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広告ラッシュの謎

今回の記事は、過去2記事で少しだけ触れた、リチャードコシミズ氏の書籍の広告について紹介。

最初に新聞掲載をにおわせる記事が4月12日の『明日、4月13日のT新聞とC新聞の朝刊の紙面にご注目ください。』であった。
リチャード氏が普段から信頼を寄せているメディアはごく限られており、そこから判断するにT新聞は東京新聞だろうと判断はついたが、広告を出すつもりかどうかについては何とも言えなかった。

新聞広告は安くなく、書籍を出そうとするたびに費用の寄付を募っている独立党の台所事情の厳しさからすると、その費用の出所がわからない。
また、4月という時期に何の広告を出すのか?というのも疑問であった。

すでに『12・16不正選挙』は出版から3か月が経過していて新刊という感じではないし、不正選挙に関する意見広告としては中途半端な時期に感じる。
衆院選からは4か月経過していていかにも話題が遅いし、参院選を意識してのことならば逆に早すぎる。

結局出された広告というのは『12・16不正選挙』の書籍広告であった。
それも東京新聞・中日新聞の2紙にとどまらず、次々と書籍広告が地方紙に掲載されたのである。

 

◆「著者インタビュー」

そして広告に次いで驚かされたのが、日刊ゲンダイの著者インタビューである。

日刊ゲンダイさん、RKインタビュー記事を全面掲載いただき大変感謝します。』で紹介された日刊ゲンダイの記事には、1面丸ごとを使って、リチャード氏の書籍が「著者インタビュー」という形で紹介されていた。

正直、この話を目にした時「いくら小沢氏の世間的なイメージが悪かったり、あるいは注目されてないことに不満があっても、この人の本を紹介しちゃダメだろ」と思い、非常に嘆かわしく感じた。

だが、これについては私の誤解だった。
かつてリチャード氏のブログに頻繁にコメントを寄せていて、独立党(あるいはリチャード氏)からの評価もよかったものの、不正選挙説からは敵対するようになってしまった「定額給付金男」氏のブログで、リチャード氏のインタビュー記事が広告の一種であることを指摘する記事が出されていた。

「記事広告」を取材記事だと偽るリチャードコシミズ氏はジャーナリスト失格どころか詐欺師そのもの』などの記事によると、上部に【特集】と書かれている頁に掲載されているのは正式な記事ではなく、記事に見せかけた広告であるとのこと。
通常の記事ではない為【特集】の文言が印字されているのだという。

この話について正確なところを知りたくなったので、当方でも日刊ゲンダイの広告代理店である創心企画 株式会社に問い合わせてみた。

その結果、【特集】と書かれたページの記事については、記事広告企画であるという回答を得た。
「編集タイアップ記事広告」というのが正式名称らしく、新聞社の記者が広告主のPRしたい内容を取材をもとに記事を作成し、話題作りに役立てるためのものであるという。

つまりかの「著者インタビュー」は、日刊ゲンダイが政治的な立場に共感してリチャード氏にインタビューをして記事を作成したのではなく、広告費を払ってもらったから、ビジネスとしてリチャード氏にインタビューをして記事を作成したのである

広告であることを見抜けずに、購買意欲を沸かせるどころか日刊ゲンダイに対して不当に不快感を感じてしまったことをここにお詫びしておく。

 

◆出所不明な広告費

日刊ゲンダイのインタビューの件が誤解であったことは、それはそれで一つの決着ではあるのだが、あの記事が全面広告の一種であると理解するならば、「一連の書籍広告の費用はどうやって捻出しているのか?」という疑問がより深まってくる。

問い合わせの際に創心企画の担当者の方からいただいた資料から判断すると、東京版で1頁すべてを編集タイアップ記事広告にした場合の基本の費用は1,650,000円である。

ただ、現在もこの料金で編集タイアップ記事をだせるかは少々疑問である。
創心企画の広告料金一覧によると、全面広告の料金は東京版のみの場合で基本料金1,785,000円となっており、記者を派遣してインタビューを行い、記事を作成する手間を考えれば、通常の全面広告よりも編集タイアップ記事広告のほうが安くなるとは考えにくい。

