「出番」らしい

今回は久しぶりに講演会動画を視聴したのでその紹介。

今回見たのは11月30日に行われた独立党東京講演会「さあ、俺たちの出番だ。」
ここでいう「俺たち」とは独立党というよりは日本人全体のことを指しているように思われる。

内容はというと、ざっくりいって「日本人はすごいんだぜ」というもの。
日本は今元気がないが、本当の実力や底力はこんなもんじゃないんだ、と鼓舞するような内容である。

おそらくこういう内容の講演は受けが良いのではないだろうか。
ユダヤ人が悪い、アメリカ人が悪い、というような他者に対する攻撃的な言辞よりは、自分たちはすごいんだというメッセージの方が前向きだし、素直に受け止めやすい。

リチャード・コシミズ名言BOTというものがTwitter上に存在するが、そこに登場する名言もやはり日本人を優れた民族として鼓舞するような発言が多い。

それだけ聞くとまあ、まっとうそうな印象はあるかもしれないが、彼が民族主義者であり、差別的な人間であることをお忘れなく。

 

◆日本の資源・エネルギー

まずは日本に関する資源の話からスタート。

日本では都市鉱山と南鳥島でのレアアースの発見により、資源大国になったという。
都市鉱山というのは、使用済みのパソコンや携帯電話に使われている希少金属や貴金属を一つの資源とみなし、それらを再利用するということ。

そして南鳥島のレアアースとは、2010年の尖閣諸島での漁船衝突事故から派生した中国のレアアース禁輸措置に端を発した調査によって、南鳥島の排他的経済水域内で680万トンに上るレアアースが発見されたというもの。

都市鉱山の貴金属類はあくまで過去に輸入したものを効率よくリサイクルするというものであるが、こちらは純然たる資源である。

これだけだったら、「やったね!」という話であるが、リチャード氏はそこに陰謀論をからめずにはいられない。さすがだ。
南鳥島は小笠原諸島に属しているが、小笠原諸島が世界遺産に認定されているため採掘が難しくなる可能性があることに言及し、その世界遺産認定こそがレアメタル採掘を妨害するための陰謀であるという。

圧力かけて調査させなければよかったんじゃないかとも思うが、それ以前に小笠原諸島の世界遺産認定は2011年なのに対して、レアアース発見は2012年6月である。裏社会はいつレアメタルの調査などしたというのだろう。

 

そしてエネルギーの話。
バイオエタノールとメタンハイドレートの2つに言及しているが、この話は何とも珍妙な発言が飛び出していてたのしい。

まずバイオエタノールだが、現在日本の岐阜県にあるベンチャー企業がこれまでに比べてコストの低いバイオエタノール生産技術を開発したという話(動画内でリチャード氏は社名を出していないが、株式会社コンティグ・アイのことと思われる)。

この新技術にいたく喜んでいるリチャード氏だが、その一方で裏社会に対する警戒感を強くにじませている。

「これを何としても本物にしなくちゃいけない。で、間違いなく邪魔が入る。
こんな恐ろしい技術を開発したら、真っ先にロックフェラーが汚いことを考える。
もうすでに考えているかもしれない。
で、一番最初に考えられるのが、銀行筋からの金融の引き締め。借金できなくしてやる。開発費が出ない。設備を作る費用が出ないとうところ。
それからもう一つは、政府に手を回して、助成金を出さない。こういうことをやってきます。
間違いなくやってくる。これまだ若い社長。だからねえ、わかってないと思う。世の中の仕組みを。
だから、誰かこの社長知ってる人いたら、ぜひ教えてあげてほしい」
(01/08 13:35)

「結局やっぱり心配なのは、ユダヤ石油メジャーは絶対にほうっておかないということ。だから、逆に我々は”あんたらがやる手口は知ってるよ!”ってころをはっきり言って、この小さなベンチャー企業を守ってあげなくちゃいけない。
おそらく、官僚を邪魔をすると思う。完了は、裏社会の仲間ですから。
裏社会のために官僚が、ヘンな法律を作ったり、もしくは助成金を絞ったりしますから。
汚い連中です。
何しろ官僚の連中はアメリカの何とか大学に留学してたりしてて、洗脳されてますんで。コロンビア42大学とかいろんなとこ行ってますんで、信用できません!売国奴がいっぱいいます」
(02/08 2:40)

