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年末おすすめはできない動画

12月は師走というだけあって忙しく、リチャードコシミズ講演動画2本見てメモをする程度でした。

今回見たのは以下の2つ。

2010.11.06 名古屋講演会 【日本らしい日本を取り戻そう!日本人らしい日本人に回帰しよう!】

2010.11.20 京都講演会 【世界ゴロツキ共同組合】

講演会動画は毎回2時間から2時間半程度。長丁場な上にハイペースでアップロードされるので、なかなかすべてを見切るということは難しく、過去のものでもすべてを見ることはできていません。

この二つの動画に関して紹介したいと思います。

■2010.11.06 名古屋講演会 【日本らしい日本を取り戻そう!日本人らしい日本人に回帰しよう!】

内容は、「バブル期はよかったと懐かしむ55歳が『今の若いもんは……』とこぼす動画」である。
とにかくバブル期、高度経済成長期の景気を「良い日本」として語り、現在の若者をなげくのである。

これがどのくらい独立党員の需要にかなっているものかは不明だが、講演会は大勢が訪れていたようである。

リチャード氏によると、昔はよかったが、今はまるでほかの国だという。

☆「素晴らしかった日本人」とは?
昨今では日本人の良い特徴が消えてしまっているというリチャード氏。
良い特徴とは「誠実、謙虚、慎み深い、紳士的、勤勉、実直、粘り強い、穏やか、知的、論理的、清潔好き」なのだそうだ。語っている本人にも足りてない点だと思ったのは自分一人ではないと思う。

どうしてそんなにももともとの日本人が優秀なのかというと、以下の5つの要因が考えられるという。

  1. 混血民族だから
    混血種は頭がいいことがよくある。
  2. 生魚の多食(DHA)
    生魚をよく食べるからDHAの摂取量が多い。これは他の民族にも当てはまるので一概には言えない。
  3. 明確な四季
    季節の変化に対応するために、能力が開発されたという説がある
  4. 入浴習慣(血行促進)
    お風呂入ると血行がよくなるから、頭に血がいく。だから頭がいい。(リチャード氏オリジナル)
  5. ユダヤの血脈
    実は日本人にはユダヤ人の血が流れているから。日本人はスファラディ系ユダヤ人の末裔。アシュケナージ(偽ユダヤ人)ではない。

・・・・・・とまあ、これらのいずれかかあるいは複合的なものによって日本人は優秀なのだそうだ。
どれも説得力が今ひとつなんだが、5個あればどうにかなるだろうか。

☆どのように悪くなり、その原因は何か?
で、どう世の中が悪くなったかというと「社会のキャバクラ化」がおきたのだという。
こういうとものすごいものを想像しそうだが、要は「女子高生とかがキャバ嬢っぽい化粧をしていること」や「若いサラリーマンが先のとがった靴を履くこと」だという。
当然(?)渡辺喜美の髪型はアウトで、用意した画像を切り抜いたりしている。
「社会の」という枕詞の割にはファッション・見た目に終始しており、たいした話ではない。

現在の若者のトレンドに一通りケチをつける一方で、自分の若かったころを懐かしんでいる。
自分の若かりし頃、女子高生は化粧なんてしないし、異性との交際などもしながらもちゃんと勉強をして学校も行っていたし、バブル期には日本のビジネスマンはプライドを持って仕事をしていたという。 

では、なぜ日本人がそこまで悪くなったかというと、当然金融ユダヤ人の陰謀である。
「ゆとり教育」は学生をダメにする陰謀で、「終身雇用・年功序列の崩壊」が企業をダメにする陰謀だそうな。
ただこれは過去の著作でもいってたので新しくはない。

☆どうしたら日本は復活するのか?
小泉・竹中改革を白紙に戻せば日本は復活するそうである。これだけ。

また、ちなみに官僚になるべき理想の日本人像についても語っているので、以下のような人が日本を担えばさらにOKなのだろう。

  • 田舎に10年に1度くらい出るくらいの優秀さ
  • 親は漁師なんかをやってんだけど、その子はたまたま勉強ができた
  • お金はないけども、東大に合格して奨学金で在籍(寮でバイトをしながら生活)
  • そして財務省に入ってキャリアを積んでいく。
  • 性格もよくて勤勉