「少なくとも1,650,000円」と考えておくにしても、この広告ひとつで独立党の年収を大幅に超えるのではないかと思う。

ましてや出された広告はこれ一つではない。

次項では総費用の推定金額を書かせていただくが、定価で4,000,000円以上が費やされていると見積もっている。

独立党員から徴収する会費が年4,000,000円に達するには、党員が3200人ほど必要になるが、独立党の発行している会員番号は2011年の時点で1353番である(『RK独立党賛助会員資格の更新をお願いします。(2013年3月末まで)』より)。
2012年末までに3200番まで埋めるほどの人が入ったと想像するのには無理があり、会費で賄っているとは思えない(過去に退会者もいることを考えると、実際には3200番より多くの会員番号が発行されてなくてはいけない)。
講演会に参加費を支払って見に来る人間がそれほど多いとも思えないし(参加費は2000円ほどかかるが、会員になれば無料)、不正選挙グッズが爆発的に売れているなら、そのことをリチャード氏が報告しているだろう。

ここで気になるのが「Tさん」という人物である。

5月27-30日の静岡新聞、北海道新聞と北國新聞の紙面にご注目ください。
農業新聞は5月29日から。
また、非常にインパクトのある●●●●●は、6月17、24日に注目。妨害が入らなければ….
まだまだります。もっとすごいのが。
Tさんに感謝。
(『5月27-30日の静岡新聞、北海道新聞と北國新聞の紙面にご注目ください。』より)

6月5日~8日の上毛新聞、熊本日日新聞、新潟日報、愛媛新聞、京都新聞の紙面にご注目ください。
Tさんに感謝。
(『6月5日~8日の上毛新聞、熊本日日新聞、新潟日報、愛媛新聞、京都新聞の紙面にご注目ください。』より)

全国の水産業関係者の皆さん、明日、6月12日の水産経済新聞の紙面にご注目ください。
「燃料高騰にお怒りの方へ!!
TPP問題を含め真の原因はここにあった!
12・16不正選挙」
Tさんに感謝。
(『全国の水産業関係者の皆さん、明日、6月12日の水産経済新聞の紙面にご注目ください。』より)

この記事掲載でさらに衆目が「不正選挙」に集まり、裏社会が呪縛されることを確信しています。記事掲載にご尽力いただいたTさん、心から感謝します。
(『日刊ゲンダイさん、RKインタビュー記事を全面掲載いただき大変感謝します。』より)

書籍宣伝の折衝はすべて有志の方にお任せしており、RKはお膳立ていただいたところに乗るだけです。Tさん、いつもありがとうございます。あなたは救世主です。
(『リチャード・コシミズ氏、日刊ゲンダイで語る』)

一連の広告に関して、リチャード氏がたびたび「Tさん」に対して謝辞を述べているのがわかる。
「救世主」とまでなっている。

単純な推測としては、「Tさん」が書籍広告という形での寄付を申し出たのではないかというものがあげられる。
寄付やその他の方法(生活費や貯金に手を付けたとか、宝くじに当たったとか)で独立党に多額の臨時収入があっただけならば、3ヵ月前に出した本の広告以外にも使い道はありそうだからである。

(書くことがあるならば)次に出す書籍の出版費用やら、不正選挙対策資金(怪しげな盗撮グッズなど)、あるいは今年の9月11日にやりたいと言っていたNYでの講演会のための渡航費や会場のレンタル料など、お金があれば独立党としてやってみたいことは他にも考えられる。

広告以外のお金がかかる様な何かを独立党が実施しているという情報があれば、臨時収入の可能性も捨てがたいのだが、広告しかやってない現状を考えると、やはり使い道を最初から限定した形での寄付を受けたと考えるべきではないかと思う。

 

