラキラネームをつけてくれた両親に感謝しよう。もっとも、父親はとっくに外に女を作って出ていってしまったが。(30p)

「ツケマツケマ~♫」と唄うふしぎな少女」とはいったい何者なのかワケがわからないし、キラキラネームの文章では最後の一文が悪意に満ちた蛇足である。
また、長くなるので引用はしないが、30P~33Pではタトゥーを入れた女性がこうむる社会的不利を描いた小話が書かれている。

日本の若者を嘆いていると言えば確かにそうかもしれないが、若い女性を引き合いに出して名前やファッションといった見た目の話に終始しており、単に若い娘の見た目が自分の好みじゃないから怒っているだけなんでは?という気がしてくる。

そんな若い女性には厳しいリチャード氏だが、amazonには甘い。
外資系の巨大企業であるamazonにもっと厳しくてもよさそうだが、自分自身が書籍を売ってお世話になっているためか、「ネット書店には功罪がある。「功」の方も存在するということだ」と評価している。

【2015/5/3 追記】袴っ娘好きさんからの、「つけまつけま」と歌う歌というのは、きゃり~ぱみゅぱみゅの楽曲、「つけまつける」のことではないかとご指摘いただきました。
歌詞を確認したところ、歌いだしは「つけまつけまつけまつける」となっており、リチャード氏の記述と一致していました。
また彼女のメジャーさ加減から言っても、リチャード氏がこの曲を偶然見かける可能性は十分にあり、きゃり~ぱみゅぱみゅのPV上のキャラクターが「ふしぎな少女」と評されていてもおかしくありません。
ご指摘ありがとうございました。

 

◆リチャード・コシミズの語る健康

第5章「安心安全食材の歴史」では、江戸時代の川越のサツマイモの素晴らしさと、当時の人肥がいかに優れたものであったかを語り、そこから現在の化学肥料や食品がいかに危険な物かを主張する章となっている。
歴史の部分はあくまでとっかかりであり、メインはリチャード氏の考える健康食や健康法についてである。

化学肥料、食品添加物、牛乳危険説、水のクラスター、ホルミシス効果といった健康系トンデモの軽めの所を取り入れつつ、他の提唱者が少ない可視光線ランプや、「腸は実は造血に深くかかわっている」といった一文で千島学説もさりげなく登場している。
特に可視光線ランプの説明は面白い。

さらには、「可視光線ランプ」という太陽光線から目に見える波長の部分の光だけを取り出したのに等しいランプがある。これを体の悪い部分に照射すると痛みが消える。(132p)

なんというか、「業者にされた説明を何も考えないままうのみにし、オウム返しに唱えている」感が否めない。
「太陽光線から目に見える波長の部分の光だけを取り出したのに等しいランプ」って、それは普通のLEDランプとどこも違わないんじゃないのか?

 

◆ 漢リチャード・コシミズの咆哮

本書は歴史教科書と銘打ってあるものの全然教科書っぽくなく、「こういう話題を教科書が載せたらいいのに」というリチャード氏の願望を書いた本である。
本文は教科書の様な歴史的事実とその解説に収まらず、リチャード氏自身の考えや意思が何度も顔をのぞかせる。

ユダヤ米国亡き後、日本は世界のリーダーになる。無益な争いや紛争をこの世から絶つ。一握りの謀略家が世界を再び支配することは許さない。共存共栄の理想的な惑星を、我々の手で作り上げるのである。日本万歳!
(第1章 56p)

1000年前の僧侶や公家のビューロクラシーを学ぶ前に、ほんの100年前の娼婦の歴史を学べ。歴史教科書の一項目にからゆきさんを取り上げろ。誰が何と言おうと掲載しろ。
だが、誰もやらないから私RKがここに記す。
この本を未来の歴史教科書にすればいい。
本当に学ぶべきことは何なのか?それを突きつけるのが本書である。
(第2章 72p)

さらには尖閣諸島は、天然記念物、アホウドリのサンクチュアリーである。つまり、アホウドリの領有地だ。人間がとやかく言う筋合いではない。
(第3章 90p)

学校の教科書などには真実など書いていない。真実はこの書籍にある。真実を知ることで外国勢力による国家の乗っ取り、侵略を何があっても阻止しなければならない。読者諸氏の覚醒と今後の奮闘を切に期待する。
(第4章 106p)

勿論、裁判所も選挙管理委員会もユダヤ権力の支配下にあるゆえ、これらの裁判は原告の敗訴に終わる。しかし、裁判の異常性と不正選挙の存在を世に知らしめるため、我々は裁判に注力する。
不正選挙で不法に当選し国家を占拠している偽議員をこの国から追い出すためだ。
TPP交渉を中断中止させ、日本の食の安全を守るためだ。
(第5章 135p)

1945年当時の敵は、2013年の今の我々の敵と同一である。ユダヤ世界権力を斃し真の独立を成し遂げるまで、我々は決して戦いをやめない。小沢先輩、松本先輩、岩本先輩、見ていてください。
(第6章 156p)

米国の金融ユダヤ人たちがこの世の中を私物化しめちゃくちゃにしている。平気で壮大な嘘をつく。他国民を殺戮する。国民を手玉に取って搾取する。使役する。
その前提を以て、21世紀の今を考察していただきたい。今までと全く違うものが見えてくる。真実の世界が視界に入ってくる。
それでは、大いなる真実への旅の第一歩を踏み出されたい。
(第7章 176p)

ヒットラーの真実を知ることは、人類の歴史をリセットして、再出発するためにどうしても必要なことなのである。それは「人類の進化」と呼ぶべき偉業なのだ。人よりも先に真実を知った読者諸氏よ、まだ目覚めぬ友たちに真実への道を示していただきたい。それが先覚者の使命だ。人類全体の幸福のために。それが個々人と家族、そして友人たちの幸福をもたらすのであるから。
(第8章 230p)

「日韓併合とオウム事件の関係」がご理解いただけたであろうか?すべてはつながっているのである。
世界の歴史は、複雑怪奇ではなく実にシンプルな構造だったのである。構造がわかればそれを叩き壊すことは不可能ではなくなる。
今、我々に求められているのは、「諸悪の根源」と判明したものを断固取り除き、地球という共同体の不健康状態を正常に戻すことである。それが、我々21世紀初頭に生きるものが子孫に残すべき遺産なのである。
(第9章 294p)

ユダヤ権力の日本支配構造が揺れ動けば、裁判所もメディアも次第に正常化するであろう。できる。あともう一歩である。
読者諸氏に、この聖なる戦いに参画していただきたい。日本の未来と我々の子孫を守るために。
(付章 414p)

上記に引用した文章は、どれも各章の最後に書かれているのだが、決意表明やら本書の意義やらがしつこいくらいに出てくる。
こういう文章は前書きか、後書きにでもまとめて書いておけばいいのに、実にうっとおしい。

 

面白いと思ったところだけを紹介したら、歴史に関する部分については全然残らなかった。
本書に書かれている歴史話のたいていは、過去の講演会や著作でも書かれていたことがほとんどで、ウォッチャーとしてのキャリアがいい加減長い私には新鮮味を感じられなかった部分がほとんどなのである。

本書は昨年末にはほぼ読了していたのだが、こうして記事を書き上げるのにも時間がかかってしまい、内容的にも自分でいまいちさを感じられずにはいられないところがある。

まだ手元には「小説 魔界」もありこれから読み始めるようであるが、すぐに紹介記事を書くことができるかは微妙である。

リチャード氏の新刊の情報は今のところ出ていないが、私が新鮮味を感じられるような、そういう意味での完全新作を期待したい。