・・・・・・なんだか昔懐かしの清貧の苦学生である。
名門中学・高校を卒業してきた富裕層の子供ではなく、こういう人が東大なんかに入れるような公平さが実現すれば日本は絶対によくなるのだそうな。
少子化時代にずいぶんなえり好みである。

 

■2010.11.20 京都講演会 【世界ゴロツキ共同組合】

こっちの動画についてはあまり書くことがありません。
なぜなら、過去の講演会でもしてきた話を繰り返しているからです。

本来のリチャード・コシミズに求められている話題は、どちらかといえばこっちの方なんでしょうが、何度も聞いてるので食傷気味です。

ただ、アセンション詐欺の話に言及があったので、そこだけは貴重でした。

☆隠れユダヤ人の話
スターリン、ヒトラーがロートシルト家の血をひいたユダヤ人。
クリントン元大統領はウィンスロップ・ロックフェラーの子供。
さらにゲバラカストロもユダヤ人なのだそうである。

☆アセンションはどうしてやって来ないのか
結局『2012年 アセンションはやって来ない』はどうやってアセンションが防がれるのか、具体的な部分はさっぱりわからなかったが、この動画では語られている(といっていいのかな?)。

曰く、2012年までにデビット・ロックフェラー、池田大作、文鮮明が亡くなり、それまで権力が一極集中していたそれぞれの組織では金や権力をめぐって内紛が発生。
資産の奪い合いという醜い争いを起こしてバラバラに分裂してしまい、アセンション詐欺どころではなくなる……
のだそうな。

「なるほど。だったらそれを本に書かんかい!」と思うのもつかの間、もしこのシナリオの通りになるのだとしたら、独立党もリチャード・コシミズも何にもしなくてもいい(あるいは何の役割も果たさない)、ということに気づいてしまった。

しかもこれは『2012年 アセンションはやって来ない』の内容(日本人の手によって未来が勝ち取られる)と食い違ってきてしまうのである。あくまで小説は小説ということだろうか。

 

■今回の名言

本やブログでは見られない、リチャード氏の熱い言葉をみられるのが、講演動画の醍醐味だろう。
文章で書かれているだけでは単なる「おめでたい人」でも、強烈な情熱が加わる講演会の演説では「ヤバさ」が加味されて「アブない人」にランクアップするのだ。
今回見た2つの動画で「熱かった」発言を紹介。

「その頃(バブル期)は我々は本当胸張って生きてた。『俺は日本人だ。俺たちの作るものが世界一だ。何を作らせても俺たちは世界一だ』という自負のもとに、我々はモノを売ってました。だから、誇り高いねえ、民族だった」
(名古屋講演会より)

サラリーマンが一気に民族の誇りへとパワーアップ。会社に人生を捧げてきた世代の胸を打つ言葉である。

「リチャードコシミズ見ててください、物事の判断の速さ。なぜかって言うといろんな経験しているから。たっぷりいろんな嫌な思いして煮え湯を飲まされてきたから、どうしたらいいかすぐにわかるの!
0.1秒もいらないんだよ!
何があってもへらへら笑ってるのは、どう対応したらいいかわかるからだよ。何があっても関係ない!
どんなCIAが汚い手を使っても全然関係ない、屁でもない、そんなもの。
今までの僕らのやり方見てればわかるでしょ、こっちのがずっと頭がいいんだよ!
日本人が一番頭いいんだよ!日本人に勝てるCIAのユダヤ人なんて一人もいないんだよ!
それは、間違いない。
ここに集まってる独立党のメンバーとその心情党員の皆さん、あなた方が世界で一番優秀です!間違いない!
だから我々が日本を引っ張っていけば、我々が世界を引っ張って行くことになるんです
そういう気概を持ってこれから胸を張っていきましょう、そして本来の日本の力を取り戻した時に、我々の戦いは終わる」
(名古屋講演会より)