◆総広告費用はどのくらいなのか

最後に、現時点までの広告費用の推定金額を示したいと思う。
金額は各紙のHPの広告料金表を参考にしたか、あるいは問合せを行って得た回答に基づいている。

ただ金額はあくまで単発で出した場合の基本料金であって、実際にRK側が支払った額ではない
広告代理店を通せばこれらの額よりずっと安く済むのではないかと思う。

以下に示す価格はあくまで参考レベルであり、実際にはこれよりもかなり安い金額で済んでいる可能性もあるので、ご注意いただきたい。

掲載日 掲載紙 広告サイズ 基本料金
4/13 東京新聞 縦3段 × 横1/8ページ 177,000
4/13 中日新聞 393,000
4/20 日刊ゲンダイ 縦2段 × 横1ページ 420,000
4/25 福島民報 縦2段 × 横1/2ページ 233,000
4/26 日刊ゲンダイ(名古屋版) 縦2段 × 横1ページ 105,000
5/2 河北新報 縦3段 × 横1/8ページ 75,000
5/12 長崎新聞 37,500
5/13 中國新聞 90,000
5/15 琉球新報 37,500
5/27 静岡新聞 100,000
5/29 琉球新報 37,500
5/29 日本農業新聞 54,000
5/30 北海道新聞 164,500
5/30 北國新聞 91,500
5/30 富山新聞 91,500
6/5 新潟日報 84,000
6/6 上毛新聞 53,000
6/6 熊本日日新聞 72,000
6/7 京都新聞 126,000
6/8 愛媛新聞 52,500
6/12 日刊水産経済新聞 縦3段 × 横1/2ページ 120,000
6/17 週刊ポスト 縦全段 × 横1/3ページ 300,000
6/22 日刊ゲンダイ 全面(記事広告企画) 1,650,000
6/24 週刊ポスト 縦全段 × 横1/3ページ 300,000
7/8 週刊ポスト 全面 800,000
      計5,664,500

今回の記事作成に当たり、問い合わせに応じてくださった各社の広告担当者の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。

※もしこれらの金額に誤りがあったとしても、それは当ブログのミスによるものです。
日刊ゲンダイ4/20分、6/22分の料金はあくまで東京版のみ掲載の場合の額であり、ほかの地方版でも掲載していた場合はさらに料金がかかります。
サイズ・料金が空欄になっているものは現在確認の取れていないものです。

RKブログの記事『津市の「トレモロス看板」設置完了!』によれば、津市に書籍の看板も立てたようである(なんともVow的な雰囲気を醸し出している……)。
この製作費+広告代が上記金額に上乗せされるとなると5,000,000円を超えることになる(とはいえ、新聞広告料金が安く済んでいる可能性があるので、そこまでお金がかかっていないかもしれない)。

ちなみに看板設置予定の場所は、伊勢街道沿い、津市立藤水小学校付近である。
Googlemapのストリートビューの威力を思い知らされた。

【7/13 追記】
4/26日刊ゲンダイ(名古屋版)と、6/6熊本日日新聞、7/8の週刊ポストの広告サイズと料金を追加し、4/20の日刊ゲンダイの広告サイズと料金に関する情報を修正しました。


《参考記事》

明日、4月13日のT新聞とC新聞の朝刊の紙面にご注目ください。
日刊ゲンダイ4月20日号(19日発行)の10頁下段を参照ください。
福島の311人工地震ご遺族、被災者の皆さん、4月25日の福島民報の紙面にご注目ください!
福島民報さん、「12・16不正選挙」広告の掲載、ありがとうございます。
明日、4月26日の日刊ゲンダイの紙面にご注目ください。
河北新報さん、広告掲載ありがとうございます。一面掲載です!
中国新聞さん、12・16不正選挙書籍広告の掲載、ありがとうございます!
長崎新聞さん、12・16不正選挙書籍広告の掲載、ありがとうございました。
琉球新報さん、12・16不正選挙書籍広告掲載、ありがとうございました。
静岡新聞さん、12・16不正選挙書籍広告を一面に掲載いただき感謝します!
北國新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の一面掲載、ありがとうございました。
北海道新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、ありがとうございました。
日本農業新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、誠にありがとうございます。
6月5日~8日の上毛新聞、熊本日日新聞、新潟日報、愛媛新聞、京都新聞の紙面にご注目ください。
新潟日報さん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、誠にありがとうございました。
熊本日日新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の一面掲載、ありがとうございました。
愛媛新聞さん、12・16不正選挙書籍広告の掲載、ありがとうございます。
京都新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、ありがとうございました。
上毛新聞さん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、ありがとうございます。
全国の水産業関係者の皆さん、明日、6月12日の水産経済新聞の紙面にご注目ください。
週刊ポストさん、「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、ありがとうございました!
日刊ゲンダイさん、RKインタビュー記事を全面掲載いただき大変感謝します。
週刊ポストさん、再度の「12・16不正選挙」書籍広告の掲載、ありがとうございました。
津市の「トレモロス看板」設置完了!
richardkoshimizu’s blogより)