「みなさん忘れないでください。それらしい兆候が見えたら大騒ぎしてください。
我々が騒げば、連中はすごすごと引き下がると思います」
(02/08 3:40)

独立党がネットから守ってくれるそうである。まったくもって心細い。
実力行使までしておきながら、インターネット上で1000人程度の人間が騒いだらすごすごと引き下がるという裏社会。
どれだけネット弁慶なんだ。

そしてメタンハイドレート。
解説自体はまともであるという印象を受けたが、この話が地球温暖化に及んだ時にまた珍妙な発言が飛び出してきた。
いわく、メタンハイドレートの気化こそ、地球温暖化の原因であるのではないかとのこと。
メタンハイドレート自体まだエネルギーとして運用されていないのだが、一体どうして地球温暖化に影響できるのかと思うが、そこには独特のリチャード・コシミズ理論が存在するのである。

「ただ僕はねえ、大したことある可能性もあるなあと思ってちょっと心配しています。
というのはなぜかって言うと、アメリカのユダヤ人あたりがいつも騒いでるわけ、その二酸化炭素が温室・・・・・・地球温暖化の原因だと騒いでるってことは、他に原因があるのだろうな。
あいつら本当のことめったに言わない。ウソしか言わない連中だから、『本当のこと』は隠しているはずだと。
『本当のこと』はメタンハイドレートのことかもしれない」
(02/08 9:38)

疑惑の心と裏読みが過ぎてちょっとよくわからないのだが、地球温暖化の原因についてユダヤ人たちが二酸化炭素を指摘しているから、むしろ原因ではなくいということらしい。何だその理屈は。ユダヤ人以外も指摘しているだろう。

そして、リチャード氏によれば北極での油田の調査にユダヤ人が核兵器を使っていて、その調査の際に多量のメタンハイドレートが気化して温暖化に影響しているのだという。
この理屈が正しいとするなら、産業革命のころからユダヤ人が核兵器で油田調査をし続けてなくてはならないのだが、そのことはとりあえず気にしていない様子である。
そもそも石油で儲けている連中が、地球温暖化の原因に二酸化炭素をやり玉に挙げたら、それは自殺行為である。
石油を売りにくくなってしまうことくらいわからないのだろうか?

ともあれこの2つの善との明るいエネルギーの話で、日本はまだまだ大丈夫ということである。

・・・・・・で、荒田名誉教授の話は?
日本の未来を照らす国産新エネルギーの話をしているはずなのに、阪大の荒田吉明名誉教授が取り組み、リチャード氏の呼びかけで約300万円の寄付が集められた固体内常温核融合の話は全くナシのつぶてである。
進捗状況なりなんなり–たとえ現時点で実現に至らなくとも–話くらいあってもよさそうなものだが、まったく言及なし!!
独立党員や寄付した人々はこの現状をどう思っているのやら。

 

◆小沢にいちばん近い集団

上記の資源やエネルギーに関する話題の後、産業界についても話しているのだが、ここはあまり面白味を感じなかったので割愛。
ただ一つツッコんでおくと、リチャード氏が講演中に語っていた「耐久消費財は輸出の中で割合が低く、多くは資本財。資本財は円高の影響と関係なく売れる」という話は、どうも元々はリチャード氏の嫌いな三橋貴明氏の話のようなんだが、それでいいのか?ってところである。

この他、相変わらず反日マイノリティの「在日・部落・極左・ホモ」がユダヤ人の手先になって日本の総理を務めているとか、相変わらずの「症状」という感じの発言をしているが、そんなリチャード氏、自分たちの考えは小沢氏にごく近いという。

「『次の総選挙が日本の崩壊の道か、再建の道かの分岐点になる』、『ネットを活用している人たちに大きな力を感じているが、選挙結果にどう結び付くかこれが日本に真の国民主権を確立できるかどうかの鍵になる』
と、ということは?
鍵を握っているのは俺たちだったんだよ。
なにしろ、ネット上で小沢さんにいちばん近いこと言っていて、それだけ人が集まって、発言力があるのは俺たちだけじゃんかよ。
つまり、小沢さんの言ってることは俺たちの双肩にかかっているということなんです。
それだけ重要な役割をいつの間にか我々は担ってしまっていたと、いう認識をしましょう」
(07/08 3:45)