すぐに判断をするのは結構だが、間違いが多い気がするのは、どうしたことか。
日本や世界を引っ張るとは、やはり世界を支配したいということなのだろうか。

「我々正しいことやってるんだもん、こんな正しい集団がどこにあるよ!?我々だけですよ、本当に正しいのは。邪心も何もなく、本当に自分たち、そして自分たちの子供や家族のことを考えるとこうするしかない、というそういった心の動きでもってうごいてる。金銭関係とかそんなもんじゃない。そういうものは全く無関係に物事を運んでる。だから我々の行動は人の心をうつし、どんどん人が集まってくる」
(名古屋講演会より)

「正しい」という言葉の定義が世間のそれとは違うんじゃないかと錯覚を覚えてしまう。
元独立党員を描いたリチャード小説は邪心に満ちてると思うんだが。

「ぼくはね、確証があるからそういうこと言うんじゃなくて、そうであれば話の筋が全部通ると、そういう前提で全部言ってるんです」
(京都講演会より)

これは「ジャーナリストが言っちゃいけない禁句」の上位に入りそうな一言である。
客観的な証拠や複数の証言によって裏付けられた事実ではなく、主観で全部決めると宣言しているに等しい。

「オウム事件のことを正しく報道しているのは、リチャードコシミズ独立党だけです。ほかはみんなウソを報道している、もしくは理解していない、ただの馬鹿。ただの馬鹿か、嘘をついてるかどっちか。私はどちらでもない
(京都講演会より)

まったくをもって同感。冗談や商売ではなく、本気で妄想を語ってる人だと思います。

「僕もね、ある程度ね、予知能力ある!さすがに、ここまで来ると予知能力があるね。だからね、だいたいそういう風にね、まとまると思う。何もなく終わって、で、本来権力の座にあるべきでない人たちは去っていくことになると思う。」
(京都講演会より)

自分の予測に絶大な自信を見せている。それにしても「ここまで来る」って何が?電波?

「ちょっと宴席でもって飲んだワインに何か入ってる。て言うのはよくある話で、僕も実はあるんです。ただ、僕の場合はあまりに生命力が強すぎて死なないんですね(笑)。ハルシオンってやつかもしんないな」
(京都講演会より)

自分の暗殺体験をずいぶんと気さくに話す人である。この発言がいつのことさしてるのかよくわかりませんが、心臓発作で倒れた時のことを言っているのかもしれない。

我々は最高の知性なんだから!これ以上の知性はこの地球上に存在しないんだから。その最高の知性にね、レベルの低いバカの謀略なんて、そんなもの通用するわけないじゃん。頭のレベルが違い過ぎる
(京都講演会より)

恐ろしいまで、という形容でも足りないくらいの自信。
それほどの知性がありながら、元幹部が次々と悪の組織にリクルートされるのを防げないのはどうしてなのだろう?

・・・・・・と、以上が今回見た動画の紹介です。
この他、オクラホマシティ連邦ビル爆破事件では核兵器が使われたとか、荒田技術に進展があったけどまだ公表しませんとか、講演会の最後に開かれる質問コーナーもなかなかでしたが、書くのもしんどくなってきたのでここまで。

興味があって、お正月に時間が湯水のごとく余っている、という人はぜひ自力でご覧ください。

おまけ――

1995年には地下鉄サリン事件と、連邦ビル爆破事件の2つの事件がユダヤの陰謀で起こされたそうですが、オウム真理教が核兵器を作っているというカバーストーリーの下地がなかったために核兵器は使われなかったそうです。