「記事広告」を取材記事だと偽るリチャードコシミズ氏はジャーナリスト失格どころか詐欺師そのもの
一票入魂!『選挙マニア総研』より)
上記「定額給付金男」氏のブログは、不正選挙陰謀論より前のリチャード・コシミズ陰謀論に対し肯定的であり、かつ不正選挙以降リチャード氏が裏社会に取り込まれたとするスタンスで書かれています。
「リチャードコシミズ陰謀論はすべて妄想にすぎない」というスタンスの当ブログとは方向性は異なっていますが、記事広告に関する指摘については日刊ゲンダイに対する問い合わせなどを行ったうえでの主張であり、信用できると判断したため紹介しました。

リチャード小説を読んで【番外編】:『12・16不正選挙』

今回は、リチャード・コシミズ著『12・16不正選挙』(以下、本書と略)を紹介。

これまで、『小説911』以降のリチャード・コシミズの著作を読んできたが、この本はその中で随一である。

リチャードコシミズの著作の中で最高のトンデモ本であるとさえ思う。
去年の2作はすごく退屈してしまっていたのだが、今作で不正選挙陰謀論を本にまとめられた形で読んでみると、実にバカバカしくてよいのである。

不正選挙説そのものは、過去記事『不正選挙2012』、『不正選挙諸説』などで取り上げてきたが、改めて本書に書かれている陰謀論にツッコミを入れるかたちで紹介していきたいと思う。

 

◆小説ではない

この本は小説ではない。

過去作では小説という形態をとり、事実とは無関係であるという断りを入れておくことで、内容に根拠がないことや政治家や要人、あるいは宗教団体や民族的・性的マイノリティに対する誹謗中傷の類をごまかしてきたところがあった。

しかし今作ではそういった「安全策」は施されていない。
フィクションであるという断りはないし、人名・党名を当て字で表現するごまかしもない。

ここ最近、独立党が多くの地方紙や雑誌に本書の広告を出していたが、その中で朝日新聞は掲載を断っている(『朝日新聞さんから「書籍広告掲載」を断られました。』)。
本書がこれまで通り小説を自称しているのなら、内容が根拠薄弱な話であっても掲載を断られることはないのではないかと思っていたのだが(とはいえ差別的な表現が引っ掛かる恐れがある)、今回のようにどストレートに書いていればそれは掲載を拒否する十分な理由になるだろう。

とまあ、とにかく小説ではないから今回の記事はあくまで「リチャード小説を読んで【番外編】」なのである。

 

◆不正選挙説-未来の党得票数

本書は、2012年12月16日の衆議院選挙で不正な行為が行われたということを主張している。

かの衆議院選挙では日本未来の党が圧倒的多数の44,600,000票(公式発表では3,423,915票)を獲得して第一党であったはずにも拘らず、ユダヤ金融資本の不正選挙工作によって票を書き換えられ、あるいは密かに票を遺棄されてしまったという。

4,460万票という数はとてつもない数である。
公式発表では衆議院選で第一党となった自民党得票数は約1,662万票なので、3倍近い票をとったことになる。
これを金融ユダヤ人とそれに与するマイノリティーが4,000万票を超える日本未来の党の獲得票をどうにかして減らしたということになる。

ではこの44,600,000という莫大な得票数は一体どこから出た数字なのかというと、以下のような計算式が示されている。

2009年衆院選の総票数70,581,658 x 75 / 69.28%(戦後最高の投票率)=2012年衆院選の総票数(推測)77,400,000 x アメブロ投票比率 72% x 80%(非ネット人口を考慮) = 44,600,000票
(197ページ)

意味が分かるだろうか?
最初これを見た時、私はこの羅列をどのように理解したらいいのかわからなかった。

「アメブロ投票比率」というのは、アメーバブログで非公式に誰かが行ったネットアンケートで導き出された未来の党の得票率である。これはこの数式のちょっと前に出てくることなので理解ができるのだが、最初の方のごちゃごちゃした計算が何を意味しているのかがやたらと複雑で非常にわかりにくい。

これは、「2009年衆院選の総票数70,581,658 x 75 / 69.28%(戦後最高の投票率)=2012年衆院選の総票数(推測)77,400,000」で区切るのが正しいようである(「=」の記号を数学的に正しい用法で理解しようとすると、この数式は「2009年衆院選の総票数=44,600,000票」となり、完全に理解不能になる)。
2012年衆院選の総投票数を推測するためにわざわざ2009年の総投票数を投票率で割って有権者数を計算し、それに投票率75%(実際には比例は59.31%)をかけているのだ。
無駄にややこしい
こうやって無駄な計算をして総投票数(推測)を出し、それに「本当の得票率」である72%をかけたうえ、「ネットをやってるのは有権者の8割くらい」という判断で80%で割って、44,600,000票という票数になったそうだ。