何という自信。超うっとおしい。
8分割中の6番目の動画など、陰謀論や差別的発言を臆面もなくしているが、そんな人間に「小沢さんにいちばん近いこと言って」るなど、図々しいにもほどがある。
リチャード氏が最も近いなら、ほとんどのネットユーザーは小沢氏とはるか離れたところにいることになってしまうだろう。

 

◆オウムとユダヤ陰謀論

これはすこし講演のメインのテーマから外れているが、引っかかる発言だったのでピックアップ。

「フジテレビがなんか変な報道していて、オウム、今のアレフですか?が麻原への回帰を強めてると。
いうことで、オウムの中でユダヤ陰謀論というのが吹聴されていて、特にオウム事件はユダヤ権力、フリーメーソンによってオウム真理教が陥れられたと言うような説明までしてると。
場合によってはわたくしあたりの動画も参考に使われていると。
教科書に使われているという話なんですが、もし私の動画を使うんだったらば、是非ともですよ、ぜひとも『オウム=統一+創価+北朝鮮』!『後援はCIA』とはっきりと信者に教えていただきたいです。」
(07/08 1:57)

どっからどこまでがフジの報道なのかわかりにくいが、おそらくは麻原への回帰を強めているという部分までだろう。
残りの部分はおそらくインターネット上の意見などに基づいているのではないかと思うのだが、リチャード氏は少し誤解しているように思える。

オウムがユダヤ陰謀論を唱えていたのは、地下鉄サリン事件よりも前からの話である。

かつてオウム真理教が発行していた雑誌『ヴァジラヤーナ・サッチャ』の目次に目を通すと、宗教、オカルト、陰謀論に手を出しているのがわかる。
陰謀の首謀者はユダヤ人だったり、フリーメーソンだったり、イルミナティだったりとバラエティに富んでいるが、第8号では阪神大震災人工地震説に手を出しているし(このことを独立党の主張がかぶっているという指摘は少なくない)、第10号ではユダヤ陰謀論を特集している。

第6号では、「アシュケナジーユダヤ人=ハザール人」やホロコースト否定、「アンネの日記偽造説」などに手を出しており、これらの話題はいずれもリチャード氏の主張とかさなっている(ただし、オウムはヒトラーをユダヤ人とは考えていなかったようである)。

どちらか一方がもう片方を真似た(発表された順序から言えばリチャード氏が絶対に後なのだが)ということはないだろう。
単に両者の主張の元ネタが同一であるという程度のものだろう。

 

こんな人に熱烈に支持され、あまつさえ「ネット上で小沢さんにいちばん近い」なんて吹聴され、小沢氏もさぞ迷惑なことだろう。
唯一の救いは、こう主張している連中が実は相当にマイナーだということである。

 


《参考動画》
2012.11.30リチャード・コシミズ東京講演会

《参考記事》
わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵』(独立行政法人物質・材料研究機構
バイオ燃料に新たな可能性』(NHK WEB NEWS
株式会社コンティグ・アイHP
南鳥島でレアアース発見 日本は資源大国になれるのか』(J-CASTニュース
自動車・家電輸出がそんなに重要か(NBOnline、三橋貴明)・・耐久消費財の輸出対GDP比率は、1.652%』(★阿修羅♪

“「出番」らしい” への 4 件のフィードバック

  1. 昨日今日は不正選挙不正選挙うるさかったですね。惨めな言い訳で笑わせてもらいました。
    RKとその仲間たちはどんな結果がでたら正選挙だと認めるのでしょうか?未来が勝てばよかったか。

    荒田先生ですが、地道に研究されてるだろうに妄想お化けにつきまとわれて迷惑ですね。
    もう縁切れてますよねー。

    1. 未来の党が相当数の議席を確保して、新刊のタイトルよろしく「日本独立!」と叫んで年末を迎えたかったのでしょうね。

  2. ものすごいイタイ人ですね。

    最近、RKの日記は読んでません。読んでたら、頭が痛くなるので。

    不正選挙ってなんなんでしょうね。未来が維新ぐらいの議席を取ってたら、もしかしたら、不正と言わなかったかもね。

    1. 選挙公示前が61議席ですので、維新と同じくらいだと「減少」なんですよね。
      増えてないと怒るかもしれません。
      まあ、彼の機嫌など忖度してやる義理もないんですけどねw
      とりあえずは不正選挙Tシャツを着ているおっさんの馬鹿っぽい外見などを想像してニヤニヤしてはいかがでしょうか。

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