連邦ビル爆破事件の主犯ティモシー・マクベイが核兵器を作っているというストーリーの下地はあったんでしょうか?聞いたことないんだけど。

《参考動画》

2010.11.06 名古屋講演会 【日本らしい日本を取り戻そう!日本人らしい日本人に回帰しよう!】

2010.11.20 京都講演会 【世界ゴロツキ共同組合】

リチャード小説を読んで その4 「2012年 アセンションはやってこない」

なんというか、すごい本である。

個人的には、前作を凌ぐ代物であると考えている。

この本はもともと、6月に配本する予定であったが、実際に配本が開始されたのは7月末。事情についての具体的な説明を見かけたことがないんだが、どうも今年7月の参議院議員選挙について記事を書いたためだろう。

それではこの本について紹介させていただく。

メインの内容である陰謀論そのものについては書かないのであしからず。ざっくりとどんな種類の陰謀論が書いてあるかは「リチャード小説を読んで その2 内容編」で確認してくださいな。

■アセンションはやってこない、ていうかあまり顔を見せない。

この本ではアセンションを批判的に扱っているわけだが、どうにもいい加減というか、恣意的な理解という感じが否めない。

2012年のアセンションという話は、みんなが本当にばらばらに好き放題言ってるような代物で、何か一つ「これ」ということができない。

むしろこの本で言っているような終末論や滅亡論は少数派ではないだろうか。たしかにテレビや映画では2012年の滅亡説が飛び交っているが、それは「アセンション」とは直接的な関係があるとは言えない。

「アセンション」も「地球滅亡説」も2012年におこるとされているが、それはマヤ暦が2012年12月で終わるということをそれぞれが自分たちに都合よいように解釈した結果であり、同じ話というわけではない。

ニューエイジャーの言う「アセンション」話は「次元上昇」という現象が起きるというはなしであり、3次元がより高次元になるとか、物質主義が終わって精神的な豊かさを求める時代が来るとか、そういう話である。
そのきっかけとなるのが「フォトンベルト」や「大災害」であったりするわけだが、とにかく原因も結果も、諸説分かれていて統一が図られていないのだ。

しかも、リチャード氏は滅亡説ということで新約聖書のヨハネ黙示録にある終末的預言(ハルマゲドン)ともいっしょくたにしていて、さらに一般の(?)認識から離れていく。

そんなめちゃくちゃな理解に基づいた「アセンション」を陰謀と結び付けているので、説得力には非常に欠ける。
リチャード氏よりも古今東西の「アセンション」に詳しい巷のニューエイジャーがこれを読んでもピンとこないのではないだろうか。それも新約聖書まで持ち出してくるので、完全にニューエイジャーにとって「きいたことのある話」ではなくなってしまうと思う。

そして、アセンションが陰謀とどうつながるかというと、これに関する説明がすごくはしょられている。

どうも世界の大都市の上空で純粋水爆が爆発して、その際に起きた電磁波で重要な金融情報などが入ったパソコンが火を噴く。
その際、上空にオーロラが出るので、それがアセンション話で流布されてる光なのだとみんなが思い込む(それでだませるのはせいぜい、世間にそれほど大勢いるわけではないニューエイジャーの中でも特にバカな人だけだと思うが)。

そしてその後、極東で戦争が起こるということである、らしい。

この過程について説明が全くない
純粋水爆の高高度核爆発からどう極東戦争につながるのか全く説明がないのである。
戦争起こすだけならアセンションは必要ないと思うぞ。

本のタイトルになっている「アセンション」の陰謀話はそこそこに、後の大半は最近あった出来事(2009年10月に右翼団体とおこしたいさかいと、2010参院選挙が中心)とこれまでの陰謀論のおさらいで埋め尽くされている。

■謎の会話

この本は前作同様、小説である。

このことはうっかりしていると忘れそうなのでことさらに強調しなくてはいけない。そういう本でもある。

小説というと主人公やほかの登場人物たちの活躍などを描いていくものだと思うのだが、特に何もしない

基本は地の文と陰謀について会話することであり、読んでいても動的なイメージというものは湧いてこない。

主人公(らしい)陰謀の首謀者ロッケンフェルター老も、それを暴く立場のジャーナリストKも、あと素性は知らないが一般市民代表も、みんな地の文との会話してばっかりなのである。
読んでいてちょっとアニメ版のエヴァンゲリオンの最終2話を思い浮かべてしまった。