総務省のデータでは当日の有権者数は103,959,866なので、それに75%と72%を掛ければいい。
それだけで済む話を何をごちゃごちゃやっているんだか。

ここで使われている、リチャード氏の考える未来の党の得票率と現実の結果では実に67%も違っているが、この根拠となるのがネットの方が正しいという信念である。

まず挙げられているのがウォールストリートジャーナル日本版で行われたネットアンケートの結果を報じる記事
このアンケートの結果、63%が「未来の党に期待する」と答えたことを根拠にリチャード氏はこのように予測する。

実は、この外国紙の「未来の党に期待するが63%」が真実であり、読売の「期待しないが70%」が嘘まみれなのだ。裏社会は、日本の既存メディアの統制ばかり気を配り、外国系報道機関の日本支社の報道管制にまで手が回らなかったのだ。選挙後の諸所の情報を総合してみても、未来の党の本当の得票率は60%どころか70%に達していたともくされるのだ。
(37ページ)

また、先ほどの計算式ではアメブロのアンケート結果を利用していたが、このように書いている。

本当のところ、未来の党はどのくらいの票を獲得していたのか?12月23日に「アメブロ」でのネットアンケートの存在が報告される。「衆院選では何処に投票しましたか?」のアンケート結果は・・・「未来の党 72%」であった(13.1.9現在では75%)
http://pentatoys.com/qv/r/?id=2024
未来の党の比例区の得票率は、340万で共産よりも少ないことになっている。得票率は、5.69%だ。一方で選挙後のネットアンケートでは75%おそらく75%の方が、真実に近い数字であろう。

裏社会は未来の党の票を十分の一以下に改竄した!そう断言しても大きな誤認ではないだろう。
(196‐197ページ)

ネットでのアンケート結果と、世論調査や実際の得票率が一致しないからネットの方が正しくて世論調査や投票結果が間違っている、十分の一以下にされた!というのである。
十分の一以下にされたという割に、自らの試算では15倍くらいしちゃってるのはいいのか?

ちなみに次のようなエピソードも紹介されている。

ある有志の報告では、ご主人が所属するフラダンス同好会15人のうち、自民党に投票したのは堂々の0人。消費増税・脱原発の話題になり、①選挙に行ったのは、13名。つまり85%だ。②ほぼ全員が反増税・脱原発であり、投票先は未来の党は11名、共産党2名、みんな2名だったそうだ。未来の党支持率は70%=になる。
(197ページ =の位置は原文ママ)

フラダンス同好会の15名というささやかなサンプルを根拠に得票率を語ることも無理があるが、15名中13人しか投票に行ってないはずなのに、投票先の合計人数が15名なのはもっと無理である。

全体の投票率そのものが戦後最低であることにも疑義を申し立てているのだが、その根拠は「投票日に長蛇の列ができている投票所があった」という程度のもの。
長蛇の列が一時的なものかずっとそうだったのか、どこの投票所でもそうなっていたのかを証明しきれておらず、上記の怪しげな計算式で「本当の」投票率を75%に設定している根拠も特にない。

 

◆不正選挙説-未来の党の票はどうなったか

リチャード氏の考えよれば4460万票もあった未来の党の得票が340万票にまで減らされたということであるが、その差となる4120万票は一体どうなったのかということに関して、リチャード氏はいくつもの陰謀論を展開する。

選挙前日の12月15日、日本全国で「異臭騒ぎ」が報告された。八王子市・大阪府北部・東京都葛飾区・群馬県・静岡西部・横浜市青葉区・板橋区・埼玉・練馬・菊川・掛川・・・非常に広い地域で同様の「焦げ臭さ」が報告されている全国で一斉に「何か」を焼いた?「野焼き」が目立たない夜をねらって?ここからは推論である。

「期日前投票」のホンモノの票を裏社会総動員で焼却したとみる。(公営の焼却炉に運び込むのは発覚の危険があるので避けたのでは?)投票用紙は、ユポと呼ばれるPP(ポリプロピレン)製合成紙。燃せば、プラスチックを燃やした匂いがする。証拠隠滅であったのではないか?
(32-33ページ)