一度に複数の登場人物が登場することもほとんどなく、説明的なやり取りで陰謀について語っていく。
また、誰も登場せずに地の文で延々と説明が続くこともしばしばある。

ちなみに、この本の中でロッケンフェルター老は陰謀を地の文に暴かれて慌てふためく役に徹している。
彼が読者に自慢げに説明しようとする陰謀を地の文がどんどん先回りしてばらしてしまうのである。

黒柳徹子と「徹子の部屋」に呼ばれたゲストの若手芸人みたいなもんである。
その中のロッケンフェルターのうろたえ発言はなかなかバリエーションに富んでいて面白いので紹介しておこう。

「なんだ・・・・・バレてるのか。」(109p)

「う~そこまでわかっているとは。だが、アフガンを占領した目的はさすがに、おまえにも・・・・」(110p)

「く、くそ。何もかもわかって・・・・だがな。その前にイラクを攻撃した目的は、お前も読み切れなかっただろう。フセインが大量破壊兵器を・・・・・」(110p)

「ふっふっふ。イラク侵略の最大の目的が(ドル防衛)だったと読み切ったのは、さすがだ。だが同時に達成したほかの目的はさすがに・・・・」(111p)

「ば、馬鹿もん!ワシが911で目論んだことは、その程度ではない。わしは一兎や二兎をおったのでない・・・・」(112p)

「そ、それだけではない。ワシの究極の目的は・・・・」(112p)

「その通りだ。後にレーニンも、明石大佐には感謝すると言明している。ロシア革命の立役者は日本人だったのだ。」(114p)

「なんだ、この日本人には、なにもかもわかっているのか。」(115p)

浮いたり沈んだり、実に忙しいリアクションの数々である。

ところで、「お前も」や「この日本人には」などという表現が発現中に飛び出してくるが、この地の文はいったい何者なのだろう?

この地の文。陰謀をすべて知っているすごいやつなんだが、第三章にジャーナリストKと地の文が会話している箇所があるので、Kとは別人のようである。

ともあれ、とにかくすごいひとり相撲である。

■衝撃のラスト

そうこうして300pに渡る陰謀論を読んだ後(過去のリチャード氏の発言のおさらいばかりなのでしんどい。しかも田池太作が個人資産をユダヤ人に献上しただなんだって話が3回くらい出てきたぞ)、小説は一気に佳境に入る。

2010年の参議院議員選挙で、Kとその信者ネット上の優れた人士が国民新党新国民党や敏いとうTいとうを応援したというのに、議席一個も取れなかったのはユダヤが画策した不正選挙だ、という展開で盛り上がり、
そして

アセンションは、彼らの目論見通り捏造されるのか、それとも、われわれ日本人の手で阻止されるのか?

Kをはじめとする日本人覚醒者の戦いは、成功を収めるのか?(336p)

なんとアオリである。週刊少年マンガか、これは?

そして次のページには更なる衝撃の展開が待ち受けていた。

オウム事件、911自作自演テロ…追い詰められたウォール街の暗黒勢力の最後の謀略は、2012年末に敢行されんとしていた。だが、アセンションの名を借りた金融テロ、それに続く地球規模の純粋水爆テロを阻止したのは、極東の島国の名もなき市井の人々だったのだ。
<中略>
ウォール街の金融詐欺師たちは全てを失い、訴追され、丸裸になって消えていった。無数の名もなき日本人たちが、世界に真の平和と幸福をもたらしたのである。
あれほど苦しい戦いだったのに。あれほど苦心惨憺してやっと勝利を得たのに。まるで何事もなかったかのように、淡々と国家の再興に励む日本人たち。彼らこそが、2012年偽アセンションの後の世界をリードする牽引役となるのである。21世紀、人類は新たな道を歩き始めるのである!
(337p)

読んでいて、おもわず「うおぉーーーーい!!」と声に出して突っ込んでしまった。
結局、陰謀がどう図られたのか、それをどう阻止して見せたのか、小説として一番盛り上がる部分が要約で済まされるとはどういうことだ!!