投票用紙を焼くとは豪快な話である。
しかも「公営の焼却炉に運び込むのは発覚の危険があるので避けたのでは?」などと書いているが、焼却炉が危険だからってそんじょそこらで焼いたりしたら、そっちの方がよほど目につくではないか。

たかだか物を焼いている匂いを嗅いだというだけで、そこで焼かれているものが投票用紙であると判断した根拠はでてこない。

 

このほか、「投票活動を呼び掛ける車があまり来なかったのは投票率を下げるため」とか「未来の党の候補者が小選挙区で獲得した票に比べて比例区で獲得した票が少ない」とか「ユポ紙の投票用紙はツルツルして鉛筆で書きにくいのになぜ使うのか」など(ユポ紙の投票用紙って表面サラサラしててすごく鉛筆で書きやすいんだけど……)細かい陰謀論いくつかが書かれているが、何より有名なのがムサシの票計数機の話である。

リチャード氏によると、株式会社ムサシの票の計数機には票を書き換える機能があるという。

レーザーアンプリンターである。基材から超短パルスレーザーでトナーを蒸発させて除去する。投票用紙から「未来の党」が消える。次にレーザープリンターで「自民党」と印刷して排出する。
(140ページ)

「投票改竄装置!」である。印字された用紙を、この機械を通すと別の印字に変わって出てくる。つまり、この機能をムサシの計数機械に内蔵させておけば、「鈴木一郎」と鉛筆で手書きされた表は、「近藤晴彦」に変わって排出されるのだ。
(142ページ)

ムサシの計数機には票に書かれた党名を判断して、票にかかれた政党名を消したり書いたりする機能があるのだという。
計数機とは票を数えるための機械のはずなのだが、読取分類機とアンプリンターとプリンターの機能までくっついているのだそうな。
それぞれの機能を持った機械は存在しているが(アンプリント技術はまだ開発中)、それらすべてを盛り込んだこの超複合機が実在することを確かめたものは誰もいない。

サル、タヌキ、虎、蛇という動物はこの世に存在しているが、「サルの頭とタヌキの胴体、虎の手足をもっていて尾が蛇になっている妖怪ヌエ」が実在していないのと同じである。

このほか、ペンシルプリンターの技術で書き換えた可能性もほのめかしてはいるのだが(144‐145ページ)、この技術に至ってはコンセプトだけでいまだ確立されてもいない。

はっきり言って「ムサシの票書換機」などというものは、ネッシーや宇宙人、ちいさいおっさんと同じくらいの代物なのだ。

 

◆不正選挙説-反論は陰謀

こんな無謀な説を唱えるリチャード氏の不正選挙説に対する反応はさまざまである。

「自民党らが不正を行った結果、大勝するはずだった未来の党が議席をほとんど取れなかった」という主張は、自民支持者から反発を、未来支持者から歓迎を受けやすいだろうことは想像に難くない。
リチャード氏のブログに攻撃的なコメントが書き込まれており、リチャード氏はそれらを「裏社会から脅しが」として紹介している。
当ブログではリチャード氏の面白ささえ伝えられれば十分なので、これらの余り利口とはいえないコメント郡についていちいち引用はしない。

リチャード氏はこれら鼻息の荒いコメントを「組織の中の武闘派」による書き込みと断定し、「この種の品も知性もない書き込みは逆に不正選挙の証拠と見做される」という。
この他にもガラの悪い留守電が2本きていたことを報告し「この恫喝電話は、12・16不正選挙に創価学会の裏部隊が関与していることを証明するようなもの」としている。

ガラの悪い、いちいち相手にしなくていい種類の電話だろうが、それが何で創価学会の関与を示しているのか一切不明である。 それと、少々暴力的で威勢のいいコメントを書き込む程度の人間を世間一般では「武闘派」とは言わない。

しかし、寄せられるコメントは何も物騒なものだけではない。
これを機会に創価学会を抜けましたといった、前向きに受け止められるコメントも寄せられているという。
特に私が面白いと思ったのは以下のものである。