本当に、この後にも前にも一切、アセンションの陰謀とその阻止の方法について具体的な方法が書かれていないのである。
(建前とはいえ)フィクション小説なんだから、そのあたり描くべきではないのか。

もちろんリチャード氏は、インターネット上で陰謀を先回りしてばらせば全部阻止できると考えている(そのことを「ネット力」と呼んでいる)ようなので、説明不要と考えた可能性はある。
それにしたって「真実」がどんなふうにみんなに伝わって行って社会的にどういうことが起きるのか、それくらいは書いてほしいもんである。

しかも、しかもである。

実はこの文章、本の内容紹介として同一の文章がいろんなところで使われているのである。

配本前の段階で、リチャード氏のブログや販売告知専用のページなど、本を入手する前に何度も見た文章である。
また、本の裏表紙にも同じ文章が記載されている。

本の紹介として上記のような文が書かれていたなら、普通その要約されている部分を具体的に知りたいと思って買うものだろうに。使いまわしを読ませるとはどういうことか。

このあとには謎の人物が二人(あるいはそれ以上?)でてきて、これまでのおさらいとばかりに陰謀や右翼系団体の悪口、常温核融合技術について口々に語り、最後にこう締める。

「日本万歳だ。日本人の底力バンザイだよ!」

……なんじゃそりゃあ。

■だがしかし、まだこんなにページが余っている!

こうして、物語(?)は一応の結末となる。ここが354ページ。

だが手にした本にはかなりのページが余っている。

この後の多量のページはなんと宣伝である。

355pから432pまでじつに7778ページ!!
本書の6分の1以上が宣伝というこの巻末付録にはびっくりである。

過去の著作や講演会のDVDを単にカタログ状に紹介すれば、こんなにページを食うことはないのだろうが、本の内容や講演会の開催場所などの具体的な情報、そして党員や心情党員たちから寄せられた賞賛のメッセージなどを多数記載しているため、通常ではありえない分量になってしまっているのである。

出版後の講演会の映像で「なぜか本が厚くなってしまった」などと話していたが、はっきりってこの宣伝ページのせいである。

この部分を7ページ程度に抑えられれば、362p。
前作の「小説911」よりも少ないくらいなのだ。

「2012年 アセンションはやってこない」、この本は間違いなく「小説911」を超える奇書となったとかんがえている。

本の内テーマが前作に比べて著者オリジナル寄りになったこと、小説としての基本的なスタイルから逸脱した書き方になったことがその大きな要因であると思う。

自作の予定について現時点では声明が出ていないが、次はいかなる本になることだろう。
ウォッチャーとして期待させていただこうと思う。

おまけ–

リチャード氏の著作2点についての記事はこれにて終了。次回からは元通りの記事になると思います。

結局合計何文字書いたんだろう……。

《参考文献》

2012年アセンションはやって来ない書籍紹介ページ

【修正2010.11.4】

一部事実誤認に基づいて書いていた部分を訂正しました。

しかも、リチャード氏は滅亡説ということで旧約聖書のヨハネ黙示録にある終末的預言ともいっしょくたにしていて、さらに混迷を極める。
ユダヤ陰謀論を唱えるリチャード氏にとって、ユダヤ教の経典である旧約聖書と絡めた方が、ユダヤの陰謀として説得力が増すだろうという考えなのだろう。

「ヨハネ黙示録」は新約聖書に書かれていたものですね。すいません。
以下のように直しました。

しかも、リチャード氏は滅亡説ということで新約聖書のヨハネ黙示録にある終末的預言(ハルマゲドン)ともいっしょくたにしていて、さらに一般の(?)認識から離れていく。

【修正2011.5.23】

宣伝に費やされていたページの数を「77」から「78」へ修正しました。