「劣等感の塊で、いつも自分はダメだという気持ちがあり人の中に入っていくのもつらかったのですが、今はそこから抜け出すことが出来ました。ありがとうございます。」

ユダヤ金融資本との戦いの中で自分の殻を破り新しい自分の世界に躍り出た人も出てくる。私RKは陽気に彼を迎える。

「私RKも従来はとても弱い人間でした。でも、あなた同様にある日突如「吹っ切れて」以来、真正面を見据えて堂々と生きることが出来るようになりました。おめでとうございます。本物の人生があなたにもやってきたのです。ご活躍を!」
(109-110ページ)

なんだか自己啓発セミナーを思わせるような感動のやり取りだ。
コメントを残した彼はさらなる泥沼に足を踏み込んだだけなんだろうが、強く生きてほしい。

 

◆あふれる小沢一郎

とまあ、不正選挙陰謀論としての本書の面白さはここまでにして、この本で私が一番傑作に感じた部分を紹介。
なんといっても本書でいちばんトンデモなのは、リチャード氏が小沢一郎氏に対して抱く一方的な好意である。

リチャード氏によれば本書に書かれている裏社会の陰謀を、未来の党の小沢一郎氏も見抜いていたという。

選挙の神様、小沢さんの天才的な采配は今回も遺憾なく発揮された。選挙公示直前になって、国民の生活を解党し、未来の党に合流した。

「反原発」を旗印にした嘉田滋賀県知事を頭目に据えることによって、女性層の票を一気に取り込もうとしたのだと誰もが思った。そしてその策は功を奏したはずだ。

だが、小沢さんの深謀遠慮はその程度のレベルのものではなかった。小沢さんは、今回の衆院選挙で大規模不正が行われると読んでいた。
(45ページ)

そう、未来の党への合流は裏社会の謀略をかわすための物だったのだそうだ

こうして党名を変更することで、裏社会が準備していたニセの投票箱(何でも多量の自民党票と少量の国民の生活票で構成されていたものを準備していたらしい)は使えなくなってしまったのだという。
これによって裏社会は「稚拙な」手口に走らざるをえなくなり、多くの国民が不正選挙の存在に気付くきっかけになってしまったのだそうな。

そして2013年7月の参院選。不正選挙を糾弾する国民の強い意思は、政権を詐取した自民公明に、「再選挙」を要求するであろう。かくして、衆参同時選挙が行われることになれば、小沢さんの「生活の党」は大勝利を収める。多くの候補を擁立すれば、単独で政権を掌握できる可能性すらある。そこまで読んで、小沢さんは未来の党に合流したのではないか?であれば、ものすごい智謀家であると言える。RKもタジタジである。
(48ページ)

選挙の前からそのつもりであったとすら推測できるのだ。解党に際しての小沢さんと嘉田知事の笑顔がすべてを物語っている。有権者の大半には理解できなくても、やっぱり、小沢さんは当代随一の策士なのだ。
(162ページ)

RKもタジタジである」の記述には思わずふいてしまった。

上記の陰謀やらあるいは小沢氏による反計は、あくまでリチャード氏の脳内だけの話で、当然ながら小沢氏はそんなことを一言も言っていない。
小沢氏の未来の党の合流とその後の大敗をすべて自分のいいように解釈し、「智謀家」と讃え、勝手にタジタジになっているのだ。

引用文を読んで気づいた方もいるかと思うが、本書では小沢氏のことをほとんどの場合において「小沢さん」と“さん付け”で呼んでおり、強く親近感を持っていることがうかがえる。

相手を勝手に自分にとっての理想的な人間と決めつけ、信じ込み、それに沿うよう状況を解釈して一方的に強い好意を抱いている。
これが色恋沙汰ならストーカーといわれてもおかしくないだろう。

ただでさえ今の生活の党は存在感を示せておらず、7月の参院選で苦戦を強いられるだろうに、こんな変な人に変な期待をかけられていて実に気の毒なことである。
しかもリチャード氏は『独立党員諸君、7月4日(木)千葉に集まってください。』の記事で、ネットの中から一歩踏み出し、生活の党の議員を応援するつもりである事を表明している。

あまりかけてあげられる言葉はないが、せめていうなら「小沢逃げてー!」である。

 

……以上が当方の『12・16不正選挙』の紹介。
ここ2作の出来には非常に不満があったのだが、それを吹き飛ばしてくれる怪作に仕上がっている。
トンデモ本としての評価は★4つはつけたい。

これだったら、来年のトンデモ本大賞に候補作としてノミネートされてもおかしくないのではないだろうか。